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Vegetarian/Veganに対する海外と日本の意識の違い

 2016/09/15 ダイエット ライフスタイル ヴィーガン・ベジタリアン 食と女性の健康
この記事は約 8 分で読めます。

近年、日本でもベジタリアン人口は健康意識と比例し、野菜をメインとしたカフェやレストラン、オーガニック食品を取り扱うところが増えてきました。

週末に開催されるマーケットなどでも無農薬野菜やフルーツなど生産者のかたから直接購入できるなど、健康が身近になってきたように感じます。

今回は「海外と日本のVegetarian/Veganの意識の違い」について書きたいと思います。

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単一民族国家と多文化主義

〜文化の違いからくる考え方〜

様々な民族と文化が混合している多文化主義では食も宗教も様々です。

そのため、欧米や一部の先進国を除いて ほとんどの先進国ではベジタリアンやVeganの人口も多く、食文化のニーズも日本より高く、特別な存在ではありません。特に菜食実践者の人口増加が著しいのが、アメリカ合衆国です。

2009年の時点でヴィーガンを実践している人は、アメリカ全土でたった1%程度でしたが、2013年の時点で2.5%、2017年には6%まで増加し、2,000万人近くのヴィーガン人口がいると推定されています。

特に若い世代に支持され、菜食実践者の約半数が35歳未満、国民の30%が「肉の消費を減らした野菜中心の食生活の方が良い」と考えているというデータがあり、今の勢いそのままに増加が続いていくことが予測されています。(Tokyo Vegan一部抜粋)

また、ヘルスコンシャスなライフスタイルを意識している層は、Veganやベジタリアンのような極端な食生活は実施しなくても「動物性食品の摂取を減らすことが健康や環境問題に繋がる」ということが一般的な感覚です。

2017年の調査では、ドイツ人の44%が肉の摂取を意識的に控えた食生活(Low-meat diet)を実践している結果が出ていて、2014年の26%から大きく増加しているようです。(Tokyo Vegan一部抜粋)

カフェやレストラン、スーパーでもVeganや ※Halal対応、GLUTEN FREEという表示が豊富で日本よりも圧倒的に ベジタリアンの存在を身近に感じることができます。

(※イスラム教では豚、アルコールなどが禁止され、これらのものを含まないものがハラルとなります。牛、羊、鶏等は禁止はされていませんが、イスラム教の作法に沿って屠畜したもののみがハラルとなります。)

オーガニックや健康食品の専門店以外の一般店での取り扱いも多く、コーナー展開やプライスカードでの表示など、アイキャッチサインでわかりやすく伝えるための工夫もされています。

異なる文化をそれぞれの集団が対等な立場で 扱われるべきだという多文化主義のアメリカやカナダに対し、単一民族系国家の日本では、ベジタリアンが受け入れられないのは当然のことなのかもしれません。

オーストラリアでは、世界各地から多くの観光客やバックパッカーズが訪れ、多くの人種が住み、様々なレストランがあります。

他の国の方と食事を共にするときには、食文化の話題になります。
ヨーロッパ、欧米の人々と話すとビーガニズムのことに関しては、日本人と一部のアジア圏を除き、90%以上は知っているという感覚で、確実にVeganという思想は市民権を得ていたと実感しました。

オーストラリアの普通のスーパーでも様々なVegan対応の植物性のミルクがずらり。

オーストラリアの普通のスーパーでも様々なVegan対応の植物性のミルクがずらり。

パンもグルテンフリーからVegany対応まで。

パンもグルテンフリーからVegany対応まで。

風潮

これはベジタリアンに限った事ではないですが、アメリカだと個人の行動やアクションは個人の自由として受け入れるのに対し、日本では、団体行動を尊重し、1つのものに全員が合わせ「平均的」であることに安心する日本の社会文化の風習が根付いていることも一つの原因だと考えています。

肉食主義者や欧米の食文化が強い今の日本には菜食主義という個人の選択が認められる環境になりにくいのでは..?と感じます。

知識

日本ではVeganという存在自体が知られていないのもありますが、Vegetarian=宗教、健康というイメージが強いでしょう。
私自身も、出会った人にVeganというと、野菜しか食べないのですか?
アレルギーを持っているの?と聞かれるのがほとんどです。
また、野菜のみ=味気ない、元気がないというイメージが強いのかもしれません。

そもそも、ヴィーガンもベジタリアンも語は“Vegetable”(ベジタブル、「野菜」)ではなく、ラテン語 の“Vegetus”ベジタス、「活気のある、健全な」に由来し、1944年にイギリスでヴィーガン協会が設立された際に命名されたのが語源です。

