【質問】EMSで本当に筋肉は鍛えられる?<EMSの効果とmTORを活性化する黄金トレーニング法>

Contents
- 1 患者さまからの質問
- 2 回答
- 3 用語定義と基本原理
- 4 EMSと低周波治療器の違い ( 表 )
- 5 EMSで筋肉は鍛えられるか? ( 西洋医学 + 生理学的解釈 )
- 6 EMSと「つらい筋トレ」の違い
- 7 筋肉が動けば筋トレになるのか?
- 8 鍼灸医学的な視点
- 9 栄養学的視点 ( 筋肥大・回復を支える )
- 10 症状・診断・治療・予後 ( EMS適応例 )
- 11 予防法と生活習慣アドバイス ( EMS併用を前提 )
- 12 まとめ ( Q & A風 )
- 13 筋線維タイプ:Type I と Type II
- 14 mTOR経路:筋肥大の“司令塔”
- 15 EMS + 栄養 + 軽トレ:黄金セット
- 16 東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言
- 17 最後に
患者さまからの質問
筋肉を鍛えるマシーン。
低周波治療器みたいに、電気刺激で筋肉を動かす道具。
低周波とは別の、EMSというものらしい。
低周波治療器とEMS、何が違うの?
EMSで筋肉は鍛えられる?
つらく苦しい筋トレと、EMSの筋トレ、何が違う?
どんな方法でも、筋肉が動けば結果的に筋トレになる?
回答
質問ありがとうございます。
以下に、EMSと低周波治療器の違い、EMSによる筋トレの有効性、苦しい筋トレとの違いなどについて、西洋医学的・鍼灸医学的・栄養学的・生理学的観点から詳しく解説します。
用語定義と基本原理
【低周波治療器】
- 目的: 疼痛緩和、血行改善、筋緊張の緩和
- 周波数: 通常1〜1000Hzの低周波
- 作用: 皮膚表面や浅層筋を刺激 → 知覚神経をブロック ( ゲートコントロール説 )
【EMS ( Electrical Muscle Stimulation ) = 筋電気刺激装置】
- 目的: 筋収縮の誘導による筋トレ、リハビリ
- 周波数: 通常20〜100Hzの中〜高周波 ( 深部まで届く )
- 作用: 運動神経を通じて筋肉を他動的に収縮させる
EMSと低周波治療器の違い ( 表 )
項目 | EMS | 低周波治療器 |
---|---|---|
主目的 | 筋トレ、筋力維持 | 疼痛緩和、筋疲労軽減 |
刺激対象 | 運動神経 → 筋肉 | 知覚神経 → 痛みの緩和 |
周波数帯 | 中〜高周波 ( 20〜100Hz ) | 低周波 ( 1〜1000Hz ) |
筋収縮 | 明確な筋収縮を伴う | 軽度のピクピクとした感覚 |
医療的使用 | 筋萎縮防止、リハビリ | 腰痛、肩こり、神経痛など |
例 | スレンダートーン、医療用EMS | ピップエレキバン、低周波治療器 |
EMSで筋肉は鍛えられるか? ( 西洋医学 + 生理学的解釈 )
● 筋トレのメカニズム ( 自発的トレーニング )
- 筋肉への過負荷 → 筋線維 ( 特に速筋線維Type II ) に微細損傷
- 炎症反応 → 衛星細胞 ( 筋幹細胞 ) が活性化
- 筋タンパク合成 ( mTOR経路 ) ↑ → 筋肥大
● EMSのメカニズム
- 電気刺激 → 神経を介さず強制的に筋肉を動かす ( 他動的 )
- Type II線維優位に刺激されるため、筋肥大には有利
- 特に**不活動状態 ( 例:寝たきり、ケガ、脳梗塞後 ) **で有用
● 限界
- **エネルギー供給 ( ATP合成 ) や酸素運搬能 ( 毛細血管・ミトコンドリアの増加 ) **は自発運動に劣る
- 動作の協調性・姿勢制御などの中枢神経系トレーニングにはならない
EMSと「つらい筋トレ」の違い
観点 | EMS筋トレ | 自発的筋トレ ( ダンベルなど ) |
---|---|---|
意識 | 不要 ( 受動的 ) | 必要 ( 能動的 ) |
神経系の学習 | × | ○ |
エネルギー消費 | 少 | 多 |
ホルモン反応 ( 例:成長ホルモン ) | 低い傾向 | 高い ( 負荷・ストレス反応が大) |
筋肥大 | 一部可能 ( Type II ) | 全面的に可能 |
例 | リハビリ患者、時間がない人 | スポーツ選手、一般トレーナー |
筋肉が動けば筋トレになるのか?
