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【質問】子どもの糖尿病が増えている?<いまさら聞けない糖尿病について>

 2025/04/22 妊活・子育て・介護 患者さまからの質問 症状・病気 食と健康
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患者さまからの質問

こんな記事を見ました。

【子供の糖尿病が増えている】 子どもの「2型糖尿病」が増加中…実は「子どもが糖尿病になる家庭」には特徴があった【専門医解説】 ( オトナンサー )

https://u.lin.ee/77mzHpO?mediadetail=1&utm_source=line&utm_medium=share&utm_campaign=none

糖尿病には1型と2型があるそうで。 

1型と2型、何が違うんですか? 

遺伝などの先天的なものですか? 

それとも後天的なものもあるのですか?

 どういう人がなりやすい? 

逆にならない人の特徴は? 

完治する? 

予防と対策は?

回答

近年、子どもの2型糖尿病の増加は、問題視されています。

もちろん、成人でも同じです。

「日本人総糖尿病予備軍」なんて揶揄されるほどです。

この記事をきっかけに、1型と2型糖尿病の違い、遺伝・環境要因、なりやすい人や予防法、そして鍼灸治療的な視点での解釈まで、詳しく解説していきます。

【糖尿病の基本構造】

糖尿病とは、血糖値 ( 血中のグルコース濃度 ) が慢性的に高くなる病気です。

インスリンというホルモンの作用が鍵となります。

⚖️【1型糖尿病と2型糖尿病の違い】

種類主な特徴原因発症年齢インスリン分泌分子生物学的解釈
1型自己免疫による膵β細胞破壊自己免疫反応 ( 自己抗体 ) 子ども~若年層に多いほぼゼロT細胞がHLA遺伝子により自己β細胞を攻撃。
インスリンを分泌できない。
2型インスリン抵抗性と分泌低下遺伝+生活習慣中高年に多いが子どもも増加中減少または働きが弱いGLUT4 ( グルコース輸送体 ) の発現低下。
インスリン受容体の感受性低下。

なんだか、難しい書き方になってしまいましたが、簡単に言うと

  • 1型糖尿病:自己免疫疾患などが原因でインスリン分泌細胞が破壊される
  • 2型糖尿病:肥満や食べすぎ、飲みすぎ、運動不足などの生活習慣が原因でインスリンが働きにくくなる、膵臓の機能が低下してインスリンが十分に分泌されない
1型糖尿病自己免疫疾患などが原因でインスリン分泌細胞が破壊される
2型糖尿病肥満や食べすぎ・飲みすぎ・運動不足などの生活習慣が原因でインスリンが働きにくくなる
膵臓の機能が低下してインスリンが十分に分泌されない

日本では、ほとんどの糖尿病患者さんは2型糖尿病に分類されます。

2型糖尿病は、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の1種です。

遺伝的要因に、過食や運動不足などの生活習慣が重なって発症します。

糖尿病の心配のない方も、過食傾向にある日本。

特に、糖質過多になりやすい私たちの食生活では、糖質制限がとっても健康生活には欠かせない視点です。

【糖尿病は遺伝?後天的?】

◆1型:主に遺伝的素因+自己免疫

  • 遺伝:HLA-DR3/DR4型など特定のHLA遺伝子を持つ人に多い
  • 後天的:ウイルス感染 ( コクサッキー、EBウイルスなど ) で自己免疫が活性化

◆2型:遺伝的素因 + 環境要因

  • 遺伝:インスリン分泌能がもともと低い体質 ( 家族歴 ) 
  • 環境:肥満、運動不足、過剰な糖質摂取、ストレス、睡眠不足

【糖尿病は、どんな人がなりやすい?】

1型糖尿病になりやすい人

  • 家族に1型糖尿病の人がいる
  • 特定のHLA遺伝子型を持つ
  • ウイルス感染歴がある
  • 北欧など寒冷地域に多い ( ビタミンD不足が関与する説あり ) 

2型糖尿病になりやすい子ども

  • 家族に2型糖尿病がいる ( 特に両親 ) 
  • 肥満傾向 ( 特に内臓脂肪型 ) 
  • 運動習慣が少ない
  • 清涼飲料水やスナック菓子が多い食習慣
  • 睡眠時間が短く、夜型
  • 慢性的なストレスが多い

