首のリンパが腫れる菊池病 ( 壊死性リンパ節炎 ) の症状・原因・予防法とは?<鍼灸・栄養療法の体質別アプローチで改善へ>


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患者さまからの質問
【体操メダリストの橋本大輝さん、リンパ節に良性の炎症が起きる「菊池病」の可能性】という記事を見ました。
「菊池病」、初めて聞きました。
どんな病気ですか?
なぜ菊池病なのですか?
治療法や対策、予防策はありますか?
どんな人がなりやすいですか?
回答
「菊池病 ( Kikuchi病、正式には壊死性リンパ節炎 ) 」は、比較的まれな良性の疾患で、自己限定性 ( 自然に治癒することが多い ) が特徴です。
1972年に日本の病理医・菊池昌弘博士によって初めて報告されたため、通称「菊池病」と呼ばれています。
詳しくみていきましょう。
菊池病とは?
- 正式名:壊死性リンパ節炎 ( necrotizing lymphadenitis )
- 多く見られる部位:首 ( 頸部 ) のリンパ節
- 主な症状:
- 発熱 ( 時に高熱 )
- 頸部リンパ節の腫れ・痛み ( 片側性が多い )
- 倦怠感
- 関節痛、筋肉痛
- 発疹や肝機能障害を伴うこともある
なぜ「菊池病」になるのか?
明確な原因はまだ不明ですが、ウイルス感染や免疫異常が関与していると考えられています。
考えられる発症メカニズム
- ウイルス説:EBウイルス、HHV-6、パルボウイルスB19などが関与?
- 免疫説:
- 何らかの抗原 ( ウイルスや自己抗原 ) に対して過剰な細胞性免疫応答が起こる。
- 特にCD8陽性T細胞と組織球 ( マクロファージ ) の活性化が特徴。
- その結果、リンパ節内で壊死や細胞の崩壊が起こる。
診断基準 ( 西洋医学 )
鑑別疾患
- 悪性リンパ腫
- 結核性リンパ節炎
- 全身性エリテマトーデス ( SLE )
診断方法
- 血液検査:白血球減少、CRPやLDH軽度上昇
- 画像検査:頸部超音波、CT
- リンパ節生検 ( 組織診断が確定診断の決め手 )
治療法 ( 西洋医学 )
原則
自然に治癒する良性疾患のため、対症療法が中心。
- 解熱鎮痛剤 ( 例:アセトアミノフェン、NSAIDs )
- 高熱や重症例ではステロイド投与 ( まれ )
※抗生物質は基本的に無効 ( 細菌性でないため )
鍼灸医学的解釈
東洋医学では
- 「瘰癧 ( るいれき ) 」「癰腫 ( ようしゅ ) 」として、リンパ節腫脹を認識。
- 肝鬱気滞や痰湿、熱毒が関与するとされる。
鍼灸的対応
- 基本治療穴:合谷、曲池、太衝、内関、足三里、天容、翳風 ( 頸部のリンパ節に対応 )
- 補助治療:瀉法 ( 熱を取る ) 、疏肝理気、清熱解毒
栄養学的アプローチ
免疫のバランスを整え、炎症の回復を促すことが目的。
有効とされる栄養素
- ビタミンC・E:抗酸化作用
- 亜鉛・セレン:免疫調整作用
- オメガ3脂肪酸:抗炎症効果 ( 例:青魚、亜麻仁油 )
- 発酵食品や食物繊維:腸内環境改善→免疫調整
避けたい食品
- 過剰な糖質、加工食品、トランス脂肪酸 ( 炎症促進 )
予後・経過
- 通常は 数週間~3か月以内に自然寛解
- 再発はまれ ( 5~10%程度 )
- 全身性エリテマトーデス ( SLE ) との関連が指摘されているため、経過観察は必要
予防策
明確な予防法はないが、以下が推奨される。
- 免疫バランスの維持
- 過度のストレス回避
- 十分な睡眠・休養
- 感染症流行期にはうがい・手洗いの励行
どんな人がなりやすい?
- 若年女性 ( 20〜40代)に多い
- ただし、小児や男性にも起こりうる ( 橋本大輝選手の例 )
- アレルギー体質や自己免疫疾患の素因がある人に多いとされる
菊池病に対する体質別鍼灸アプローチ
では、鍼灸医学的に深堀していきましょう。
東洋医学の体質分類に基づいた「菊池病」に対する体質別鍼灸アプローチをみていきます。
菊池病は、「瘰癧 ( るいれき ) 」や「癰腫 ( ようしゅ ) 」として理解され、気血の滞りや熱毒、湿痰などが絡むと東洋医学では捉えられます。
東洋医学的 体質チェック表 ( 簡易版 )
では、次に、東洋医学に基づく「体質チェック表 ( 簡易版 ) 」をご紹介します。
各項目について、「あてはまるもの」にチェックを入れ、該当する体質を確認できます。
東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言
今回の「首のリンパが腫れる菊池病 ( 壊死性リンパ節炎 ) の症状・原因・予防法とは?鍼灸・栄養療法の体質別アプローチで改善へ」は、いかがでしたか?
まだまだ西洋医学的には、すっきりしない菊地病 ( 壊死性リンパ節炎 ) 、他の難病なども同じですが、身体が整っている患者さまの方が予後がいいと思います。
身体が整っているとは、言い換えると元気な方です。
病気なのに、元気っておかしな表現ですが、例えば、毎日寝不足でカップラーメン・運動不足で体調不良の患者さまよりも、氣細く正しい生活を送り、野菜中心で適度な運動習慣のある患者さまの方が、良くなる確率が高いと思います。
その身体を整えるという観点で、鍼灸治療を取り入れると、西洋医学的な治療効果を上げる補助にはなりますし、もしかしたら、ご自身で病気を治す力、自然治癒力で好転してしまうかもしれません。
と言うよりも、どんな治療法よりも自然治癒力が一番大切ですし、自然治癒力を高めるのが、鍼灸治療の本来の目的とも言えるかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございます。
最後に
お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。