部分的には「Yes」、しかし以下の点に注意。
● 「筋トレ」には以下の条件が必要
- 適度な負荷 ( 刺激 )
- ATP産生と筋損傷→回復サイクル
- 回復のための栄養・睡眠
- 中枢神経系との協調 ( 運動学習 )
したがって、EMSだけでは**「トレーニングの要素の一部にすぎない」**と考えられます。
鍼灸医学的な視点
● EMS ≒「筋肉刺激型の瀉法」と考えることもできる
- 鍼灸では経筋 ( けいきん ) ・筋膜へのアプローチで、気血の滞りを解消
- EMSのように「動かす」ことも**邪気の排出 ( 瀉法 ) **と見なせる
- 脳卒中後の麻痺や気虚による筋力低下では、EMSが気血の活性化に寄与する
▶例:中風 ( 脳卒中後 ) に対し
- EMSによる筋刺激 = 任脈・督脈の補助
- 鍼灸 + EMS併用療法は臨床研究でも効果報告あり
栄養学的視点 ( 筋肥大・回復を支える )
EMSでも筋損傷は起こるため、以下の栄養素が重要。
栄養素 | 役割 |
---|---|
タンパク質 ( ロイシン、BCAA ) | 筋合成促進、mTOR経路活性化 |
ビタミンD | 筋収縮・骨格筋維持に関与 |
クレアチン | 短時間高強度の筋収縮サポート |
オメガ3脂肪酸 | 炎症抑制、筋合成促進 |
抗酸化物質 ( ビタミンC,E ) | 筋損傷の修復促進 |
症状・診断・治療・予後 ( EMS適応例 )
状態 | EMSの適応例 | 備考 |
---|---|---|
廃用性筋萎縮 | ○ | 長期入院、ギプス固定後 |
脳梗塞後の麻痺 | ○ | 自発運動が困難なケースに有効 |
パーキンソン病 | △ | 動作開始の補助として研究段階 |
健常人の筋トレ | △ | 補助的 ( 週2 – 3回の使用が限界 ) |
予防法と生活習慣アドバイス ( EMS併用を前提 )
● EMS使用時の注意点
- 水分補給 ( 筋収縮に電解質が関与 )
- 刺激部位の清潔保持 ( 湿疹・接触性皮膚炎予防 )
- 低栄養・サルコペニアの人は必ず栄養補給併用
まとめ ( Q & A風 )
Q | A |
---|---|
EMSと低周波治療器、何が違う? | EMSは筋肉を鍛える目的。 低周波は痛み緩和が主目的。 |
EMSで筋肉は鍛えられる? | ある程度は可能。 特にType II筋線維に効く。 |
EMSと苦しい筋トレ、何が違う? | 自発性、代謝促進、中枢神経系活性化の面で苦しい筋トレが有利。 |
動けば筋トレ? | 筋収縮 + 栄養 + 回復 + 神経学習が揃って初めて「本物の筋トレ」と言える。 |
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
今までの話の補足として、筋トレ・EMSを理解するために欠かせない「筋線維タイプ」と「mTOR経路」を、生理学のレンズを通して覗いてみよう。
ちょっとディープだけど、噛み砕いて説明します。
筋線維タイプ:Type I と Type II
筋肉は、車でいえば「エコカー」と「スポーツカー」に分かれます。
エコカー ( 長持ち型 ) が Type I ( 遅筋 ) 、スポーツカー ( 瞬発型 ) が Type II ( 速筋 ) です。
mTOR経路:筋肥大の“司令塔”
「mTOR ( mechanistic Target Of Rapamycin ) 」は、筋肉のボス的存在。
筋トレで筋繊維が損傷すると、「もっと強くしろ!」という命令が出ます。
その命令を翻訳して、筋タンパク質合成をスイッチオンするのがmTORです。
EMS + 栄養 + 軽トレ:黄金セット
ということで「EMS + 栄養 + 軽トレ」の黄金セットを、筋線維タイプ別に最適化して作ってみましょう。
これは「筋肥大」「筋力維持」「回復促進」の3つのゴールを同時に狙える設計です。
東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言
今回の「EMSで本当に筋肉は鍛えられる?<EMSの効果とmTORを活性化する黄金トレーニング法>」は、いかがでしたか?
**不活動状態 ( 例:寝たきり、ケガ、脳梗塞後 ) **などの方には、EMSという選択もあるかもしれません、
しかし、文中の限界項目でも書きましたが、
- **エネルギー供給 ( ATP合成 ) や酸素運搬能 ( 毛細血管・ミトコンドリアの増加 ) **は自発運動に劣る
- 動作の協調性・姿勢制御などの中枢神経系トレーニングにはならない
という私たちの健康生活には欠かせない要素が培われませんので、私個人としては、あまり推奨しておりません。
これからも様々な健康機器が登場すると思いますが、ご自身の状況や目的に合わせて賢く使いたいですね。
最後までお読みいただきありがとうございます。
最後に
お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。
