【質問】子どもの糖尿病が増えている?<いまさら聞けない糖尿病について>


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患者さまからの質問
こんな記事を見ました。
【子供の糖尿病が増えている】 子どもの「2型糖尿病」が増加中…実は「子どもが糖尿病になる家庭」には特徴があった【専門医解説】 ( オトナンサー )
https://u.lin.ee/77mzHpO?mediadetail=1&utm_source=line&utm_medium=share&utm_campaign=none
糖尿病には1型と2型があるそうで。
1型と2型、何が違うんですか?
遺伝などの先天的なものですか?
それとも後天的なものもあるのですか?
どういう人がなりやすい?
逆にならない人の特徴は?
完治する?
予防と対策は?
回答
近年、子どもの2型糖尿病の増加は、問題視されています。
もちろん、成人でも同じです。
「日本人総糖尿病予備軍」なんて揶揄されるほどです。
この記事をきっかけに、1型と2型糖尿病の違い、遺伝・環境要因、なりやすい人や予防法、そして鍼灸治療的な視点での解釈まで、詳しく解説していきます。
【糖尿病の基本構造】
糖尿病とは、血糖値 ( 血中のグルコース濃度 ) が慢性的に高くなる病気です。
インスリンというホルモンの作用が鍵となります。
⚖️【1型糖尿病と2型糖尿病の違い】
種類 | 主な特徴 | 原因 | 発症年齢 | インスリン分泌 | 分子生物学的解釈 |
---|---|---|---|---|---|
1型 | 自己免疫による膵β細胞破壊 | 自己免疫反応 ( 自己抗体 ) | 子ども~若年層に多い | ほぼゼロ | T細胞がHLA遺伝子により自己β細胞を攻撃。 インスリンを分泌できない。 |
2型 | インスリン抵抗性と分泌低下 | 遺伝+生活習慣 | 中高年に多いが子どもも増加中 | 減少または働きが弱い | GLUT4 ( グルコース輸送体 ) の発現低下。 インスリン受容体の感受性低下。 |
なんだか、難しい書き方になってしまいましたが、簡単に言うと
- 1型糖尿病:自己免疫疾患などが原因でインスリン分泌細胞が破壊される
- 2型糖尿病:肥満や食べすぎ、飲みすぎ、運動不足などの生活習慣が原因でインスリンが働きにくくなる、膵臓の機能が低下してインスリンが十分に分泌されない
1型糖尿病 | 自己免疫疾患などが原因でインスリン分泌細胞が破壊される |
2型糖尿病 | 肥満や食べすぎ・飲みすぎ・運動不足などの生活習慣が原因でインスリンが働きにくくなる |
膵臓の機能が低下してインスリンが十分に分泌されない |
日本では、ほとんどの糖尿病患者さんは2型糖尿病に分類されます。
2型糖尿病は、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の1種です。
遺伝的要因に、過食や運動不足などの生活習慣が重なって発症します。
糖尿病の心配のない方も、過食傾向にある日本。
特に、糖質過多になりやすい私たちの食生活では、糖質制限がとっても健康生活には欠かせない視点です。
【糖尿病は遺伝?後天的?】
◆1型:主に遺伝的素因+自己免疫
- 遺伝:HLA-DR3/DR4型など特定のHLA遺伝子を持つ人に多い
- 後天的:ウイルス感染 ( コクサッキー、EBウイルスなど ) で自己免疫が活性化
◆2型:遺伝的素因 + 環境要因
- 遺伝:インスリン分泌能がもともと低い体質 ( 家族歴 )
- 環境:肥満、運動不足、過剰な糖質摂取、ストレス、睡眠不足
【糖尿病は、どんな人がなりやすい?】
1型糖尿病になりやすい人
- 家族に1型糖尿病の人がいる
- 特定のHLA遺伝子型を持つ
- ウイルス感染歴がある
- 北欧など寒冷地域に多い ( ビタミンD不足が関与する説あり )
2型糖尿病になりやすい子ども
- 家族に2型糖尿病がいる ( 特に両親 )
- 肥満傾向 ( 特に内臓脂肪型 )
- 運動習慣が少ない
- 清涼飲料水やスナック菓子が多い食習慣
- 睡眠時間が短く、夜型
- 慢性的なストレスが多い
【糖尿病にならない人の特徴】
- 腸内環境が良好 ( 短鎖脂肪酸の産生が活発 )
- 食事が低GI中心 ( 血糖値が上がりにくい )
- 筋肉量が多い ( GLUT4の発現が多く、糖を消費しやすい )
- 十分な睡眠・適度な運動習慣
- ストレスマネジメントができている
💊【完治するの?】
種類 | 完治の可否 | 備考 |