20世紀半ばになってVeg(etari)anを短縮して作られた造語で、もともとは野菜を食べることが目的なのではなく、「健全な食事をする」ことが本来の意味です。

一般的に菜食者である理由としては、「健康」「宗教」以外に「動物・環境への配慮」などが挙げられますが、オーストラリアに住んでいたときに出会ったVeganの人々やレストランでは、「動物・環境への配慮」からお店の運営をするという考えの方も非常に多く、“健康はあとからついてくるもの”として捉えている人が多いのを強く感じました。
Veganにも様々な種類がある中で、ダイエタリーVeganというカテゴリーがありますが、Vegan同様、植物性の食事をします。
しかし、食用以外の動物の利用はOK、避けようとしない いわゆる美容と健康ベースの菜食者というVeganです。
このようにVeganと一口に言っても、健康ベースの考え方もあれば、人や国・文化によっても理由は様々でありサーファーと同様、Veganという生き方があると考えれば、分かりやすいのかもしれません。
単に多くの人の認識不足や、仕事や交友関係などの煩わしさでカミングアウトしづらい環境の今の日本では、あと少しの浸透力で変化があるのは間違いないでしょう。

週末には大きなマーケットが各地で開かれ、オーガニックフルーツや野菜がスーパーの1/3〜1/2程度の値段で購入できるのも快適な食生活を送るには大切な存在です。

週末には大きなマーケットが各地で開かれ、オーガニックフルーツや野菜がスーパーの1/3〜1/2程度の値段で購入できるのも快適な食生活を送るには大切な存在です。

ステーキ屋さんにもVのマーク(肉、魚、卵、乳製品も使用しないVegan対応のメニュー)が用意されています。

ステーキ屋さんにもVのマーク(肉、魚、卵、乳製品も使用しないVegan対応のメニュー)が用意されています。

メディア

日本の芸能界でも仕事に影響するという観点から自分が菜食主義者である現実を秘密にする人が多く、日本で影響力を持つ菜食主義者は特に少ないように感じます。

動物・環境への配慮

Veganの考え方として「動物・環境への配慮」という理由が一つ挙げられると記しましたが、残念ながら日本では年間で合計20万頭以上の犬猫が殺処分されています。
対してドイツは犬・猫の殺処分は「0」。保健所のような殺処分施設すら存在していません。
日本では動物をかわいいと言いながら、ペットショップで売れなかった犬や猫を殺処分というかたちで処分されているのが現状です。

そんななか、「動物への配慮」という理由から動物を殺さずに食べられるVeganバーガー店を営むGubGub’s Vegan Kitchen(ガブガブズヴィーガンキッチン)さん。

2015 GubGub’s Vegan Kitchen

アメリカンテイストなVeganハンバーガーが食べられるとあってローカルの人に大変人気です。私が伺った際は、お客様は全てアメリカ人で、菜食者の方もいれば、そうでない方もいました。

Vegan対応がされていれば、菜食の人もそうでない人も一緒に食事を楽しめるメリットがあり、それが逆だと菜食者は食事ができないことになります。
肉、魚、卵、乳製品を使用しなくてもジューシーで美味しいVegan料理を大人から子供まで楽しんでいました。

幸せなことに私たちは食もライフスタイルも様々な選択ができる時代に生きています。
一つの場所で様々な食事を選択することができれば、場所を選ばずに楽しむことができます 。それがVegan Lounge Tokyoが日々望んでいることです。
これからもVeganというライフスタイルを通して食の美味しさ、アイデア、人、価値観全てを楽しみ、感じていけたらと思っています。

次回のテーマ
次回は「 Vegetarianはマイノリティー?ソーシャルミックスという生き方。 」をお話ししたいと思います。

小野瑠璃さんの連載を読みたい方は、こちらもチェックして下さいね。 
小野瑠璃の Vegan Journey Around The World
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小野 瑠璃

小野 瑠璃

健康番組レギュラー出演、オーストラリアの移住をきっかけにVegan食中心のライフスタイルをスタート。

2004年からはオーストラリア、ノースクイーンズランド州でヴィーガニズムに興味を持ち、オーストラリアでスキューバダイバーとして活動した後、スパサロンで経営を学びながら7年間 Raw Veganベースのライフスタイルを送る。

2011年 帰国後、拠点を東京に移し、Vegan 専門コミュニティーサイト「Vegan Lounge Tokyo」を立ち上げ、プラントベースを通して食、ライフスタイルの楽しさを発信する。

現在、オーストラリアエコツアーを中心にプラントベース食材、メニュー開発に携わる。

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