昆布や海苔の食べ過ぎは危険?<甲状腺への影響と適量の目安を専門的に解説>


Contents
患者さまからの質問
女性が海苔・昆布をたくさん食べると甲状腺機能がおかしくなる?
食べ過ぎ、とはどのくらいの量?
海苔・昆布は美味しいし低カロリーだから、つい選んで食べがち。
適量ってどのくらい?
食べ過ぎると、甲状腺機能のほかに、どこか悪くなる?
海苔・昆布を食べるメリット・デメリットが知りたいです。
西洋医学的解釈
関係する主な成分:ヨウ素 ( ヨード )
- 海苔・昆布はヨウ素が非常に豊富な食材
- 昆布100gあたりのヨウ素含有量は2000~3000μg以上 ( 乾燥品 ) 、とくに「真昆布」や「利尻昆布」は非常に高濃度
- 日本人の1日の推奨摂取量 ( 成人女性 ) :約 130μg/日
- 耐容上限量 ( UL ) :3000μg/日 (ただし長期間継続摂取はリスクあり )
ヨウ素 ( ヨード ) |
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海苔・昆布はヨウ素が非常に豊富な食材 |
昆布100gあたりのヨウ素含有量は2000~3000μg以上 ( 乾燥品 ) とくに「真昆布」や「利尻昆布」は非常に高濃度 |
日本人の1日の推奨摂取量 (成人女性 ) :約 130μg/日 |
耐容上限量 ( UL ) :3000μg/日 (ただし長期間継続摂取はリスクあり ) |
甲状腺機能への影響 ( 摂りすぎによるリスク )
甲状腺機能低下症 ( 橋本病の悪化含む )
- ヨウ素過剰により甲状腺ホルモンの合成が一時的に抑制 ( Wolff-Chaikoff効果 )
- 慢性的に過剰摂取すると回復しないことも
甲状腺機能低下症 (橋本病の悪化含む ) |
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ヨウ素過剰により甲状腺ホルモンの合成が一時的に抑制 ( Wolff-Chaikoff効果 ) |
慢性的に過剰摂取すると回復しないことも |
甲状腺機能亢進症 ( ヨウ素誘発性バセドウ病 )
- 特に高齢女性や既往歴のある人で起こりやすい
甲状腺機能亢進症 ( ヨウ素誘発性バセドウ病 ) |
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特に高齢女性や既往歴のある人で起こりやすい |
鍼灸医学的解釈 ( 東洋医学 )
◆五臓六腑の観点
- 甲状腺の機能障害は、鍼灸医学では「腎」「脾」「肝」の失調とされることが多い
- **昆布や海苔は「寒性」「塩味」**で、「腎を補う」作用があるとされる
五臓六腑の観点 |
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甲状腺の機能障害は、鍼灸医学では「腎」「脾」「肝」の失調とされることが多い |
**昆布や海苔は「寒性」「塩味」**で、「腎を補う」作用があるとされる |
◆食べ過ぎによるリスク ( 東洋医学 )
- 寒性が強くなると「脾胃を冷やし、消化機能の低下」につながる
- 「水湿停滞」により 浮腫・だるさ・生理不順 などの症状を誘発
食べ過ぎによるリスク ( 東洋医学 ) |
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寒性が強くなると「脾胃を冷やし、消化機能の低下」につながる |
「水湿停滞」により 浮腫・だるさ・生理不順 などの症状を誘発 |
◆症例 ( 東洋医学的な例 )
35歳女性、冷え性・疲れやすさ・無月経。
毎日昆布だしを摂りすぎていた。
脈診・舌診により「脾腎陽虚」と診断し、温補の灸治療とともに食事指導。
昆布を控えて温性食品に変更 → 3か月後に月経再開。
東洋医学的な例:35歳女性 |
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冷え性・疲れやすさ・無月経 |
毎日昆布だしを摂りすぎていた |
脈診・舌診により「脾腎陽虚」と診断 温補の灸治療とともに食事指導 |
昆布を控えて温性食品に変更 ↓ 3か月後に月経再開 |
栄養学的解釈
◆海苔・昆布のメリット
- ヨウ素:甲状腺ホルモンの合成に必須
- 水溶性食物繊維 ( アルギン酸 ) :コレステロール低下・血糖抑制・腸内環境改善
- フコイダン ( 特に昆布 ) :抗腫瘍・抗炎症・免疫調整作用
- ビタミンB12 ( 海苔 ) :貧血予防 ( 特に菜食の人に重要 )
- タウリン:肝機能保護・高血圧予防
栄養素 | 働き |
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ヨウ素 | 甲状腺ホルモンの合成に必須 |
