1. TOP
  2. ライフスタイルと健康
  3. 高齢者が痰で咳き込む原因とは?<呼吸リハビリ・誤嚥防止体操を鍼灸師が解説>

高齢者が痰で咳き込む原因とは?<呼吸リハビリ・誤嚥防止体操を鍼灸師が解説>

Sponsored Link

患者さまからの質問

90歳のおじいちゃんは、いつも咳をします。

痰が絡むようで、ゴホゴホと咳をします。

お年寄りは、痰が絡む咳が出やすいのですか?

なんで痰が絡むのですか?

僕たち子供と何が違うんですか?

回答

「90歳のおじいちゃんが痰がからんでゴホゴホ咳をする理由」について、西洋医学、鍼灸医学、栄養学的観点から、それぞれの仕組みを使ってわかりやすく説明します。

まず結論

高齢になると、気道の自浄機能 ( 痰を外に出す力 ) や免疫、粘膜の潤いが低下するため、痰がからみやすく、咳が出やすくなります。

これは、子どもと違って「身体のバリア機能」が衰えているからです。

西洋医学的な解釈

なぜ高齢者は痰が出やすいのか?

  1. 気道の繊毛運動の低下:気道の中には「繊毛 ( せんもう ) 」というホコリや病原体を外に出す毛があり、加齢でこの動きが悪くなる
  2. 喉や肺の筋力低下:咳をするには筋力が必要、筋力が落ちると、痰をしっかり出せず、からんだままになる
  3. 飲み込み機能の低下 ( 誤嚥 ) :唾液や食べ物が気道に入りやすくなり、防御反応として咳が出る ( =誤嚥性咳嗽 )
  4. 慢性気管支炎やCOPDの可能性:長年の喫煙歴がある人では、慢性的に気道が炎症を起こし、痰が増えて咳が続くことがある
なぜ高齢者は痰が出やすいのか?
気道の繊毛運動の低下気道の中には「繊毛 ( せんもう ) 」というホコリや病原体を外に出す毛があり、加齢でこの動きが悪くなる
喉や肺の筋力低下咳をするには筋力が必要
筋力が落ちると、痰をしっかり出せず、からんだままになる
飲み込み機能の低下 ( 誤嚥 )唾液や食べ物が気道に入りやすくなり、防御反応として咳が出る ( =誤嚥性咳嗽 )
慢性気管支炎やCOPDの可能性長年の喫煙歴がある人では、慢性的に気道が炎症を起こし、痰が増えて咳が続くことがある

生理学的なしくみ

  • マクロファージ ( 免疫細胞 ) の活動性低下 ⇒ 異物を処理しきれず、痰として残る
  • ムチン ( MUC5ACなど ) の過剰分泌または粘性変化 ⇒ 粘りが強くなり、排出しづらくなる
  • 炎症性サイトカイン ( IL-6、TNF-αなど ) の慢性上昇 ⇒ 軽い気道炎症が続き、咳や痰の産生を促す
生理学的なしくみ
マクロファージ ( 免疫細胞 ) の活動性低下異物を処理しきれず、痰として残る
ムチン ( MUC5ACなど ) の過剰分泌
または粘性変化
粘りが強くなり、排出しづらくなる
炎症性サイトカイン ( IL-6、TNF-αなど ) の慢性上昇軽い気道炎症が続き、咳や痰の産生を促す

🩺症状・診断基準・治療法

項目内容
主な症状ゴホゴホという湿性咳嗽、痰 ( 白〜黄色 ) 、ときに微熱
診断に必要な検査聴診、胸部X線、肺機能検査、喀痰培養、内視鏡
治療法去痰薬 ( ムコダイン、カルボシステイン ) 、吸入療法、抗生物質 ( 感染時 ) 、誤嚥防止のリハビリ

鍼灸医学的な解釈

鍼灸学的病因・病理

  • 高齢者は「肺・脾・腎の虚 ( きょ ) 」が進みやすい  ⇒ 痰湿 ( たんしつ ) が溜まりやすく、咳となって現れます。
漢方的病態意味
肺気虚肺の気の巡りが弱く、咳や呼吸が浅くなる
痰湿内盛痰が体内にたまり、気道にからみ咳が出る
腎精虚生命エネルギーが不足し、呼吸を調整できない

鍼灸的治療のアプローチ

  • 肺の気を補う:太淵 ( たいえん ) 、肺兪 ( はいゆ )
  • 痰を捌く:中府 ( ちゅうふ ) 、豊隆 ( ほうりゅう )
  • 腎精を補う:腎兪 ( じんゆ ) 、太谿 ( たいけい )
  • 温灸での補腎・補肺も効果的
鍼灸的治療のアプローチ
肺の気を補う:太淵 ( たいえん ) 、肺兪 ( はいゆ )
痰を捌く:中府 ( ちゅうふ ) 、豊隆 ( ほうりゅう )
腎精を補う:腎兪 ( じんゆ ) 、太谿 ( たいけい )
温灸での補腎・補肺も効果的