---|---|---|
1型 | 不可 ( 現状 ) | 生涯インスリン注射が必要 iPS細胞研究や膵島移植が将来的希望 |
2型 | 可能性あり | 早期なら生活習慣改善で「寛解」可能 ( 完治ではなくコントロール ) |
🛡️【予防と対策】
◆1型 ( 完全な予防は困難 )
- ウイルス感染の回避 ( 風邪予防 )
- ビタミンD摂取 ( 免疫バランス調整 )
◆2型 ( 予防可能! )
- 食事:低GI食、タンパク質・食物繊維の摂取
- 運動:有酸素運動+レジスタンストレーニング ( GLUT4誘導 )
- 睡眠:最低7時間の良質な睡眠
- ストレスケア:瞑想、自然接触、家族の絆
- 腸内環境の改善:プロバイオティクス、プレバイオティクス
子どもの糖尿病予防のためのチェックリスト
🥗【1. 食生活のチェック項目】
項目 | チェック | 分子生物学的背景 |
---|---|---|
朝ごはんを毎日食べている | 空腹時にGLUT4感受性が低下し、インスリン抵抗性が増す。 朝食は血糖調節リズムをリセット。 | |
野菜・海藻・きのこを毎食入れている | 食物繊維が腸内細菌を活性 → 酪酸・プロピオン酸 → 肝臓のインスリン感受性↑ | |
清涼飲料水・ジュースは週1回以内 | 液糖は急速に吸収 → 血糖急上昇 → インスリン分泌負担+脂肪合成 ( SREBP1c活性↑ ) | |
おやつはナッツや果物中心 | 血糖上昇を緩やかにし、炎症性サイトカインの分泌を抑制 |
🧘♀️【2. 運動と身体活動】
項目 | チェック | 分子生物学的背景 |
---|---|---|
1日30分以上の外遊び・運動をしている | 筋肉収縮でAMPK活性化 → GLUT4が細胞膜へ移動 → 血糖取り込みUP | |
移動は徒歩や自転車を意識 | 有酸素運動は脂肪酸酸化を促進し、インスリン抵抗性を改善 | |
テレビ・ゲーム・スマホの時間が1日2時間以下 | 座りすぎ → LPL ( リポタンパクリパーゼ ) 活性低下 → 中性脂肪処理機能↓ |
😴【3. 睡眠と生活リズム】
項目 | チェック | 分子生物学的背景 |
---|---|---|
毎日同じ時間に就寝・起床している | サーカディアンリズム ( BMAL1, CLOCK遺伝子 ) で代謝ホルモンのリズム維持 | |
8〜10時間の睡眠が取れている | 睡眠不足でコルチゾール↑ → 血糖上昇、インスリン抵抗性↑ | |
寝る前のスマホやタブレットを控えている | ブルーライト → メラトニン分泌↓ → 睡眠の質低下・代謝乱れ |
🧬【4. 家族の健康意識】
項目 | チェック | 分子生物学的背景 |
---|---|---|
親もバランスのよい食生活をしている | 行動模倣学習:子どもは親の食習慣・行動を模倣し、脳のドーパミン系が形成される | |
親が運動する習慣を見せている | 家族一体の運動習慣 → 社会的報酬系が活性化 ( オキシトシン分泌 ) | |
家族での食事回数が多い ( 1日1回以上 ) | 共食 → ストレスホルモン抑制、消化吸収リズム安定化 |
🧪【5. 腸内環境のケア】
項目 | チェック | 分子生物学的背景 |
---|---|---|
発酵食品 ( 味噌、漬物 ) を日常的に食べている | 乳酸菌・酪酸菌 → 炎症性サイトカイン抑制、インスリン感受性↑ | |
プレバイオティクス ( オリゴ糖、難消化性デンプン ) を摂っている | 短鎖脂肪酸 ( SCFA ) 産生 → 腸管バリア強化、血糖調整にも貢献 |
🔁【定期チェックのススメ】
このリストは毎月チェックして見直していくと効果的です。
変化を「見える化」して親子で共有することで、行動継続のモチベーションが上がります。
✨【おまけ:チェックが多いほどどうなる?】
チェックが多いご家庭では、子どもの体内で以下のような身体のメカニズムが活性化され、糖尿病予防につながります。
- GLUT4遺伝子発現の維持 ( 筋肉での糖取り込み機能 )
- インスリン受容体の感受性維持
- 慢性炎症の抑制 ( TNF-α, IL-6の低下 )
- 膵臓β細胞のストレス低減
- オートファジー ( 細胞掃除機能 ) 活性化
GLUT4遺伝子発現の維持 ( 筋肉での糖取り込み機能 ) |
インスリン受容体の感受性維持 |
慢性炎症の抑制 ( TNF-α, IL-6の低下 ) |
膵臓β細胞のストレス低減 |
オートファジー ( 細胞掃除機能 ) 活性化 |
糖尿病に対する鍼灸治療の捉え方は?