水溶性食物繊維 ( アルギン酸 ) | コレステロール低下・血糖抑制・腸内環境改善 |
フコイダン ( 特に昆布 ) | 抗腫瘍・抗炎症・免疫調整作用 |
ビタミンB12 ( 海苔 ) | 貧血予防 ( 特に菜食の人に重要 ) |
タウリン | 肝機能保護・高血圧予防 |
◆デメリット ( 過剰時 )
- ヨウ素過剰 → 甲状腺トラブル
- 食物繊維過剰 → 下痢・栄養吸収障害
- ナトリウム ( 佃煮や塩蔵品 ) → 高血圧リスク
デメリット ( 過剰時 ) |
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ヨウ素過剰 → 甲状腺トラブル |
食物繊維過剰 → 下痢・栄養吸収障害 |
ナトリウム ( 佃煮や塩蔵品 ) → 高血圧リスク |
体内で起きていること
◆甲状腺ホルモン合成の流れとヨウ素の役割
ヨウ素はナトリウム・ヨウ素共輸送体 ( NIS ) **を通じて甲状腺に取り込まれる
酸化 → チロシン残基と結合 ( 有機化 )
サイログロブリンに取り込まれ、T3/T4 という甲状腺ホルモンが形成
T3/T4は血中に分泌 → 全身の代謝調節
→ ヨウ素過剰になると、「Wolff-Chaikoff効果」により TPO酵素の抑制・T3/T4合成停止 → 一過性の機能低下。
適量の目安 ( 実用的ガイド )
食材 | ヨウ素量の目安 | 摂取目安量 ( 週平均 ) |
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焼き海苔 ( 全型1枚 ) | 約50μg | 毎日1枚程度 |
乾燥昆布 ( 1g ) | 約2000μg | 週に1〜2g以内 ( 出汁にして捨てる分ならOK ) |
とろろ昆布10g | 約1400μg | 週1〜2回までが安心 |
※妊婦や授乳婦、甲状腺疾患の既往がある方はもっと控えめに
食べ過ぎによる甲状腺以外の影響
臓器/症状 | 原因 | 症状例 |
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腸 | 食物繊維過剰 | 下痢、腹部膨満感 |
腎臓 | ナトリウム過剰 ( 佃煮など ) | 高血圧、むくみ |
女性ホルモン | 甲状腺異常による月経不順 | 無月経、不妊 |
予防法・食べ方の工夫
- 昆布出汁は 「取り出す」「食べない」ことが前提なら、毎日の料理に使っても大きな問題なし
- 海苔は 焼き海苔 ( 無添加 ) を1日1〜2枚まで
- 佃煮や塩蔵昆布は週1以下
- ヨウ素を排出する セレン ( ブラジルナッツ・魚 ) や鉄 ( レバー ) とのバランスも重要
予防法・食べ方の工夫 |
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昆布出汁は 「取り出す」「食べない」ことが前提なら、毎日の料理に使っても大きな問題なし |
海苔は 焼き海苔 ( 無添加 ) を1日1〜2枚まで |
佃煮や塩蔵昆布は週1以下 |
ヨウ素を排出する セレン ( ブラジルナッツ・魚 ) や鉄 ( レバー ) とのバランスも重要 |
まとめ ( 要点 )
項目 | 内容 |
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メリット | ヨウ素、食物繊維、抗酸化作用、低カロリー |
デメリット | 過剰なヨウ素摂取で甲状腺機能障害 ( 特に女性 ) |
適量 | 焼き海苔1日1枚、昆布は週1g前後、佃煮は控える |
注意すべき人 | 妊娠中、授乳中、甲状腺疾患歴がある人、高齢者 |
予防法 | 出汁にして使い終わった昆布は食べない 他栄養素とバランス良く |
東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言
今回の「昆布や海苔の食べ過ぎは危険?<甲状腺への影響と適量の目安を専門的に解説>」は、いかがでしたか?
いつも最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ここまで読んでいただいたのに、ちゃぶ台返し ( 笑 ) になってしまいますが、昆布や海苔の食べ過ぎは、余程のことがない限り心配ないと思います。
昆布ダイエット?!みたいに、昆布だけ食べている!なんてことがないかぎりは……です。
反対に、ヨウ素が足りない、つまり食べた方が良い人の多いかもですね。
最後に
お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。
