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貧血の症状、血液検査、原因と対処法、食事対策から漢方薬の選び方まで

 2016/12/28 特集と症状・病気 食と女性の健康
この記事は約 8 分で読めます。
  • 立ち上がろうとするとクラっとめまいがする・・・
  • ちょっと階段を上っただけで、息切れ、動悸がする・・・
  • 化粧ののりが悪く、肌が荒れやすい・・・
  • 瞼のむくみがとれない・・・
  • 疲れがとれず、だるい・・・
  • 暑くないのに、氷が食べい・・・
  • 手足が冷たく、冷えやすい・・・
  • 睡眠が浅く、朝起きるのがつらい・・・

もしかしたら、それは貧血が原因かもしれません。
私たちの酸素を運ぶ赤血球。この重要な働きをしている赤血球が不足したり、
機能が落ちたりしている貧血について詳しくお話しします。

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貧血にはどんな症状があるのでしょうか?

上記の症状の他にも

  • 顔色が悪い
  • 目まい、立ちくらみがする
  • 動悸・息切れ
  • 暑くないのに、とにかく氷が食べたい
  • 口内炎・口角炎
  • 寝るとき、手足がムズムズする

などなど、貧血は、様々な症状を引き起こします。

貧血とは?

血液検査で、赤血球数、ヘモグロビン量が少なくなった状態が貧血です。

 

血液検査基準値は?

検査項目
男性基準値
女性基準値
赤血球数(RBC)
410万~530万個/m㎥
380万~480万個/m㎥
ヘモグロビン量(血色素量・Hb)
14~18g/dl
12~16g/dl
ヘマトクリット(Ht)
39~52%
35~48%
網状赤血球
3~25‰
3~25‰

赤血球数(RBC)

酸素を私たちの体の隅々まで運ぶのは、赤血球の中にあるヘモグロビンと呼ばれる色素です。
正常な状態では、赤血球数は一定に保たれています。
しかし、赤血球数が1ml中に、350万個以下になると貧血が考えられます。
※350万個以下は貧血が疑われます。

ヘモグロビン量(血色素量・Hb)

ヘモグロビンは、赤血球の中に入っていて、色素であるヘムとタンパク質のグロビンでできています。
鉄からヘムができますので、鉄が不足するとヘモグロビンも少なくなります。
女性は、月経などにより鉄を失う機会が多いので、低色素性貧血になりやすい傾向があります。
※10g/dl 以下になると貧血が疑われます。

ヘマトクリット(Ht)

血液を分離するという意味のヘマトクリット。
その名の通り、血漿と血球成分を分離し、血球層の割合を調べます。
血球には、赤血球、白血球、血小板があります。しかし、白血球と血小板は、極少数なので、分離した血球層は、ほぼ赤血球と考えることが出来ます。
検査方法が簡便なので、貧血の目安に使えます。

網状赤血球

生まれた(生成された)ばかりの赤血球のことを網状赤血球と呼びます。
そのため、赤血球の生成に関係する再生不良性貧血や溶血性貧血の診断に使われます。
貧血治療後に、この網状赤血球が増えてくれば、治ることが予想できます。

貧血の種類、原因と対処法

出血性貧血

原因

胃腸や肺など、内臓のどこかで出血していると、血液量が減り、貧血状態になります。

対処法

出血している箇所を探し、治療します。

鉄欠乏性貧血

原因

私たちの細胞へ酸素を運ぶ重要な働きをする赤血球。
その赤血球は、血液中の鉄が少なくなると、薄く小さくなります。
この状態が鉄欠乏性貧血です。

胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの消化管の潰瘍、胃癌などの病気で出血が続くと鉄が足りなくなり、貧血状態になります。
また女性の場合、月経、妊娠、出産や授乳などにより鉄が失われても貧血状態になります。

症状

貧血の症状の他に、爪が薄くなったり、割れやくなったり、さじ状に波打ったりします。

治療

鉄剤の服用が基本になります。

巨赤芽球性貧血

原因

ビタミンB12や葉酸不足で起こる貧血です。

ビタミンB12は、内因子と呼ばれるタンパク質が、胃で分泌されることで、腸で吸収されます。
この胃の内因子が分泌されないと、ビタミンB12が吸収されず、体内で足りなくなります。
ビタミンB12が不足すると、赤血球は正常に作ることができずに、貧血状態になります。

血を作る(造血する)骨髄で、赤血球に分化する赤芽球の成熟ができずに、核などが大きくなった巨赤芽球が多くなります。

葉酸の不足でも同じようになります。

症状

貧血の症状の他に、舌炎や神経症状が起こることがあります。

治療

筋肉注射をします。
通常、数週間、注射することで症状もなくなります。
その後は2~3ヶ月に1回注射していきます。

症状が改善されても、吸収ができない状態が改善されたわけではありませんので、定期的な注射は継続していきます。

葉酸不足の場合は、葉酸を服用すれば改善していきます。

溶血性貧血

成人では、赤血球の寿命は、通常120日間です。
何らかの原因で、120日よりも早いサイクルで壊されると、造血機能(血を造る働き)が高まりますが、破壊される赤血球が多くなると、造血が間に合わなくなり、貧血状態になります。
ときに脾臓が腫れることがあります。