【糖尿病にならない人の特徴】

  • 腸内環境が良好 ( 短鎖脂肪酸の産生が活発 ) 
  • 食事が低GI中心 ( 血糖値が上がりにくい ) 
  • 筋肉量が多い ( GLUT4の発現が多く、糖を消費しやすい ) 
  • 十分な睡眠・適度な運動習慣
  • ストレスマネジメントができている

💊【完治するの?】

種類完治の可否備考
1型不可 ( 現状 )生涯インスリン注射が必要
iPS細胞研究や膵島移植が将来的希望
2型可能性あり早期なら生活習慣改善で「寛解」可能 ( 完治ではなくコントロール ) 

🛡️【予防と対策】

◆1型 ( 完全な予防は困難

  • ウイルス感染の回避 ( 風邪予防 ) 
  • ビタミンD摂取 ( 免疫バランス調整 ) 

◆2型 ( 予防可能!

  • 食事:低GI食、タンパク質・食物繊維の摂取
  • 運動:有酸素運動+レジスタンストレーニング ( GLUT4誘導 ) 
  • 睡眠:最低7時間の良質な睡眠
  • ストレスケア:瞑想、自然接触、家族の絆
  • 腸内環境の改善:プロバイオティクス、プレバイオティクス

子どもの糖尿病予防のためのチェックリスト

🥗【1. 食生活のチェック項目】

項目チェック分子生物学的背景
朝ごはんを毎日食べている空腹時にGLUT4感受性が低下し、インスリン抵抗性が増す。
朝食は血糖調節リズムをリセット。
野菜・海藻・きのこを毎食入れている食物繊維が腸内細菌を活性 → 酪酸・プロピオン酸 → 肝臓のインスリン感受性↑
清涼飲料水・ジュースは週1回以内液糖は急速に吸収 → 血糖急上昇 → インスリン分泌負担+脂肪合成 ( SREBP1c活性↑ ) 
おやつはナッツや果物中心血糖上昇を緩やかにし、炎症性サイトカインの分泌を抑制

🧘‍♀️【2. 運動と身体活動】

項目チェック分子生物学的背景
1日30分以上の外遊び・運動をしている筋肉収縮でAMPK活性化 → GLUT4が細胞膜へ移動 → 血糖取り込みUP
移動は徒歩や自転車を意識有酸素運動は脂肪酸酸化を促進し、インスリン抵抗性を改善
テレビ・ゲーム・スマホの時間が1日2時間以下座りすぎ → LPL ( リポタンパクリパーゼ ) 活性低下 → 中性脂肪処理機能↓

😴【3. 睡眠と生活リズム】

項目チェック分子生物学的背景
毎日同じ時間に就寝・起床しているサーカディアンリズム ( BMAL1, CLOCK遺伝子 ) で代謝ホルモンのリズム維持
8〜10時間の睡眠が取れている睡眠不足でコルチゾール↑ → 血糖上昇、インスリン抵抗性↑
寝る前のスマホやタブレットを控えているブルーライト → メラトニン分泌↓ → 睡眠の質低下・代謝乱れ

🧬【4. 家族の健康意識】

項目チェック分子生物学的背景
親もバランスのよい食生活をしている行動模倣学習:子どもは親の食習慣・行動を模倣し、脳のドーパミン系が形成される
親が運動する習慣を見せている家族一体の運動習慣 → 社会的報酬系が活性化 ( オキシトシン分泌 ) 
家族での食事回数が多い ( 1日1回以上 )共食 → ストレスホルモン抑制、消化吸収リズム安定化

🧪【5. 腸内環境のケア】

項目チェック分子生物学的背景
発酵食品 ( 味噌、漬物 ) を日常的に食べている乳酸菌・酪酸菌 → 炎症性サイトカイン抑制、インスリン感受性↑
プレバイオティクス ( オリゴ糖、難消化性デンプン ) を摂っている短鎖脂肪酸 ( SCFA ) 産生 → 腸管バリア強化、血糖調整にも貢献