栄養学的な解釈

高齢者で痰が増える栄養的背景

  • 脱水傾向 → 粘液が濃くなる ( =痰がドロッとする )
  • たんぱく質不足 → 粘膜や免疫が弱くなる
  • ビタミンA・C・Eの不足 → 粘膜保護・抗酸化力が低下
脱水傾向粘液が濃くなる ( =痰がドロッとする )
たんぱく質不足粘膜や免疫が弱くなる
ビタミンA・C・Eの不足粘膜保護・抗酸化力が低下

おすすめの栄養素と食品

栄養素働き食品例
ビタミンA粘膜の再生レバー、卵黄、人参
ビタミンC抗酸化・免疫ブロッコリー、柿、キウイ
たんぱく質粘液・免疫構成魚、豆腐、鶏肉
水分痰を薄くする白湯、味噌汁、スープ

子どもとの違い

項目高齢者子ども
気道の繊毛運動弱い活発
筋力 ( 咳嗽力 ) 弱い強い
粘膜の水分保持減少潤っている
免疫力低下発達中だが強い部分もあり
誤嚥リスク高い低い ( 例外あり )

予防法・生活でできること

日常でできる予防

  • こまめな水分補給 ( 白湯が◎ )
  • 口腔内・鼻腔の保湿と清潔
  • 部屋の湿度を50〜60%に保つ
  • 咳や痰が出やすい朝は加温・加湿してから活動
  • 喉を鍛える嚥下・呼吸リハビリ
日常でできる予防
こまめな水分補給 ( 白湯が◎ )
口腔内・鼻腔の保湿と清潔
部屋の湿度を50〜60%に保つ
咳や痰が出やすい朝は加温・加湿してから活動
喉を鍛える嚥下・呼吸リハビリ

まとめ

項目解釈
西洋医学筋力・繊毛運動・免疫力の低下で痰が残る
鍼灸医学肺脾腎の虚、痰湿の内生で咳痰が出る
栄養学粘膜維持・免疫に必要な栄養が不足しがち
子どもとの違い自浄力・咳反射・粘膜保護力の違い

高齢者の呼吸機能の改善と誤嚥防止<呼吸リハビリ法と誤嚥防止体操>

折角の質問ですので、掘り下げて、ここでは、高齢者の呼吸機能の改善と誤嚥防止のために効果的な、呼吸リハビリ法誤嚥防止体操を、西洋医学・リハビリ学的観点からわかりやすく説明します。

東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言

今回の「高齢者が痰で咳き込む原因とは?<呼吸リハビリ・誤嚥防止体操を鍼灸師が解説>」は、いかがでしたか?

咳き込みやすい人は、誤嚥性肺炎のリスクも高くなります。

ちょっと工夫 ( 体操など ) で、大きな違いを生みますので、日々の習慣になれば幸いです。

いつも最後までお読みいただきありがとうございます。

最後に

お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。

この記事のタイトルとURLをコピーする
Sponsored Link

\ SNSでシェアしよう! /

元気の羅針盤の注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

元気の羅針盤の人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!
Sponsored Link

フォトライター紹介 フォトライター一覧

金井 進

金井 進

元気の羅針盤編集長。
ホリス治療院院長、はり師、灸師 ( 国家資格 )。

1994年よりホリス治療院開業。
鍼灸、カイロプラクティック、フィジカルセラピーを融合した独自の治療体系で日夜、患者さんと向き合っています。

30年以上にわたる鍼灸臨床のなかで培った知識と経験をもとに、あなたの困った問題を解決できるような確かな情報をお届けしたいと思っています。

あなたの喜びの声を聞くことほど、私達の仕事に「情熱」と「やりがい」を与えてくれるものはありません。
いいこと・悪いこと、どんなことでも結構です。
是非、あなたの声をお聞かせ下さい。

この人が書いた記事  記事一覧

  • 高齢者が痰で咳き込む原因とは?<呼吸リハビリ・誤嚥防止体操を鍼灸師が解説>

  • 高齢者の呼吸機能の改善と誤嚥防止<呼吸リハビリ法と誤嚥防止体操>

  • 【質問】寝ている時にビクッとする・落下する夢の原因は?<マグネシウム不足との意外な関係と予防法>

  • 睡眠時ビクッと対策!<筋肉と神経の安定化に役立つマグネシウム補給メニュー例>

関連記事

  • 【質問】レッドブルを飲むと翼が生えて空を飛べますか?もしかして腎虚症・脾虚症かも

  • 慢性関節リウマチで取り入れたい代替医療

  • 発酵食品の効果、腸内環境を整える3つのメリットとデトックスの薦め

  • アトキンスダイエットの具体的方法

  • 飲酒の依存症の特徴・症状・治療と対策

  • 【質問】運転中に性格が変わる人?