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肝油ドロップは危険?安全?<効果・副作用・正しい摂取法を西洋医学と東洋医学で解説>

患者さまからの質問 特集と症状・病気 食と健康
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患者さまからの質問

小学生の頃に「肝油ドロップ」を食べていたことを思い出しました。

懐かしさが込み上げてきました。

なぜ子供に肝油ドロップを食べさせていたのでしょうか?

大人が食べてもいいのですか?

肝油ドロップの効果・効能は?

肝油ドロップのメリット・デメリットは?

回答

懐かしい「肝油ドロップ」に関するご質問、ありがとうございます。

本回答では、肝油ドロップに含まれる成分とその効果・効能、メリット・デメリットを、 西洋医学、鍼灸医学、栄養学、さらに分子生物学的な観点からわかりやすく解説し、 最後に例題形式で具体的に紹介します。

肝油ドロップとは?

肝油ドロップとは、元々は**タラ ( 鱈 ) の肝臓から抽出された肝油 ( フィッシュオイル ) **を主成分とした甘いゼリー状のサプリメントです。

近年では合成ビタミンを加えたものが多く、主に子ども向けにビタミン補給を目的として学校などで配られていました。

子どもに与えられていた理由 ( 西洋医学・栄養学的観点 )

昔の日本 ( 特に戦後 ) は栄養失調やビタミン欠乏症が多く、特に以下のことが問題視されていました。

  • ビタミンA欠乏:夜盲症、免疫低下
  • ビタミンD欠乏:くる病 ( 骨が変形する病気 )

これらを予防するために、肝油ドロップが利用されました。

主な目的ビタミンA・Dの補給
戦後の日本の問題ビタミンA欠乏:夜盲症、免疫低下
ビタミンD欠乏:くる病 ( 骨が変形する病気 )
肝油ドロップが利用された理由上記の病気の予防

現代の使用

現代では栄養状態が改善されたため「おやつ感覚のサプリメント」として使われていますが、 ビタミンA・Dのサポートとしてインフルエンザや感染症の予防にも注目されています。

大人が食べてもいいの?

はい、大人も摂取して問題ありません

特に以下のような方には有益です。

  • 夜間視力の低下が気になる人 ( ビタミンA )
  • 日光に当たる機会が少ない人 ( ビタミンD不足 )
  • 免疫力を高めたい人 ( A・Dは免疫細胞活性に関与 )
  • 妊娠中・授乳中のビタミンD補助 ( ※過剰摂取に注意 )
夜間視力の低下が気になる人 ( ビタミンA )
日光に当たる機会が少ない人 ( ビタミンD不足 )
免疫力を高めたい人 ( A・Dは免疫細胞活性に関与 )
妊娠中・授乳中のビタミンD補助 ( ※過剰摂取に注意 )

肝油ドロップの効果・効能

成分主な作用分子生物学的な作用機序
ビタミンA視力維持、皮膚・粘膜保護、免疫賦活ロドプシン合成、上皮細胞の分化促進、ナチュラルキラー細胞の活性化
ビタミンD骨代謝、免疫調整腸管でカルシウム吸収促進、T細胞の分化制御、抗炎症サイトカイン誘導
DHA / EPA ( 含まれる製品もあり ) 脳機能・血流改善、抗炎症作用細胞膜の流動性向上、NF-κB抑制、抗炎症性サイトカイン誘導

鍼灸医学的な解釈

鍼灸医学では「肝は目に開竅し、血を蔵す」とされます。

肝油に含まれるビタミンA・Dは、肝血を養い、目や筋の健康を保つものとして理解できます。

  • 肝虚 ( かんきょ ) :目の乾燥・疲れ、爪のもろさ、月経異常など
  • 腎陽虚 ( じんようきょ ) :骨の脆弱、成長の遅れなど
肝虚 ( かんきょ )目の乾燥・疲れ、爪のもろさ、月経異常など
腎陽虚 ( じんようきょ )骨の脆弱、成長の遅れなど

