【質問】寝ている時にビクッとする・落下する夢の原因は?<マグネシウム不足との意外な関係と予防法>


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患者さまからの質問
寝ている時、突然ビクッとすることあります。
落ちる夢を見た、落下する夢を見た、など落ちる系の夢を見ているときにビクッとするらしいです。
なんで急にビクッとするのですか?
落ちる夢を見る人は、みんなビクッとするの?
ビクッとするのは人間だけ?
犬や猫もビクッとする?
なにかの病気?
原因と対策、予防策は?
回答
とても面白い質問をありがとうございます。
「寝ている時にビクッとする」「落ちる夢とともにビクッとする現象」は 「入眠時ミオクロ ( hypnic jerk ) 」 または 「入眠時けいれん」 と呼ばれる生理的な現象です。
詳しくみていきましょう。
現象と症状
● 何が起きている?
- 寝入りばな ( 入眠時 ) に 全身や手足が急にピクンと動く
- 多くの場合 落ちる夢 や つまずく夢 などと関連して体が反応する
- 正常な現象 ( 生理的 ) で、多くの人が経験する ( 約70%の成人 )
現象と症状:何が起きている? |
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寝入りばな ( 入眠時 ) に 全身や手足が急にピクンと動く |
多くの場合 落ちる夢 や つまずく夢 などと関連して体が反応する |
正常な現象 ( 生理的 ) で、多くの人が経験する ( 約70%の成人 ) |
● 典型例
- 例1:椅子でうたた寝をしているとき急に「ガクン」となる
- 例2:ベッドに入り眠りかけたとき「落ちる夢」を見て足がピクンと動く
典型例 |
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例1:椅子でうたた寝をしているとき急に「ガクン」となる |
例2:ベッドに入り眠りかけたとき「落ちる夢」を見て足がピクンと動く |
原因 ( メカニズム )
【西洋医学的 / 生理学的解釈】
● 脳の状態と筋肉反射
- 覚醒 → 睡眠への移行時に 脳幹網様体 ( reticular formation ) の活動が一時的に不安定になる
- そのため 運動ニューロン に不意の興奮が伝わり、筋肉が「ピクン」と収縮する
脳の状態と筋肉反射 |
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覚醒 → 睡眠への移行時に脳幹網様体 ( reticular formation ) の活動が一時的に不安定になる |
そのため 運動ニューロン に不意の興奮が伝わり、筋肉が「ピクン」と収縮する |
● 「落ちる夢」の解釈
- 入眠時には 姿勢制御の神経系 が徐々にOFFになる
- その過程で 前庭系 ( 平衡感覚 ) が誤って「落下している」と誤認
- それに対し 姿勢を正そうとする反射 が入る → 筋肉が急激に動く
「落ちる夢」の解釈 |
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入眠時には 姿勢制御の神経系 が徐々にOFFになる |
その過程で 前庭系 ( 平衡感覚 ) が誤って「落下している」と誤認 |
それに対し 姿勢を正そうとする反射 が入る → 筋肉が急激に動く |
● ストレスやカフェインが関与
- ストレスや 交感神経の過剰活動 により、入眠時に神経系が不安定になる
- カフェインやエナジードリンクは 脳幹網様体を刺激 → 起きやすくなる
ストレスやカフェインが関与 |
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ストレスや 交感神経の過剰活動 により、入眠時に神経系が不安定になる |
カフェインやエナジードリンクは 脳幹網様体を刺激 → 起きやすくなる |
【鍼灸医学的解釈】
● 気血の乱れ
- 入眠時に 気血の流れが正常でないと、陽気が急激に下降 → 筋が虚脱 → ビクつきが発生
鍼灸医学的解釈:気血の乱れ |
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入眠時に 気血の流れが正常でないと、陽気が急激に下降 → 筋が虚脱 → ビクつきが発生 |
● 腎精・心神との関係
- 腎の虚や心の不安 → 「魂不安」現象 → 睡眠中の不随意運動が起きやすくなる
- よく 「魂が戻るときに体が動く」 と表現される
腎精・心神との関係 |
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腎の虚や心の不安 → 「魂不安」現象 → 睡眠中の不随意運動が起きやすくなる |
よく 「魂が戻るときに体が動く」 と表現される |
【栄養学的要因】
● マグネシウム・カルシウム不足
- 筋肉と神経の収縮・弛緩のバランス をとるのに不可欠なマグネシウムやカルシウムが不足すると、 筋肉の異常収縮 ( ミオクローヌス ) が起きやすい
栄養学的要因:マグネシウム・カルシウム不足 |
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筋肉と神経の収縮・弛緩のバランス をとるのに不可欠なマグネシウムやカルシウムが不足すると、 筋肉の異常収縮 ( ミオクローヌス ) が起きやすい |
● 血糖変動
- 血糖の急激な低下 は交感神経刺激につながり、入眠時に異常な覚醒反応を誘発
血糖変動 |
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血糖の急激な低下 は交感神経刺激につながり、入眠時に異常な覚醒反応を誘発 |
診断基準
● 正常な現象
- 単発、たまに起こる → 生理的 ( 異常ではない )
- 日常生活に支障がなければ 診断や治療の対象外
正常な現象 |
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単発、たまに起こる → 生理的 ( 異常ではない ) |
日常生活に支障がなければ 診断や治療の対象外 |
● 異常な場合 ( 注意が必要 )
- 頻繁に起きる ( 毎晩 )
- 眠れないほど激しい
- 日中の疲労や不眠が強い
- 他のけいれんや神経疾患が疑われる場合
→ 神経内科の受診を推奨
異常な場合 ( 注意が必要 ) |
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頻繁に起きる ( 毎晩 ) |
眠れないほど激しい |
日中の疲労や不眠が強い |
他のけいれんや神経疾患が疑われる場合 |
→ 神経内科の受診を推奨 |
他の動物でも起きる?
