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十二指腸癌の症状、診断、転移、治療法、術後ケアと癌が成長する仕組み

 2016/09/08 特集と症状・病気
この記事は約 10 分で読めます。
タレントの梅宮辰夫さんが、十二指腸乳頭がんで、早期発見し、手術に成功していると、娘さんの梅宮アンナさんが会見をしたというニュースが入りました。

そこで、十二指腸ガンの原因、症状、治療法や術後管理など詳しくお話ししたいと思います。

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Contents

消化器って何?

私たちの身体は、様々な活動をしています。
例えば、感覚器は、目、耳や皮膚などで構成され、外からの情報を収集しています。
脳神経系は、感覚器から得た情報を処理し、記憶と照らし合わせて判断します。
そして、運動器官である骨、筋肉や腱などを使って、身体を動かします。

また、循環器系は、血液を全身に送る役目があり、呼吸器系は、血液中に酸素をとり入れ、炭酸ガスを排出します。
その他にもホルモンにより特定の器官や組織の活動をコントロールしている内分泌系など様々な活動グループがあります。

消化器は、栄養を体内にとり入れる役目があり、身体の成長と維持に必要な物質や活動に必要なエネルギーを吸収しています。

消化器は、口腔、咽頭、食道、胃、小腸、大腸などから構成される消化と吸収をする消化管と消化液を分泌する唾液腺、肝臓、胆のうや膵臓などの消化腺があります。

十二指腸の働き

あなたが食べた物の流れをみてみましょう。
食べ物は、口から入り、食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸を経て便となり排出されます。

胃と小腸のつなぎ目が十二指腸です。
十二指腸では、様々な酵素、胆汁、膵液などを分泌し、空腸から吸収が始まります。
食べた物の水分の約80%が小腸で吸収されます。

ガンって何?

細胞は生まれ変わっている

私たちの身体は、60兆とも70兆とも言われる細胞でできています。
その細胞の一つ一つは、生まれ変わり、入れ替わっています。
例えば、赤血球は、誕生してから約120日で入れ替わり、白血球は、約6時間でその半数が入れ替わっています。
私たちの身体は、同じように見えても、およそ1年くらいで殆どの細胞が生まれ変わっているんです。

細胞(遺伝子)のコピーミスがガン細胞

細胞が成長する、つまり分裂をして増殖する設計図が遺伝子です。
この遺伝子があるおかけで、胃の細胞は胃になり、肝臓の細胞は肝臓になります。
しかし、莫大な数の細胞のコピーをしていますので、中には遺伝子のコピーミスが起こります。
これが、ガン細胞ができてしまうことに関係していると考えられています。

ガンの発育する、広がる方向

1.消化管の内腔に向かって発育、広がっているもの

  • 主として、ポリープ状のもの

2.筋層へ向かって発育、広がっているもの

  • 潰瘍性病変を伴うもの

3.粘膜に沿うように発育、広がっているもの

昔は、1の消化管の内腔に向かうものと、2の筋層へ向かうものは、レントゲン検査で発見されやすいため、早期癌のほとんどを占めていました。しかし、近年はレントゲン写真技術や他の検査技術が進化したために、3の粘膜に沿うような浅い病変も見つかるようになっています。

早期ガンとは?

早期ガンとは、ガン細胞ができてから早い時期、初期と考えてしまいますが、実は、ガン細胞の広がり方で決定します。
粘膜筋板を超えず粘膜内にとどまっているものを「m癌」、粘膜下に浸潤していても固有筋層に達していないものを「sm癌」で、それらを早期ガンと呼びます。

進行ガンとは?

粘膜内にとどまらず、固有筋層に達しているものを進行ガンと定義しています。

ガンの転移する経路は?

ガンが転移する経路は、

リンパ行性転移

  • リンパ節転移
  • リンパ管浸潤(浸潤:ガン細胞が周りに直接広がること)etc

血行性転移

  • 肝転移
  • 肺転移
  • 骨転移
  • 脳転移etc

播種性転移

ガン性腹膜炎

管腔内転移

があります。

早期ガンは、予後良好か?(治りやすいのか?)

