- 「パラリンピックが終わったら、安楽死を考えている」金メダリスト、病と戦う苦しみを明かす。
- 『パラリンピックが終わったら安楽も考えている」笑顔の裏に隠された病との闘い。
- 「安楽死」リオ、パラリンピックに出場した車椅子スプリント選手 終了後に人生を引退すると告白。
などなど、センセーショナルなニュースが入りました。
しかし、この車いすスプリント選手であるベルギーのヴェルヴォート(Mirieke Vervoort)選手は、9月10日に行われた車いす400メートルで銀メダルを獲得後会見を開き、「まだ、その時期ではない。」と訂正会見をしました。
そこで、なぜ安楽死の発言をしたのか?そして、進行性の難病やガンなどの末期の病気で苦痛に耐えている患者さんに寄り添って、痛みを緩和する疼痛管理としての医療大麻の可能性を考えたいと思います。
安楽死って何?
安楽死とは、厳格な基準によって、第3者(主に医師)が、患者さんの生命を短縮する行為のことです。
その厳格な基準とは、日本では2つの判例がありますが、1995年の東海大安楽死事件と呼ばれる横浜地裁の判決を紹介します。
- 耐え難い肉体的苦痛に苦しんでいる
- 死が避けられず、死期が迫っている
- 肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし、ほかに代替手段がない
- 生命の短縮を承認する患者さんの明示の意思表示がある
という4条件です。
尊厳死って何?
安楽死と尊厳死を混同しやすいので、以下に尊厳死の基準をやはり過去の判例から紹介します。
- 治癒不可能な病気に侵され、回復の見込みがなく、末期状態にある
- 治癒行為の中止を求める患者本人の意思表示か、家族による患者本人の意思の推定がある
- 自然の死を迎えさせる目的に沿った決定である
という3条件を満たしたもので、尊厳死とは、治療行為の中止のことと言えます。
安楽死を認めている国
スイス、アメリカ(オレゴン州、ワシントン州、モンタナ州、バーモント州、ニューメキシコ州、カルフォルニア州))、オランダ、ベルギーなど。
ヴェルヴォート選手のベルギーでは、毎年1,500人以上で、死亡者全体の2%が安楽死です。
なぜ、ヴェルヴォート選手は安楽死の申請許可を得ていることを発表したのでしょうか?
ヴェルヴォート選手は、14歳で発症した進行性の病気で、脊髄が傷つき、両足が動かない症状が重く、激痛や発作に襲われ、1晩に10分程度しか寝れないこともあることを激白しました。
ヴェルヴォート選手は、2008年に3人の医師の判断など、合法的な手続きで申請許可を準備したようです。
そして、
「耐えられないと感じたら、自分で決められる。許可証の存在は私に安らぎをもたらした。」
「重い病気にかかっている人にとって、安楽死という選択肢が心の平穏を与えている面があることを知ってもらいたい。」
とも話しています。
安楽死について、自分だったら・・・、大切な家族だったら・・・と自分事として考えるきっかけとして、ヴェルヴォート選手は、発言、公表したのではないでしょうか?
さて、勇気あるヴェルヴォート選手の発言を受けて、解決できない病気、難病での苦痛に注目していきたいと思います。
解決できない病気、難病や痛みがたくさんあることを知ろう
遺伝子の解明など様々な医療トピックスが話題に上がりますが、まだまだ解明できていない病気が多いのが現実です。
難病研究の対象とする病気の数は、数百にも及びます。
日本において、その難病のわずか56疾患が特定疾患治療研究事業の対象になっています。その対象者は78万人を超えています。
また、指定難病と呼びばれる難病があり、平成27年から306疾患が対象となっています。
この指定難病患者さんは、約150万人もいます。
この他にも患者さんが少なかったり、診断基準が定められていない疾患もありますから、本当にまだまだ分からない、解決できない病気、難病がたくさんあります。これは、それだけ多くの患者さんが苦しんでいることになります。
中には、ヴェルヴォート選手のように進行性で、激痛に苦しんでいる患者さんも多くいらっしゃいます。
せめて、痛みだけでも和らげたい
難病の解決には、多くの研究と日数がかかります。
その間にも、患者さんは日々、苦しんでいます。
特に日本においては、患者さんの痛み、苦しみに鈍感と言える現実があります。
患者さんの痛みに敏感になり、少しでも和らげる方法をすべて行えるように考えることはできないのでしょうか?
医療大麻を考える
現在使用できる痛み止めが効かない患者さんで、モルヒネや医療大麻が有効な場合があります。
諸外国では、モルヒネや医療大麻を処方する病院が、強盗に襲われるケースもあり、セキュリティコストが大きな問題なのですが、日本においては、強盗が少なく有利な環境にありますから、モルヒネや医療大麻の研究がしやすいと言え、世界をリードすることが望まれています。
しかし、医療大麻は、タブー視される傾向にあり、研究が進んでいないのが残念です。
実は、日本には麻(大麻)の文化があった
日本では、古来より「おおあさ」、あるいは「麻」と呼ばれ、第2次大戦後、アメリカを中心にしたGHQによって規制されるまで、衣服や燃料、食糧など、幅広い用途に用いられ、生薬としてもぜんそくや鎮痛、催眠剤にも使用されていました。
麻(大麻)は、縄文時代から使われていて、神道において使用するしめ縄や鈴縄、お祓いを行う幣(ぬさ)なども麻(大麻)の繊維が使われていました。麻(大麻)は、罪穢れを払うものと考えられ、神聖なものでした。
天皇の即位の儀式、大嘗祭では、伝統にのっとり麻(大麻)で織られた衣服が重要な役目を果たしています。
その他にも私たちの日常生活においてなくてはならない麻(大麻)だったのです。
麻(大麻)から石油化学製品へ
GHQが麻(大麻)を禁止した背景は、石油由来のマーケット拡大のためだと考えられます。
それは、20世紀初頭、アメリカは、国と産業資本家たちと、石油由来の合成繊維の研究をしていました。
1936年に、デュポン社が石油からできた新繊維「ナイロン」を開発しました。
そして、ナイロンやプラスティックなどの石油化学製品による経済覇権を狙ったのです。
その他にも、麻(大麻)などの自然素材の紙を、木材パルプを原料にした紙へと移行しました。
大麻って怖くない?
大麻と聞くとあなたは、どんなイメージをいだくでしょうか?
麻薬?中毒?依存症?
そんなネガティブなイメージがあるのですが、それは、石油化学製品へ移行させたい産業資本家に不都合があるためにつくられたイメージのようです。
大麻の栽培が盛んだった戦前の日本において、麻(大麻)農家だった方から、お話しを伺った事がありますが、今のように大麻依存症という問題は、聞いたことがないそうです。
医療大麻の真実、効能
医療大麻には、鎮痛作用、鎮静作用、催眠作用、食欲増進作用、抗ガン作用、眼圧の緩和、嘔吐の抑制などがあります。
具体的には、HIV、アルツハイマー、うつ病、てんかん、気管支喘息、多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症、クローン病、パーキンソン病などの他にも、約250種類の疾患に効果があるとされています。
まとめ
「 なぜ、リオパラリンピック選手は安楽死発言したか?医療大麻の可能性 」は、いかがだったでしょうか?
難病に苦しむ患者さんの1日も早い回復を祈ってやみませんが、現実問題として、“今”、“今日”の痛みや苦痛に目を向け、少しでも和らげることを考えると医療大麻の解禁は第1選択になると思うんです。
また、避けることができる病気にならない食事法が気になるなら、こちらもチェックして下さいね。