肝油ドロップはこれらを補養 ( ほよう ) する「補肝補腎」の作用ととらえられます。

メリットとデメリット

✅ メリット

  • ビタミンA・Dを手軽に補える
  • 風邪・インフルエンザ対策の免疫強化
  • 味が甘く、子どもが続けやすい
  • 視力・骨健康・皮膚健康のサポート
メリット
ビタミンA・Dを手軽に補える
風邪・インフルエンザ対策の免疫強化
味が甘く、子どもが続けやすい
視力・骨健康・皮膚健康のサポート

❌ デメリット

  • 過剰摂取によるビタミンA・D中毒 ( 脂溶性ビタミンのため排出されにくい )
  • 糖分が多い製品があり、虫歯や肥満のリスク
  • 高濃度製品は医師との相談が必要 ( 特に妊婦・授乳婦 )
デメリット
過剰摂取によるビタミンA・D中毒
( 脂溶性ビタミンのため排出されにくい )
糖分が多い製品があり、虫歯や肥満のリスク
高濃度製品は医師との相談が必要
( 特に妊婦・授乳婦 )

生理学的観点での補足

ビタミンA

  • 視細胞のロドプシン再生に不可欠 ( 夜盲症予防 )
  • レチノイン酸受容体 ( RAR ) を介して遺伝子発現を制御し、上皮細胞分化を促す
ビタミンA
視細胞のロドプシン再生に不可欠
( 夜盲症予防 )
レチノイン酸受容体 ( RAR ) を介して遺伝子発現を制御し、上皮細胞分化を促す

ビタミンD

  • ビタミンD受容体 ( VDR ) を介して、腸管でのカルシウムチャネル ( TRPV6 ) 発現を誘導
  • T細胞・樹状細胞を調整し、自己免疫疾患を抑制
ビタミンD
ビタミンD受容体 ( VDR ) を介して、腸管でのカルシウムチャネル ( TRPV6 ) 発現を誘導
T細胞・樹状細胞を調整し、自己免疫疾患を抑制

例題:こんな人に肝油ドロップ

例①:冬になると毎年風邪をひきやすい10歳の子ども

  • 免疫維持のためにビタミンD補給
  • 日照不足が原因の場合も多い
例①:冬になると毎年風邪をひきやすい10歳の子ども
免疫維持のためにビタミンD補給
日照不足が原因の場合も多い

例②:夜に視界がぼやける40代女性

  • ビタミンA不足の可能性
  • 肝油ドロップで軽度の夜盲症対策
例②:夜に視界がぼやける40代女性
ビタミンA不足の可能性
肝油ドロップで軽度の夜盲症対策

例③:骨粗鬆症予備軍の60代男性 ( 屋内勤務 )

  • ビタミンDとカルシウム吸収をサポート
  • 筋肉維持にも貢献
例③:骨粗鬆症予備軍の60代男性 ( 屋内勤務 )
ビタミンDとカルシウム吸収をサポート
筋肉維持にも貢献

予防・治療・予後

項目内容
予防ビタミンA・Dの慢性不足予防
感染症、骨軟化のリスク軽減
治療軽度の欠乏状態には有効
( ただし、重度は医療的介入が必要 )
予後適切に摂取すれば視力や免疫、骨代謝の改善が見込める

東洋医学・鍼灸医学の現場からひと言

今回の「肝油ドロップは危険?安全?<効果・副作用・正しい摂取法を西洋医学と東洋医学で解説>」はいかがでしたか?

肝油ドロップは、単なる「懐かしいお菓子」ではなく、 ビタミンA・Dを通じて視覚、免疫、骨の健康を支える実力派サプリメントです。

大人でも、生活習慣や体質に応じて適量を摂取することで健康維持に役立つ可能性があります。

ただし、脂溶性ビタミンであるため過剰摂取には注意しましょう。

いつも最後までお読みいただきありがとうございます。

最後に

お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。

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金井 進

金井 進

元気の羅針盤編集長。
ホリス治療院院長、はり師、灸師 ( 国家資格 )。

1994年よりホリス治療院開業。
鍼灸、カイロプラクティック、フィジカルセラピーを融合した独自の治療体系で日夜、患者さんと向き合っています。

30年以上にわたる鍼灸臨床のなかで培った知識と経験をもとに、あなたの困った問題を解決できるような確かな情報をお届けしたいと思っています。

あなたの喜びの声を聞くことほど、私達の仕事に「情熱」と「やりがい」を与えてくれるものはありません。
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