予後とは、病気がたどる経過と結果の事を言います。
つまり、その病気がどうなると予想できるか?ということです。

早期ガンと言われたら、予後良好・・・治りやすい・・・と考えやすいのですが、実は、消化器(十二指腸)の早期ガンはガン細胞が成長している向き、広がりによって決まるために、予後良好、治りやすいとは言いにくいのです。

確かに早期ガンの中でも粘膜筋板を超えていない粘膜内膜ガン(m癌)であれば手術で取り除ける可能性が高いのですが、広く成長しているものもあります。
また、粘膜下層には、血管やリンパ管がたくさんありますので、粘膜筋板を超えた「sm癌」の場合、リンパ節転移や血行性の転移の可能性が高くなります。

発ガン、成長の3段階

1.発ガン段階:イニシエーション(Initiation)

  • 発ガン物質(イニシエーション)により、遺伝子異常が起こり、準備状態が作られる「発ガン段階」

2.成長段階:プロモーション(Promotion)

  • 発ガン準備段階の細胞の増殖(成長)を促進するプロモーターにより、細胞が腫瘍化する段階

3.増殖段階:プログレッション(Progression):

  • 細胞が、ガン化し、増殖進行している段階

なぜ、ガンになるのか?

私たちは、常に細胞の生まれ変わり、入れ替わりをしていて、その入れ替わる際にガン細胞ができてしまいます。
しかし、ガンになる人、ならない人がいます。
それは、私たちの身体をガンから守る防衛機能である「ガン免疫」があるからです。
その「ガン免疫」を乱す生活習慣には、
  • 高カロリー、高脂肪中心の食事
  • ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足した食事
  • 環境の悪化(大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、食物に含まれる有害化学物質の増大、紫外線の増加、環境ホルモンによる汚染等々)
  • ストレスの増大
などがあります。

ガン細胞の掃除屋、キラー細胞

私たちの身体を守るために、自分自身の細胞以外を排除する役割を持つ細胞が、リンパ球のキラー細胞です。
このキラー細胞には、キラーT細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞、K(キラー)細胞やLAK(lymphokine activated killer)などがあります。
これら私たちの身体に備わった、ガン免疫(防衛機能)により、守られています。
近年は、このガン免疫機能を高め、ガンの治療に役立てようとする免疫治療の研究が進んでいます。

十二指腸ガンの診断法

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1.X線検査

単純X線写真(レントゲン)や造影撮影などの検査をして診断します。

2.エコー検査や内視鏡検査

エコー検査は、超音波を使う検査です。
内視鏡検査で、組織をとり、病理検査することで、確定診断をします。

3.腫瘍マーカー(血液検査)

正常細胞が分裂するときに、遺伝子が傷つきガン化するのですが、遺伝子にはそれぞれが、決まったタンパク質を産生しています。
つまり、遺伝子が変化すると産生されるタンパク質も変化します。このことに注目し、ガン細胞が産生する物質を検出できればガン細胞を見つけることができます。
ある特定のガン細胞だけが、産出する物質を見つけることができれば良いのですが、今のところ、正常細胞でも少量産出していたり、良性でも高値を出すことがあったり、反対にガン患者さんでも低値になったりとまだ完成はしていのですが、血液検査という簡易さと副作用のなさからこれからの研究が期待されます。
消化器ガンでは、AFP、CEA、CA19-9などが使われています。

4.CT・MRI(磁気共鳴映像法)検査

CT検査は、CT(Computerd Tomography)の名の通り、コンピューター処理をして身体の内部を輪切りに見ることができる検査です。
MRI(Magnetic Resonance Imaging)検査は、磁気共鳴を利用して体内の水素原子の存在量と部位を映像化する方法です。
CT検査では、縦断面しか撮影できないのに対し、MRIは、縦、横の断面を簡単に撮影できるようになりました。

5.シンチ検査

放射性同位元素(ラジオアイソトープ)を注射して、腫瘍にとり込まれたアイソトープから放出される放射能をカメラ撮影する検査です。

十二指腸ガンの初期症状と早期発見

初期症状はほとんどなく、自覚症状で十二指腸ガンを見つけるのは、困難とされていますが、みぞおちが痛い、吐き気や嘔吐、貧血などがある場合もありますので、詳しくお話ししましょう。

