東洋医学・鍼灸医学の経筋症とは
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Contents
経筋症の概念
東洋医学・鍼灸治療における経筋症 ( けいきんしょう ) は、経絡の一種である経筋に病変が起こる状態を指します。
経筋は、経絡の一部で、筋肉や腱、靭帯を通るエネルギーの通路です。
経筋は体表を走行し、関節の動きや姿勢の維持に関与しています。
経筋症は、外部の風寒湿熱などの邪気や、内部の気血の滞りによって引き起こされ、痛みやしびれ、硬直などの症状を引き起こします。
経筋の問題は、通常、運動器系の問題として現れ、特定の経筋に沿って症状が現れることが特徴です。
経筋症の分類と症状
経筋症は、影響を受ける経絡によって異なる症状を示します。
以下に、いくつかの主要な経筋症の例とその症状を示します。
手陽明大腸経筋 ( てようめいだいちょうけいきん ) の経筋症
手陽明大腸経筋 ( てようめいだいちょうけいきん ) の経筋症 | |
走行 | 指先から手首、肘、肩を通り、首に達する。 |
症状 | 肩の痛み、肘の硬直、前腕の痛みやしびれ、手指のこわばり。 |
- 走行:指先から手首、肘、肩を通り、首に達します。
- 症状:肩の痛み、肘の硬直、前腕の痛みやしびれ、手指のこわばり。
足陽明胃経筋 ( そくようめいいけいきん ) の経筋症
足陽明胃経筋 ( そくようめいいけいきん ) の経筋症 | |
走行 | 足の指から足首、膝、大腿部を通り、腹部に達する。 |
症状 | 膝の痛み、大腿の硬直、腹部の筋肉痛。 |
- 走行:足の指から足首、膝、大腿部を通り、腹部に達します。
- 症状:膝の痛み、大腿の硬直、腹部の筋肉痛。
足太陰脾経筋 ( そくたいいんひけいきん ) の経筋症
足太陰脾経筋 ( そくたいいんひけいきん ) の経筋症 | |
走行 | 足の指から内側の足首、膝、大腿内側を通り、胸部に達する。 |
症状 | 大腿内側の痛み、足の内側のしびれ、腹部の不快感。 |
- 走行:足の指から内側の足首、膝、大腿内側を通り、胸部に達します。
- 症状:大腿内側の痛み、足の内側のしびれ、腹部の不快感。
具体的な例題
例1:手陽明大腸経筋の経筋症
40代の男性:手陽明大腸経筋の経筋症 | |
症状 | 右肩の痛みと肘の硬直を訴えて来院。 |
デスクワークが多く、右腕を長時間使用することが多い。 | |
朝起きた時に特に症状が強く、右前腕にも軽いしびれを感じる。 |
症状:40代の男性が、右肩の痛みと肘の硬直を訴えて来院しました。
デスクワークが多く、右腕を長時間使用することが多いとのことです。
朝起きた時に特に症状が強く、右前腕にも軽いしびれを感じます。
40代の男性:手陽明大腸経筋の経筋症 | |
診断 | 手陽明大腸経筋の経筋症と考えられる。 |
長時間のデスクワークによる姿勢の不良、腕の過度の使用が原因と考えられる。 |
診断:手陽明大腸経筋の経筋症と考えられます。
長時間のデスクワークによる姿勢の不良や、腕の過度の使用が原因と考えられます。
40代の男性:手陽明大腸経筋の経筋症 | |
治療 | 合谷 ( ごうこく ) 、曲池 ( きょくち ) 、肩髃 ( けんぐう ) などの大腸経の経穴に鍼を行う。 |
これにより、気血の滞りを解消し、痛みと硬直を緩和する。 | |
灸治療 | 局所の血流を改善するため、肩と肘に温灸を行う。 |
推拿 ( すいな ) | 肩と前腕の筋肉をマッサージし、筋肉の緊張をほぐす。 |
治療:以下のような鍼灸治療を行います。
- 鍼治療:合谷 ( ごうこく ) 、曲池 ( きょくち ) 、肩髃 ( けんぐう ) などの大腸経の経穴に鍼を行います。これにより、気血の滞りを解消し、痛みと硬直を緩和します。
- 灸治療:局所の血流を改善するため、肩と肘に温灸を行います。
- 推拿 ( すいな ) :肩と前腕の筋肉をマッサージし、筋肉の緊張をほぐします。
例2:足陽明胃経筋の経筋症
50代の女性:足陽明胃経筋の経筋症 | |
症状 | 右膝の痛みと大腿前面の硬直を訴えて来院。 |
特に歩行時に痛みが増し、階段の上り下りが困難。 |
症状:50代の女性が、右膝の痛みと大腿前面の硬直を訴えて来院しました。
特に歩行時に痛みが増し、階段の上り下りが困難です。
50代の女性:足陽明胃経筋の経筋症 | |
診断 | 足陽明胃経筋の経筋症と考えられる。 |
運動不足や体重の増加、長時間の立ち仕事が原因と考えられる。 |
診断:足陽明胃経筋の経筋症と考えられます。
運動不足や体重の増加、長時間の立ち仕事が原因と考えられます。
50代の女性:足陽明胃経筋の経筋症 | |
治療 | 足三里 ( あしさんり ) 、豊隆 ( ほうりゅう ) 、膝関 ( しつかん ) などの胃経の経穴に鍼を行う。 |
これにより、気血の滞りを解消し、膝の痛みを軽減する。 | |
灸治療 | 膝と大腿前面に温灸を行い、局所の血流を改善させる。 |
推拿 ( すいな ) | 膝と大腿前面の筋肉をマッサージし、筋肉の緊張をほぐす。 |
治療:以下のような鍼灸治療を行います。
- 鍼治療:足三里 ( あしさんり ) 、豊隆 ( ほうりゅう ) 、膝関 ( しつかん ) などの胃経の経穴に鍼を行います。これにより、気血の滞りを解消し、膝の痛みを軽減します。
- 灸治療:膝と大腿前面に温灸を行い、局所の血流を改善します。
- 推拿 ( すいな ) :膝と大腿前面の筋肉をマッサージし、筋肉の緊張をほぐします。
経筋症のまとめ
経筋症は東洋医学における運動器系の問題で、特定の経絡に沿った筋肉や腱、靭帯に異常が発生する状態です。
鍼灸治療や推拿を用いて、気血の滞りを解消し、痛みや硬直を緩和することができます。
具体的な経絡と症状に応じた治療を行うことで、効果的な改善が期待できます。
最後に
お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。
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