【質問】花粉症のあれこれ全部答えます<一般的な解釈から鍼灸医学のと捉え方まで>



Contents
患者さまからの質問
いまがピークの花粉症。
花粉症はアレルギー疾患?
先天的なもの?それとも後天的?
若いうちから発症する人もいるけど、中年になって発症する人もいる、なんで発症期にバラつきがある?
完治しない?
鼻炎系の薬は、なんであんなに喉が渇くの?
あと、花粉症の薬で眠くなるのはなんで?
対策と予防策が知りたいです。
花粉症の人と、そうじゃない人の違いは?
外国にも花粉症ってあるの?
人種によって発症しやすいとかある?
花粉症という病名ができる前は、どんな病気として捉えていたの?
1年中花粉症の人っているの?
回答
めちゃくちゃ良い質問が並んでて、とても嬉しいです。(^▽^)
一問一答式に答えていきますね。
花粉症はアレルギー疾患?
西洋医学的解釈
花粉症はアレルギー性鼻炎の一種で、IgE抗体が関与する即時型アレルギー反応です。
スギやヒノキなどの花粉を「異物」と認識し、免疫系が過剰反応することで、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみが起きます。
ちょっと詳しく説明
マスト細胞が関与し、花粉に特異的なIgE抗体が結合 → 花粉の再曝露でマスト細胞がヒスタミンやロイコトリエンを放出 → 炎症・分泌亢進・神経刺激が起きる。
マスト細胞が関与し、花粉に特異的なIgE抗体が結合 ↓ 花粉の再曝露でマスト細胞がヒスタミンやロイコトリエンを放出 ↓ 炎症・分泌亢進・神経刺激が起きる |
花粉症は先天性?後天性?
両方の側面があります。
- 遺伝的素因 ( 先天性 ) :アトピー素因を持つ人はIgE過剰を起こしやすい体質
- 後天的要因:環境要因 ( 大気汚染、食事、腸内環境、衛生仮説など ) が関与
遺伝的素因 ( 先天性 ) | アトピー素因を持つ人はIgE過剰を起こしやすい体質 |
後天的要因 | 環境要因 ( 大気汚染、食事、腸内環境、衛生仮説など ) が関与 |
上記が教科書的な回答なのですが、鍼灸師の私の考えでは、両親がアレルギー持ちだと子も発症リスク↑。
でも、30歳すぎて急に発症した人も多いですので、後天的要因が大きいと考えています。
発症期にバラつきがあるのはなぜ?
アレルゲン曝露の「閾値」を超えると、免疫システムが反応を開始する
アレルゲン暴露の閾値を免疫のコップと例えると |
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このコップが大きい人も、小さい人もいる |
コップの大きさは、生活習慣でも変わる |
その免疫のコップにアレルゲンが入る |
いっぱいになるとあふれ出る |
花粉症の症状 |
例:アレルゲン暴露の閾値を免疫のコップと例えてお話ししています。
このコップが大きい人も小さい人もいますし、コップの大きさは、生活習慣でも変わります。
その免疫のコップにアレルゲンが入り、いっぱいになるとあふれ出てきます。
それが、花粉症の症状と考えています。
腸内環境・ホルモンバランス・生活習慣の変化で免疫制御のバランスが崩れると突然発症する
例 |
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転職でストレス&睡眠不足 ↓ 腸内細菌バランス悪化 ↓ IgE反応強まる |
発症 |
例: 転職でストレス&睡眠不足 → 腸内細菌バランス悪化 → IgE反応強まる → 発症。
花粉症は完治しないの?
西洋医学的には「寛解」はできても「完治」は難しいとされてます。
ただし
- 舌下免疫療法などで、根本的な耐性をつけることを目指す治療法を研究しています。
- 鍼灸や栄養療法で体質を整えると、症状ゼロに近づくケースも多い。
舌下免疫療法などで、根本的な耐性をつけることを目指す治療法を研究している |
鍼灸や栄養療法で体質を整えると、症状ゼロに近づくケースも多い |
鼻炎薬で喉が渇くのはなぜ?
- 抗ヒスタミン薬の副作用で、副交感神経の働きを抑えるため唾液分泌が減る。
- 特に第一世代抗ヒスタミン薬 ( 例:ポララミン、クロルフェニラミン ) はムスカリン受容体にも作用 → 口渇・便秘・尿閉などの副作用が出やすい。
抗ヒスタミン薬の副作用で、副交感神経の働きを抑えるため唾液分泌が減る |
特に第一世代抗ヒスタミン薬 ( 例:ポララミン、クロルフェニラミン ) はムスカリン受容体にも作用 ↓ 口渇・便秘・尿閉などの副作用が出やすい |
花粉症の薬で眠くなるのはなぜ?
