真っ直ぐ歩けないのは病気?<原因・チェック法・トレーニングを鍼灸師が解説>


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患者さまからの質問
歩く、という動作について。
たまに「真っ直ぐ歩けない人」を見かけます。
真っ直ぐ歩いているはずが、なぜかゆるやかに右や左に曲がってしまう。
並んで歩くと、隣の人にぶつかる。
ただ直線に、真っ直ぐ歩いているのに、どうして右や左に曲がってしまうのですか?
真っ直ぐ歩ける人・真っ直ぐ歩けない人、違いはなんですか?
体幹?それとも筋肉?それとも体型?
真っ直ぐ歩けるようにするには?
真っ直ぐ歩けないと、今後どんなことを引き起こしますか?
回答
とても興味深いご質問です。
「真っ直ぐ歩けない」という現象は、一見些細でも、実は身体や脳の機能のバランスが関係していることが多く、西洋医学・鍼灸医学・栄養学的観点からもさまざまな要因が絡み合っています。
以下に分けて解説します。
西洋医学的解釈
考えられる原因
- 前庭系障害 ( 内耳 ) :バランス感覚の中心である三半規管や耳石器に障害があると、傾きを感知できず真っ直ぐ歩けなくなる ( 例:良性発作性頭位めまい症、メニエール病など ) 。
- 小脳障害:小脳は歩行の軌道修正に関与。小脳萎縮や脳梗塞後遺症などで左右への逸れが起こる。
- 脊髄の問題:脊髄病変 ( 頚椎症、脊柱管狭窄症 ) では運動・感覚の伝達に異常が出てふらつく。
- 片側の筋力・関節機能低下:左右の筋力差、股関節・膝・足関節の可動域制限でも偏った歩行になる。
- 視覚障害や高次脳機能障害:視覚情報や空間認識能力が低下している場合も。
西洋医学的解釈:考えられる原因 | |
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前庭系障害 ( 内耳 ) | バランス感覚の中心である三半規管や耳石器に障害があると、傾きを感知できず真っ直ぐ歩けなくなる ( 例:良性発作性頭位めまい症、メニエール病など ) 。 |
小脳障害 | 小脳は歩行の軌道修正に関与。 小脳萎縮や脳梗塞後遺症などで左右への逸れが起こる。 |
脊髄の問題 | 脊髄病変 ( 頚椎症、脊柱管狭窄症 ) では運動・感覚の伝達に異常が出てふらつく。 |
片側の筋力・関節機能低下 | 左右の筋力差、股関節・膝・足関節の可動域制限でも偏った歩行になる。 |
視覚障害や高次脳機能障害 | 視覚情報や空間認識能力が低下している場合も。 |
診断法
- ロンベルグ試験 ( 閉眼起立バランステスト )
- 歩行検査 ( 直線歩行、ジグザグ歩行 )
- 神経学的診察(眼振、小脳機能、腱反射 )
- MRI、CTによる脳・小脳・内耳・頚椎の検査
- 重心動揺計によるバランス測定
西洋医学的解釈:診断法 |
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ロンベルグ試験 ( 閉眼起立バランステスト ) |
歩行検査 ( 直線歩行、ジグザグ歩行 ) |
神経学的診察(眼振、小脳機能、腱反射 ) |
MRI、CTによる脳・小脳・内耳・頚椎の検査 |
重心動揺計によるバランス測定 |
鍼灸医学的解釈
考え方
- 肝腎不足 ( かんじんふそく ) :肝は筋を司り、腎は骨と脳・平衡を司る。これらの機能低下で「歩行が揺れる」。
- 脾虚湿困 ( ひきょしっこん ) :筋肉の滋養不足や体内水分代謝異常により、下肢に力が入らず偏る。
- 経絡の偏在:経絡の巡りが偏ると、片側の気血が不足し、バランスが崩れる。
鍼灸医学的解釈:考え方 | |
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肝腎不足 ( かんじんふそく ) | 肝は筋を司り、腎は骨と脳・平衡を司る。 これらの機能低下で「歩行が揺れる」。 |
脾虚湿困 ( ひきょしっこん ) | 筋肉の滋養不足や体内水分代謝異常により、下肢に力が入らず偏る。 |
経絡の偏在 | 経絡の巡りが偏ると、片側の気血が不足し、バランスが崩れる。 |
