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外陰部壊死 ( えし ) 性筋膜炎はどんな病気?<西洋医学的&鍼灸医学的視点で鍼灸師が教えます>

 2025/04/17 ライフスタイル 患者さまからの質問 特集と東洋医学 特集と症状・病気
この記事は約 7 分で読めます。
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患者さまからの質問

このような記事を見ました。

どのような病気ですか?

どんな人がなりやすい?

予兆はある?

罹患したときの対処法は?

ならないための対策は?

回答

外陰部壊死性筋膜炎 ( Fournier壊疽 ) は、非常に重篤で進行の早い感染性の壊死性疾患であり、早期治療を要する救急疾患です。

特に男性の会陰部 ( 陰嚢や肛門周辺 ) から発症しやすく、急速に筋膜や皮下組織を壊死させていきます。

どのような病気か ( 西洋医学的定義

名称

  • 外陰部壊死性筋膜炎 ( Fournier’s Gangrene
  • 壊死性筋膜炎の特殊型で、会陰部・陰部・下腹部に限局した壊死性感染症
名称
外陰部壊死性筋膜炎 ( Fournier’s Gangrene )
壊死性筋膜炎の特殊型で、会陰部・陰部・下腹部に限局した壊死性感染症

原因菌

  • 多種類の嫌気性菌・好気性菌の混合感染
    • 例:大腸菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、クロストリジウム属など
原因菌
多種類の嫌気性菌・好気性菌の混合感染
例:大腸菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、クロストリジウム属など

進行

  • 感染→組織の血流障害→壊死→毒素や炎症性サイトカインの全身拡散
  • 数時間~数日で全身性敗血症に至るケースも多く、致死率は20~40%に達する
進行
感染 → 組織の血流障害 → 壊死 → 毒素や炎症性サイトカインの全身拡散
数時間~数日で全身性敗血症に至るケースも多い
致死率は20~40%に達する

どんな人がなりやすいか

以下のような免疫力低下状態・慢性疾患をもつ人に多く発症します。

リスク因子説明
糖尿病血流障害と免疫低下により感染が進行しやすい
肥満皮膚の擦れや湿潤が細菌増殖の温床に
アルコール依存症栄養不良や肝機能低下で免疫が抑制される
高齢者自浄作用の低下、代謝機能低下
免疫抑制薬の使用抗がん剤、ステロイド、免疫抑制剤など

予兆はあるのか

早期発見が難しいことが多いですが、次のような初期症状が見られることがあります。

  • 陰嚢や会陰部の 強い痛み・腫脹・熱感
  • 皮膚が 赤黒く変色、のちに壊死性に ( 紫~黒 ) 
  • 悪臭のある分泌物
  • 発熱、寒気、全身倦怠感 ( →敗血症の兆候 ) 
主な初期症状
陰嚢や会陰部の 強い痛み・腫脹・熱感 
皮膚が 赤黒く変色、のちに壊死性に ( 紫~黒 )
悪臭のある分泌物
発熱、寒気、全身倦怠感 ( →敗血症の兆候 )

※痛みの割に皮膚の変化が少ないことがあり、見逃されやすい。

罹患したときの対処法 ( 西洋医学的

緊急入院・集中治療が必要

対処法内容
抗菌薬投与広域スペクトル抗菌薬 ( カルバペネム系など ) を点滴
デブリードマン ( 壊死組織切除感染源を除去する手術が不可欠
場合によっては陰嚢摘出やストーマ造設命を守るためには不可避なことも
ICUでの集中治療敗血症・多臓器不全を防ぐ

ならないための対策

予防策具体的内容
糖尿病などの持病管理血糖コントロールを良好に保つこと
清潔の保持陰部・会陰部の通気と衛生管理
早期受診陰部に違和感があればすぐ泌尿器科・皮膚科受診
栄養管理と免疫強化ビタミン、亜鉛、プロバイオティクスの摂取
便秘や下痢の予防肛門周囲の炎症は感染の起点となることがある

鍼灸医学の捉え方例

鍼灸医学的視点

病因病機 ( 東洋医学

  • 湿熱下注 ( しつねつかちゅう)」:湿気と熱が下焦 ( 下腹部 ) に停滞して毒となる
  • 瘀血 ( おけつ ) 」:血の巡りが悪く、膿毒が生じる
  • 腎虚+脾虚」:免疫や代謝を担う腎・脾の弱り
湿熱下注 ( しつねつかちゅう)湿気と熱が下焦 ( 下腹部 ) に停滞して毒となる
瘀血 ( おけつ )血の巡りが悪く、膿毒が生じる
腎虚+脾虚免疫や代謝を担う腎・脾の弱り