- 第一世代抗ヒスタミン薬は血液脳関門を通過し、脳のヒスタミン受容体に作用 → 眠気が出る。
- 第二世代 ( 例:アレグラ、クラリチン ) は脳に届きにくく、眠気が出にくい。
第一世代抗ヒスタミン薬は血液脳関門を通過し、脳のヒスタミン受容体に作用 ↓ 眠気が出る |
第二世代 ( 例:アレグラ、クラリチン ) は脳に届きにくく、眠気が出にくい |
※重要:血液脳関門は、脳の神経細胞を守るための“超選別フィルター”のような構造。
血液中の有害物質や異物が脳内に入らないように制御する「生体バリア」。
血液脳関門の破城は、アルツハイマー病、パーキンソン病、うつ病・不安障害、多発性硬化症 ( MS ) 、脳腫瘍、脳炎・髄膜炎などを引き起こす可能性が示唆されています。
私個人的には、これからの健康を考えるときに、非常に大切な機能の一つに捉えています。
花粉症の対策・予防策
一般的:対策・予防策
- マスク・メガネ・洗眼・鼻洗浄
- 抗ヒスタミン薬・ロイコトリエン拮抗薬・ステロイド点鼻薬
一般的:対策・予防策 |
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マスク・メガネ・洗眼・鼻洗浄 |
抗ヒスタミン薬・ロイコトリエン拮抗薬・ステロイド点鼻薬 |
栄養学的 ( 腸内環境改善がカギ! )
- 発酵食品 ( 納豆 )
- オメガ3脂肪酸 ( えごま油、亜麻仁油、青魚 )
- 食物繊維 ( 野菜、海藻 )
栄養学的 ( 腸内環境改善がカギ! ) |
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発酵食品 ( 納豆 ) |
オメガ3脂肪酸 ( えごま油、亜麻仁油、青魚 ) |
食物繊維 ( 野菜、海藻 ) |
鍼灸医学的:対策・予防策
- 体質を「アレルギー体質」から整える
- 迎香 ( 鼻のわき ) ・印堂・合谷などのツボ
- 肝・脾・肺のバランス調整 ( 鍼灸医学では肺は皮膚・鼻を司る )
鍼灸医学的:対策・予防策 |
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体質を「アレルギー体質」から整える |
迎香 ( 鼻のわき ) ・印堂・合谷などのツボ |
肝・脾・肺のバランス調整 ( 鍼灸医学では肺は皮膚・鼻を司る ) |
花粉症になる人とならない人の違いは?
- IgE体質かどうか ( 遺伝・免疫 )
- 腸内環境 ( 70%の免疫細胞は腸にある )
- ライフスタイル ( 睡眠・ストレス・食事 )
例:同じ花粉にさらされていても、腸内環境が良い人は症状が出ないケースも。
花粉症になる人とならない人の違い |
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IgE体質かどうか ( 遺伝・免疫 ) |
腸内環境 ( 70%の免疫細胞は腸にある ) |
ライフスタイル ( 睡眠・ストレス・食事 ) |
例:同じ花粉にさらされていても、腸内環境が良い人は症状が出ないケースも |
外国にも花粉症はある?
あります!スギ・ヒノキは日本特有ですが。
- アメリカ → ラグウィード ( ブタクサ )
- ヨーロッパ → イネ科・シラカンバ
外国の花粉症 |
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アメリカ → ラグウィード ( ブタクサ ) |
ヨーロッパ → イネ科・シラカンバ |
人種で発症しやすさに差はある?
- 一部あるが、環境要因の方が強い
- アジア人は比較的IgE体質の人が多く、スギ花粉が強烈な日本では発症率が高い
人種で発症しやすさに差はある? |
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一部あるが、環境要因の方が強い |
アジア人は比較的IgE体質の人が多く、スギ花粉が強烈な日本では発症率が高い |
花粉症という病名ができる前は?
- 昔は「季節性鼻炎」「鼻風邪」と認識されていた
- 江戸時代には「くしゃみ病」などと呼ばれていた記録も
花粉症という病名ができる前 |
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昔は「季節性鼻炎」「鼻風邪」と認識されていた |
江戸時代には「くしゃみ病」などと呼ばれていた記録も |
1年中花粉症の人っているの?
います!
これを「通年性アレルギー性鼻炎」と呼びます。
- 春:スギ・ヒノキ
- 夏:イネ科
- 秋:ブタクサ・ヨモギ
- 冬:ハウスダスト・ダニ
春 | スギ・ヒノキ |
夏 | イネ科 |
秋 | ブタクサ・ヨモギ |
冬 | ハウスダスト・ダニ |
数のアレルゲンを持っている人は1年中鼻炎症状が出ます。
総まとめの処方イメージ ( 例 )
観点 | 処方 or アプローチ例 |
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西洋医学 | 抗ヒスタミン薬 ( 非鎮静 ) |
栄養学 | ビタミンD、乳酸菌、オメガ3、食物繊維の積極摂取 |
鍼灸 | 肺・脾・肝の調整 |
東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言
今回の「花粉症のあれこれ全部答えます<一般的な解釈から鍼灸医学のと捉え方まで>」は、いかがでしたか?
2019年の調査によると、日本人の花粉症の有病率は42.5%で、およそ2人に1人が花粉症。
身体を変えるために生活習慣、特に食生活について見直してみたいですね。
最後に
お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。