🔁【定期チェックのススメ】

このリストは毎月チェックして見直していくと効果的です。

 変化を「見える化」して親子で共有することで、行動継続のモチベーションが上がります。

✨【おまけ:チェックが多いほどどうなる?】

チェックが多いご家庭では、子どもの体内で以下のような身体のメカニズムが活性化され、糖尿病予防につながります。

  • GLUT4遺伝子発現の維持 ( 筋肉での糖取り込み機能 ) 
  • インスリン受容体の感受性維持
  • 慢性炎症の抑制 ( TNF-α, IL-6の低下 ) 
  • 膵臓β細胞のストレス低減
  • オートファジー ( 細胞掃除機能 ) 活性化
GLUT4遺伝子発現の維持 ( 筋肉での糖取り込み機能 )
インスリン受容体の感受性維持
慢性炎症の抑制 ( TNF-α, IL-6の低下 )
膵臓β細胞のストレス低減
オートファジー ( 細胞掃除機能 ) 活性化

糖尿病に対する鍼灸治療の捉え方は?

■ 東洋医学の視点 ( 簡単に

  • 1型糖尿病:主に「陰虚」「燥熱」「気陰両虚」
  • 2型糖尿病:主に「脾虚」「腎虚」「気滞血瘀」

→ 治療では **「脾腎を補い、気血の巡りを整える」**ことを重視します。

ここまで分かった。どうして鍼灸で血糖が下がるのか?

鍼灸が身体に与える「5つの主要メカニズム」

メカニズム分子レベルの作用効果対象
自律神経調整迷走神経刺激 → 副交感神経優位 → ストレスホルモン ( コルチゾール ) 減少血糖上昇の抑制
インスリン抵抗性の改善
炎症抑制TNF-α、IL-6、CRPなどの炎症性サイトカインを低下させるインスリン抵抗性の根本改善
GLUT4発現促進筋肉・肝臓・脂肪組織でのグルコース取り込み促進血糖値の直接的な低下
NO ( 一酸化窒素 ) 産生鍼刺激でeNOS活性化 → 血管拡張・血流増加組織のインスリン感受性UP
βエンドルフィン分泌脳下垂体・視床下部刺激 → βエンドルフィン↑ → 副腎機能安定化ストレス・過食抑制
内分泌の安定化

糖尿病に対する鍼灸治療の捉え方の流れ

ステップ方法目的
① 初期 ( 週2回 ) 足三里・三陰交・太渓など急性の高血糖抑制と全身調整
② 安定期 ( 週1回 ) 関元・腎兪・膈兪など自律神経安定と代謝の底上げ
③ 維持期 ( 月2回 ) 精神安定系・生活習慣ケア生活習慣による再発防止とQOL向上

まとめ:鍼灸は糖尿病の「根本改善サポート」に有効

鍼灸で期待できるメリット

  • インスリンの受容体感受性改善
  • グルコース輸送体 ( GLUT4 ) の発現促進
  • 炎症性サイトカインの抑制
  • 自律神経・ホルモンバランスの恒常性維持
  • 精神面の安定による過食・生活習慣の改善
インスリンの受容体感受性改善
グルコース輸送体 ( GLUT4 ) の発現促進
炎症性サイトカインの抑制
自律神経・ホルモンバランスの恒常性維持
精神面の安定による過食・生活習慣の改善

東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言

2型糖尿病に対しては、やはり、食事管理が一番大切です。

ですが、カロリー制限を主として食事指導ではなく、糖質制限が功を奏します。

これ、当たり前のことなんですよね。

繰り返しますが、 糖尿病は、血液中ブドウ糖 ( 血糖 ) の濃度が慢性的に高くなる病気ですからね。

ですから、原因のブドウ糖 ( 糖質 ) の摂取を制限することが最重要になると思います。

糖質が多い食事は、2型糖尿病のリスクだけでなく、脂肪肝などメタボリックシンドローム、そして、がんなども引き起こします。

特に、認知症は、3型糖尿病とも呼ばれています

ということで、食事管理の目玉は「糖質制限」。

日々の食生活を見直してみましょう。

こちらの記事も参考にどうぞ。

最後に

お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。

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金井 進

金井 進

元気の羅針盤編集長。
ホリス治療院院長、はり師、灸師 ( 国家資格 )。

1994年よりホリス治療院開業。
鍼灸、カイロプラクティック、フィジカルセラピーを融合した独自の治療体系で日夜、患者さんと向き合っています。

30年以上にわたる鍼灸臨床のなかで培った知識と経験をもとに、あなたの困った問題を解決できるような確かな情報をお届けしたいと思っています。

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