治療方針 ( 急性期以外の予防や回復期 )

  • 清熱解毒・活血化瘀・補腎健脾
  • 使用経穴:気海、関元、三陰交、血海、大腸兪、腎兪、足三里など
清熱解毒・活血化瘀・補腎健脾
使用経穴:気海、関元、三陰交、血海、大腸兪、腎兪、足三里など

※急性壊死性筋膜炎の急性期は鍼灸適応外 ( 必ず病院受診 ) 

身体の中で起きていること

炎症性サイトカインの暴走

  • TNF-α、IL-6、IL-1β などが急上昇し、局所から全身へ波及 → サイトカインストーム
TNF-α、IL-6、IL-1β などが急上昇し

局所から全身へ波及

サイトカインストーム

好中球とNETs ( Neutrophil Extracellular Traps

  • 感染に応じて好中球がNETsを形成 → 病原体を捕捉
  • しかし過剰形成で自己組織も傷つける
感染に応じて好中球がNETsを形成

病原体を捕捉
しかし過剰形成で自己組織も傷つける

細菌毒素による細胞障害

  • クロストリジウムなどは**ガス産生・壊死毒素 ( αトキシン ) **を放出し、筋膜を破壊
クロストリジウムなどは**ガス産生・壊死毒素 ( αトキシン ) **を放出

筋膜を破壊

低酸素・酸化ストレス

  • 微小血流障害により酸素供給が断たれ、ミトコンドリア機能が低下 → 細胞死と壊死が連鎖
微小血流障害により酸素供給が断たれ、ミトコンドリア機能が低下

細胞死と壊死が連鎖

症例で学ぶ:若戸桜さんの場合 ( 推定

有名人の方の病気に対するコメントは、するべきでないのかもしれません。

というのも、実際の報道が正しいのかどうか?、その患者さまがどのような持病をお持ちなのか?、また生活習慣など知りえないからです。

しかし、ケーススタディとして考えてみますね。

  • 若くして発症:背景に「代謝性疾患 ( 糖尿病予備群 ) 」「陰部外傷」「多忙による免疫低下」などがあった可能性
  • 力士は高体重・高蛋白食・下肢や会陰部への摩擦ストレスが多く、実は発症リスクが高い
若くして発症
背景に「代謝性疾患 ( 糖尿病予備群 ) 」「陰部外傷」「多忙による免疫低下」などがあった可能性
力士は高体重・高蛋白食・下肢や会陰部への摩擦ストレスが多い
実は発症リスクが高い

まとめ

項目要点
疾患名外陰部壊死性筋膜炎 ( Fournier壊疽 ) 
発症急速に進行する細菌感染症 ( 致死率高 ) 
リスク糖尿病、肥満、免疫低下、高齢、陰部の外傷など
治療速やかな抗菌薬+外科的デブリードマンが鍵
予防陰部の清潔、栄養、基礎疾患管理が重要
鍼灸慢性期・回復期・予防に補助的適応あり

東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言

外陰部壊死 ( えし ) 性筋膜炎はどんな病気?<西洋医学的&鍼灸医学的視点で鍼灸師が教えます>」は、いかでしたか?

外陰部壊死性筋膜炎の背景には、糖尿病 ( 予備軍を含め ) があります。

太りすぎ、特に、糖質過多の食生活は、あらゆる病気の背景になりやすいですね。

最後に

お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。

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金井 進

金井 進

元気の羅針盤編集長。
ホリス治療院院長、はり師、灸師 ( 国家資格 )。

1994年よりホリス治療院開業。
鍼灸、カイロプラクティック、フィジカルセラピーを融合した独自の治療体系で日夜、患者さんと向き合っています。

30年以上にわたる鍼灸臨床のなかで培った知識と経験をもとに、あなたの困った問題を解決できるような確かな情報をお届けしたいと思っています。

あなたの喜びの声を聞くことほど、私達の仕事に「情熱」と「やりがい」を与えてくれるものはありません。
いいこと・悪いこと、どんなことでも結構です。
是非、あなたの声をお聞かせ下さい。

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