再生不良性貧血(悪性貧血)

骨髄で血球を造る造血能力が低くなり、赤血球が減少する貧血です。
同時に白血球や血小板の減少するために、細菌感染や出血なども起こりやすくなります。

原因

再生不良性貧血はほとんどが原因不明です。
他の病気の治療、放射線、抗がん剤や抗生物質などの薬が原因のこともあります。

症状

貧血の症状のほか、出血しやすくなります。

治療

輸血による治療がほとんどです。
男性ホルモンなどを長期間、使用します。

貧血によい食べ物

赤血球を増やすためには、鉄だけでなく、タンパク質(アミノ酸)、ビタミンB12、葉酸、リボフラビン、ナイアシン、ビタミンB6・C・A・E、銅やコバルトなどのビタミンやミネラルが必要になります。

ミネラルやビタミンを単体ではなく、総合ミネラルやマルチビタミンとして摂ることが大切です。

鉄分を多く含む食品

★種実・豆類
ごま
(9.6)
干し湯葉
(8.1)
高野豆腐
(9.4)
国産大豆
(9.4)
豆味噌
(6.8)
インゲン豆
(6.0)
えんどう
(5.0)
★魚介類
しじみ
(10.0)
煮干し
(18.0)
あさり
(7.0)
はまぐり
(5.1)
しらす干し
(4.0)
★海藻類
水前寺のり
(300.0)
干しかわのり
(110.0)
干しひじき
(55.0)
焼のり
(12.7)
干しわかめ
(7.0)
塩抜きもずく
(4.0)
削り昆布
(3.1)
★緑黄色野菜
パセリ
(9.3)
ほうれん草
(3.7)
小松菜
(3.0)
大根の葉
(2.5)
春菊
(1.9)
★その他
干し黒きくらげ
(44.0)
酵母(乾)
(20.0)
豚肝臓
(13.0)
鶏肉肝臓
(9.0)
小麦胚芽
(6.6)
卵黄
(4.5)
牛肝臓
(4.0)
「四訂日本食品標準成分表」より

 

鉄分の吸収で気をつけたいこと

食べた鉄分が効率良く吸収されるように工夫することも大切です。

例えば、タンパク質と一緒に食べると吸収効率が良いことが知られています。
未精製の白米は、フィチン酸を含んでいるため、鉄の吸収が妨げられると考える人もいますが、実際は、大豆製品や海藻、緑黄色野菜などを一緒に食べれば心配ありません。

ただし、お茶やコーヒーに含まれる「タンニン酸」は、鉄の吸収効率を下げますので、避けた方が良いでしょう。

貧血解消の決め手は、青野菜にありました

「赤血球やヘモグロビンは、青い野菜で作れる!」

というとおかしなことを言うと思われる方もいらっしゃると思います。

実は、

血の赤い色は、鉄の赤色です。

野菜の青い色は、クロロフィル(葉緑素)の青色です。

面白いことに、
赤色の鉄は、「ピロール核」と呼ばれるものが4つあり、その中に”鉄”が1分子入っています。
青色のクロロフィル(葉緑素)は、“鉄”の代わりに”マグネシウム”が入っています。

”鉄”と”マグネシウム”が入れ替わっているだけで、同じ構造なのです。

このクロロフィル(葉緑素)が、体内に入ると”マグネシウム”が“鉄”に入れ替わり、血色素が作られるのです。

貧血気味だと感じたら、色の濃い青野菜を食べたいものです。

自覚症状から漢方薬を選ぶ

貧血気味の方は、食べ物から改善することが大切だと思うのですが、それでも駄目だったら、漢方薬という手もあります。
そこで、自覚症状から漢方薬を選ぶコツをお教えします。

十全大補湯

倦怠感があり、疲れやすく、顔色が悪い。

加味帰脾湯

疲れやすく、顔色悪く、不眠気味。

当帰芍薬散

顔色が優れず、月経障害があり、冷え性。へその斜め下を押すと痛む。

小建中湯

顔色悪く、易疲労、腹痛や鼻血を出しやすい。

四君子湯

顔色が黄色く、唇に血色がなく、疲れやすく、食欲不振。

まとめ

「貧血の症状、血液検査、原因と対処法、食事対策から漢方薬の選び方まで 」は、いかがだったでしょうか?
貧血傾向は、私たちの病気と言えないような体調不良から、様々な病気を引き起こす原因にもなります。

もしも、食事から貧血傾向を改善したいとお考えなら、こちらもチェックしてください。

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金井 進

金井 進

元気の羅針盤編集長。ホリス治療院院長。はり師、灸師(国家資格)。

1994年よりホリス治療院開業。鍼灸、カイロプラクティック、フィジカルセラピーを融合した独自の治療体系で日夜、患者さんと向き合っています。

30年にわたる鍼灸臨床のなかで培った知識と経験をもとに、あなたの困った問題を解決できるような確かな情報をお届けしたいと思っています。

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