私は健康番組の出演とオーストラリアでの生活と食を通してVeganという一つのライフスタイルを知り、面白い体験をしたので、少しお話したいと思います。
動物性食材や素材を生活に取り入れないVegan。
Veganと聞くと、食事法だけだと思うかたも多くいらっしゃるかと思いますが、ライフスタイル全体を指し、食事から革製品にいたるもの全ての使用をなるべく避けて生活をするひとつのライフスタイルのことです。
一方、ベジタリアン(Vegetarian)というと、お魚や乳製品を食べるか否かなど人にもよりますが、一般的にお肉を食べない人をさすことが多いです。
私は約20年前、健康番組に出演していた時期があったのですが、テーマごとに出される健康食材や、生活習慣についてなど番組を通して健康への意識が変化していきました。
テーマのごとに番組内で様々な食材を試すようになり、日頃から意識するようになった結果、食事によって肌質や身体は変化すると実感し、「You are what you eat 」を知ります。
その食生活の流れから、自然のなかで生活をしたくなり、実行したのが島生活でした。大学を卒業と同時に島生活を1年を送り、魚を釣ったり、農家のかたから野菜やフルーツを安く譲ってもらったりなど理想的な自然に近い食生活を送ることができました。
オーストラリアへ
そして海外の食生活も見てみたくなり、オーガニック先進国オーストラリアへと渡ります。
最初の滞在先はアボガドファーム。
家畜もお世話していたステイ先では、自分たちが飼っている牛が夕食に出ることもあり、複雑な気持ちになることもありましたが、お肉を食べることが悪いのではなく、自分で育て、命を戴くという感謝の気持ちをここでの生活で感じることができ、大きなターニングポイントとなります。
農場で育てているアボガドを一つ一つ手に取って箱に詰めていく作業、炎天下の中での収穫作業や掃除は、普段 普通に食べていたアボガドを一層美味しく、食への感謝をも感じるようになっていきました。
そんな農場生活を終え、スキューバダイバーとして働いていたある日、同僚のオーストラリア人のアンジーと出会います。
ランチのビュッフェでお肉や魚があるにも関わらず、彼女は一切それらに手をつけません。
「Veganなのよ。」という彼女は、環境と動物のことを知ってから、口にするものが変わったと語ります。
当時 私は23歳。
ベジタリアンやVeganという存在は知っていたものの、食生活にアンジーの考え方を聞いて、食やライフスタイルに対しての意識が変化していきました。
気がつけば、オーストラリア人スタッフにもベジタリアンやVeganの方がいましたが、食事の話や環境に対する話をするようになり、動物性食品を大量に生産する畜産工場の在り方とそれが環境問題へ繋がっていることに気付き、健康以外に動物や環境からVeganになっている人が多いことを知ります。
オーストラリアはビーフや肉文化のイメージが強かったため意外でしたが、
オーガニックやベジタリアンに意識のある人々が非常に多いのは、スーパーへ買い物に行くと一目瞭然でした。
移民の国、オーストラリア
人種も様々、宗教や思想も様々。
スーパーでの食材にはベジタリアン、Vegan、ハラル対応の商品が必ずあります。
レストランでも必ずといって良いくらい対応してくれる為、レストラン選びにも困らず、一つのテーブルでみんなと食事を楽しむことができます。
(※ハラル:イスラム教では豚、アルコールなどが禁止され、これらのものを含まないものがハラルとなります。牛、羊、鶏等は禁止はされていませんが、イスラム教の作法に沿って屠畜したもののみがハラルとなります。)
日本との大きな差を感じた部分は、普段の生活や外出から感じる環境への意識。
日本に休暇で帰った時に見たCMは洗剤を販売するものが多いのに対し、オーストラリアでは環境問題を訴えるCMが入っていたこと。
紙ストローやエコバッグなどもいち早く取り入れているなど生活の様々な部分で環境問題への取り組みを感じることができたので、楽しく過ごすことができました。
地球へ還っていく一連の流れ
美味しそうなハンバーガーを目の前にしたとき「美味しそう!」という感情が真っ先に来るでしょう。
でも、もし自分で育てた牛を食べるということになったらどうでしょう?
彼らはどのように育ってきて、調理され、自分の口に入り、血となり肉となり地球へ還っていくのか? と考えるようになりました。
自分で育てず、調理もせずに手にした加工済みのお料理なら、そこには愛は産まれにくい。
添加物や農薬が多い食事をすれば体に入るだけでなく、私たちの排出物から地球に還り、土や海に流れます。
お肉を食べる、食べないということが問題なのではなく、そんなことを感じることや、生態系の一連の流れを意識できることをVeganというライフスタイルを通して知るきっかけとなったわけですが、環境を意識すると食材から日用品、思考、生き方までも変化し、選ぶものや視点も変わる。
そして、同じような価値観の仲間と出会えたことも大きな財産でした。
自分が選んだものがどのように地球へ還っていくのか、影響するのか。そんなことを意識することができただけでも本当に大きな変化となりました。
食器洗剤などもせめて界面活性剤を使っていないものを選ぶところから始める、食材なら農薬散布がない無農薬のものを選ぶなど 買い物をするときの意識が変わる。
何を選んで生きていくか。選択の毎日。
そういった意味ではオーストラリアは非常に過ごしやすい国でした。
それまでは「自分の利」のためにだけにオーガニックを選んでいたかもしれません。
そもそも「オーガニックは生態全体を意味するもの」。
でも、オーガニックが正しい、Veganや環境を保護をすることが正しいということではありません。
自分の健康があると同じように、地球にも健康があること。
アンジーという女性と出会い、一つのライフスタイルを教えてくれた彼女は今、元気な可愛い女の子を産み、「You are what you eat」を楽しんでいます。
次回のテーマ
「Vegetarian/Veganに対する海外と日本の意識の違い」
小野瑠璃さんの記事
小野瑠璃の Vegan Journey Around The World
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