■ 東洋医学の視点 ( 簡単に )
- 1型糖尿病:主に「陰虚」「燥熱」「気陰両虚」
- 2型糖尿病:主に「脾虚」「腎虚」「気滞血瘀」
→ 治療では **「脾腎を補い、気血の巡りを整える」**ことを重視します。
ここまで分かった。どうして鍼灸で血糖が下がるのか?
鍼灸が身体に与える「5つの主要メカニズム」
メカニズム | 分子レベルの作用 | 効果対象 |
---|---|---|
① 自律神経調整 | 迷走神経刺激 → 副交感神経優位 → ストレスホルモン ( コルチゾール ) 減少 | 血糖上昇の抑制 インスリン抵抗性の改善 |
② 炎症抑制 | TNF-α、IL-6、CRPなどの炎症性サイトカインを低下させる | インスリン抵抗性の根本改善 |
③ GLUT4発現促進 | 筋肉・肝臓・脂肪組織でのグルコース取り込み促進 | 血糖値の直接的な低下 |
④ NO ( 一酸化窒素 ) 産生 | 鍼刺激でeNOS活性化 → 血管拡張・血流増加 | 組織のインスリン感受性UP |
⑤ βエンドルフィン分泌 | 脳下垂体・視床下部刺激 → βエンドルフィン↑ → 副腎機能安定化 | ストレス・過食抑制 内分泌の安定化 |
糖尿病に対する鍼灸治療の捉え方の流れ
ステップ | 方法 | 目的 |
---|---|---|
① 初期 ( 週2回 ) | 足三里・三陰交・太渓など | 急性の高血糖抑制と全身調整 |
② 安定期 ( 週1回 ) | 関元・腎兪・膈兪など | 自律神経安定と代謝の底上げ |
③ 維持期 ( 月2回 ) | 精神安定系・生活習慣ケア | 生活習慣による再発防止とQOL向上 |
まとめ:鍼灸は糖尿病の「根本改善サポート」に有効
鍼灸で期待できるメリット
- インスリンの受容体感受性改善
- グルコース輸送体 ( GLUT4 ) の発現促進
- 炎症性サイトカインの抑制
- 自律神経・ホルモンバランスの恒常性維持
- 精神面の安定による過食・生活習慣の改善
インスリンの受容体感受性改善 |
グルコース輸送体 ( GLUT4 ) の発現促進 |
炎症性サイトカインの抑制 |
自律神経・ホルモンバランスの恒常性維持 |
精神面の安定による過食・生活習慣の改善 |
東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言
2型糖尿病に対しては、やはり、食事管理が一番大切です。
ですが、カロリー制限を主として食事指導ではなく、糖質制限が功を奏します。
これ、当たり前のことなんですよね。
繰り返しますが、 糖尿病は、血液中ブドウ糖 ( 血糖 ) の濃度が慢性的に高くなる病気ですからね。
ですから、原因のブドウ糖 ( 糖質 ) の摂取を制限することが最重要になると思います。
糖質が多い食事は、2型糖尿病のリスクだけでなく、脂肪肝などメタボリックシンドローム、そして、がんなども引き起こします。
特に、認知症は、3型糖尿病とも呼ばれています。
ということで、食事管理の目玉は「糖質制限」。
日々の食生活を見直してみましょう。
こちらの記事も参考にどうぞ。
最後に
お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。