● 犬・猫もビクッとする
- 同様の 入眠時ミオクローヌス が観察されている
- 特に 子犬・子猫の方が多い ( 神経系の未熟さから )
- 安静時に夢見 ( REM睡眠 ) 中に 足を動かす行動 も見られる
犬・猫もビクッとする |
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同様の 入眠時ミオクローヌス が観察されている |
特に 子犬・子猫の方が多い ( 神経系の未熟さから ) |
安静時に夢見 ( REM睡眠 ) 中に 足を動かす行動 も見られる |
病気なの?
- 基本的には 病気ではない
- ただし「睡眠時ミオクローヌス」や「周期性四肢運動障害 ( PLMD ) 」などの 疾患性ミオクローヌス とは区別が必要
病気なの? |
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基本的には 病気ではない |
ただし「睡眠時ミオクローヌス」や「周期性四肢運動障害 ( PLMD ) 」などの 疾患性ミオクローヌス とは区別が必要 |
治療・対策・予防法
【西洋医学的な対策】
✅ カフェインを控える
✅ 就寝前のリラクゼーション ( 深呼吸・ストレッチ )
✅ 規則正しい生活リズム
✅ ストレスマネジメント
※重症例には医師がベンゾジアゼピン系薬剤を用いる場合がある ( めったに必要ない )
西洋医学的な対策 |
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✅ カフェインを控える |
✅ 就寝前のリラクゼーション ( 深呼吸・ストレッチ ) |
✅ 規則正しい生活リズム |
✅ ストレスマネジメント |
※重症例には医師がベンゾジアゼピン系薬剤を用いる場合がある ( めったに必要ない ) |
【鍼灸医学的アプローチ】
✅ 腎・心を養う治療 ( 腎兪、心兪、神門への施灸・刺鍼 )
✅ 気血の調整 ( 足三里、三陰交への施灸 )
✅ 精神安定の治療 ( 内関、百会など )
鍼灸医学的アプローチ |
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✅ 腎・心を養う治療 ( 腎兪、心兪、神門への施灸・刺鍼 ) |
✅ 気血の調整 ( 足三里、三陰交への施灸 ) |
✅ 精神安定の治療 ( 内関、百会など ) |
【栄養学的対策】
✅ マグネシウム摂取 ( アーモンド、カボチャの種、葉物野菜 )
✅ カルシウム摂取 ( 小魚、乳製品、葉物野菜 )
✅ 血糖コントロール → 寝る前の急激な糖質摂取を避ける
栄養学的対策 |
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✅ マグネシウム摂取 ( アーモンド、カボチャの種、葉物野菜 ) |
✅ カルシウム摂取 ( 小魚、乳製品、葉物野菜 ) |
✅ 血糖コントロール → 寝る前の急激な糖質摂取を避ける |
予後
- 通常は 自然におさまる
- ストレスや生活環境を整えるだけで 頻度は大幅に減る
- 慢性化することは稀 ( まれ )
- 他の疾患がない限り 予後は良好
予後 |
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通常は 自然におさまる |
ストレスや生活環境を整えるだけで 頻度は大幅に減る |
慢性化することは稀 ( まれ ) |
他の疾患がない限り 予後は良好 |
まとめ
項目 | 内容 |
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原因 | 脳幹網様体の一時的な興奮、不安定な姿勢制御反射 |
よく見る夢 | 落下、つまずき、揺れ |
動物にも? | 犬猫にも観察される |
病気? | 通常は病気ではない |
対策 | カフェイン制限、ストレス軽減、鍼灸、マグネシウム補充 |
予後 | 良好、自然軽快が多い |
筋肉と神経の安定化に役立つ<マグネシウム補給メニュー例>
東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言
今回の「寝ている時にビクッとする・落下する夢の原因は?<マグネシウム不足との意外な関係と予防法>」は、いかがでしたか?
こころとからだのことで、日々あるちょっとした「なんで?」がありましたら、どんどん質問をいただけると幸いです。
今日も最後までお読みいただきありがとうございます。
最後に
お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。