みぞおちが痛い

空腹の時や胃液の分泌が多くなる夜間に痛むことが多く、何か食べると治まります。食後2~3時間でみぞおちが痛むことがある。

胸やけ、胃のもたれ

お腹の上部に不快感があり、胃が締め付けられるような感じがある。

便が黒くなる

出血が便に混じって、コールタールのような黒光りする便になります。

貧血

病気が進み、出血が多くなると貧血を起こすことがります。

吐血

胃や十二指腸から出血があると、コーヒーかすのような色の血がでます。

突然の激しい腹痛

十二指腸の壁に孔(あな)が空いた状態で、お腹が硬くなり、腹膜炎になることもあります。

激しい痛みが背中や下腹部に散る

背中の痛みは、ぎっくり腰や筋筋膜性(筋肉)の痛みと区別がしにくいので注意が必要です。

吐き気、嘔吐、みぞおちのはりやもたれ

十二指腸の下部、胃とのつなぎ目が狭窄(つまり)、食事が通らなくなる時もあります。

上記のような症状がある場合、胃潰瘍や十二指腸潰瘍のおそれもあります。
気になる方は、専門のドクターに相談することが、早期発見に繋がります。

十二指腸ガンの治療法

手術療法が、第1選択となります。進行している場合は、抗がん剤治療が中心となり、放射線療法、温熱療法や免疫療法などがあります。

術後や末期の十二指腸ガンで大切なこと

末期ガンとは、一般的には手術的に治療できる範囲を超え、3~6ケ月以内に死の転帰をとる可能性が高い場合を指すことが多いです。

末期ガン患者さんの問題点として、
  • 激しい疼痛
  • 死への恐怖
  • 長期入院による仕事や家庭などの社会生活上の問題
  • 経済的問題
  • 家族の苦悩

があります。

そして、告知なども大きな問題です。
末期の十二指腸ガンでも、この問題点をクリアーすることが大切となります。

1.疼痛管理

現在、約90%の患者さんが激しい痛み戦いながら、亡くなるとするドクターもいます。
その痛みは、
  • ガンの神経圧迫または浸潤
  • 腹膜、肋膜、骨膜などの有痛性組織へのガン浸潤
  • ガン性腹膜炎による管腔臓器の閉塞
  • ガンの壊死、炎症
  • ガンによる血行傷害など直接にガンが原因となっているもの
  • 抗がん剤や放射線治療など、治療によるもの
  • 長期臥床による床ずれなどの障害によるもの
があります。

2.栄養管理

とくに十二指腸の摘出手術を行った場合、栄養管理が難しくなります。

3.精神的問題

告知の問題も含めて、元気な時から自分だったらどうしたいか?
また大切な家族の意思等々を聞き、考え、確認しておきたいものです。

4.入院治療の是非

最後には、どこまで積極的な治療をするのか、家族の協力体制など個々人によって大きく違いがあります。自分だったら・・と考えておくことがやはり大切だと思います。

まとめ

「梅宮辰夫さんも手術した十二指腸ガン、原因、症状、術後を完全解説」はいかがだったでしょうか?
梅宮辰夫さんの1日も早い回復をお祈り申し上げます。
そして、病気になった時、特にガンのような生命に関わる病気なった時に、どうするのか?元気な時こそ、考えておきたいものですね。

もしも、病気から遠ざかる食事法を知りたいようでしたら、こちらもチェックして下さい。

 

もしも、末期の痛み(疼痛管理)に興味があるようでしたら、こちらもチェックして下さい。

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金井 進

金井 進

元気の羅針盤編集長。ホリス治療院院長。はり師、灸師(国家資格)。

1994年よりホリス治療院開業。鍼灸、カイロプラクティック、フィジカルセラピーを融合した独自の治療体系で日夜、患者さんと向き合っています。

30年にわたる鍼灸臨床のなかで培った知識と経験をもとに、あなたの困った問題を解決できるような確かな情報をお届けしたいと思っています。

あなたの喜びの声を聞くことほど、私達の仕事に“情熱”と“やりがい”を与えてくれるものはありません。
いいこと・悪いこと、どんなことでも結構です。
是非、あなたの声をお聞かせ下さい。

コメント

  1. ミッチー より:

    今朝実父が亡くなりました。
    十二指腸癌でした。
    発症してから約2年、よく頑張ったと思います。
    入院してもすぐ回復し退院するを繰り返しその都度元気になり帰ってきました。しかし、最後の入院では日に日に弱り自宅には戻れないと覚悟はしました。
    亡くなる前日、せん妄があり【(病室から)出してくれよ】と何度もお願いされました。
    本人もこの2年の間に覚悟を決め、残された私達が困らないようにと手帳にいろいろと書きためていました。
    今はいろいろ思い出し涙が止まらないですが、今までの感謝を話しかけようかと思います。

    1. ミッチーさま
      お父様のご冥福をお祈り申し上げます。

      今朝、亡くなられたとのこと、これからお忙しくなると思います。
      どんなに尽くしても、どんなに覚悟を決めていても、どんな状況でも、大切な人を亡くされたときに、残された方が辿る道があります。
      それは、懺悔と後悔の道です。

      ミッチーさんのお父様の場合も、お父様も、ミッチーさんやご家族も、そしてお医者さんをはじめ医療スタッフも出来る限りのことをされたのが文面からひしひしと伝わってきます。
      それでも、ふと「ああすれば良かったかな・・・」「もっと・・・」と懺悔と後悔をされるかもしれませんが、きっとお父様は満足されていたと思います。

      繰り返しになりますが、お父様のご冥福とミッチーさんがこれからも幸多き人生になりますように、お祈り申し上げます。

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