症状例 ( 実際の診断パターン )
- 歩いていると自然と左に寄ってしまう → 肝血虚 ( 左側の筋肉が滋養されず )
- 足が地に着かない感覚 → 腎虚・脾虚
- 足が冷えていて重い → 寒湿困脾
治療法 ( 例 )
- 鍼灸:太衝、足三里、腎兪、陽陵泉、懸鐘、百会など
- 温灸:三陰交、命門
- 推拿 ( 中国整体 ) :背部兪穴の調整で体幹軸を整える
症状例 ( 実際の診断パターン ) | 歩いていると自然と左に寄ってしまう → 肝血虚 ( 左側の筋肉が滋養されず ) 足が地に着かない感覚 → 腎虚・脾虚 足が冷えていて重い → 寒湿困脾 |
治療法 ( 例 ) | 鍼灸:太衝、足三里、腎兪、陽陵泉、懸鐘、百会など 温灸:三陰交、命門 推拿 ( 中国整体 ) :背部兪穴の調整で体幹軸を整える |
生理学的解釈
細胞・神経・ホルモンの関与
- 平衡感覚の維持に関与する神経伝達物質:
- グルタミン酸、小脳での運動学習に必須
- GABA:小脳・前庭核での抑制性信号でバランス維持
- 筋収縮の分子レベル調整:
- カルシウムイオン:筋収縮と弛緩のタイミング制御
- アクチン・ミオシン:左右バランスに重要
- ミトコンドリア機能低下:
- エネルギー不足による筋出力の低下 → 偏り
生理学的解釈:細胞・神経・ホルモンの関与 | |
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平衡感覚の維持に関与する神経伝達物質 | グルタミン酸、小脳での運動学習に必須 GABA:小脳・前庭核での抑制性信号でバランス維持 |
筋収縮の分子レベル調整 | カルシウムイオン:筋収縮と弛緩のタイミング制御 アクチン・ミオシン:左右バランスに重要 |
ミトコンドリア機能低下 | エネルギー不足による筋出力の低下 → 偏り |
栄養学的観点
関連する栄養素不足と影響
栄養素 | 不足による影響 | 食材例 |
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ビタミンB12 | 神経の髄鞘形成障害 → 感覚異常・ふらつき | レバー、貝類 |
ビタミンD | 筋力低下・骨の軟化 → 歩行不安定 | 鮭、干し椎茸、日光浴 |
マグネシウム | 神経伝達や筋収縮の調整不全 | ナッツ、バナナ |
タウリン | 神経保護作用・平衡維持 | イカ、タコ |
真っ直ぐ歩ける人・歩けない人の違い
真っ直ぐ歩ける人 | 真っ直ぐ歩けない人 |
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体幹筋が強く、左右バランスが整っている | 片側の筋力や感覚に差がある |
内耳、小脳の機能が正常 | 平衡器官または脳機能に微細な障害がある |
視覚・空間認識が良好 | 高次視覚障害や脳疲労がある |
姿勢認識が無意識に調整できる | 無意識で体軸補正ができない |
真っ直ぐ歩けるようにするには
筋・体幹強化
- 体幹トレーニング ( プランク、バランスボール )
- 片足立ち訓練 ( 閉眼でも可 )
バランス改善訓練
- リハビリテーションでの直線歩行訓練
- Wiiフィットやスラックライン
栄養補給と睡眠の最適化
- ビタミン・ミネラルの補充 ( とくにB群、D、マグネシウム )
- 脳疲労の回復 → 良質な睡眠とストレスケア
鍼灸治療
- 経絡の調整で左右の気血バランスを整える
- 自律神経を整えて小脳・前庭核機能の向上を促す
真っ直ぐ歩けるようにするには | |
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筋・体幹強化 | 体幹トレーニング ( プランク、バランスボール ) 片足立ち訓練 ( 閉眼でも可 ) |
バランス改善訓練 | リハビリテーションでの直線歩行訓練 Wiiフィットやスラックライン |
栄養補給と睡眠の最適化 | ビタミン・ミネラルの補充 ( とくにB群、D、マグネシウム ) 脳疲労の回復 → 良質な睡眠とストレスケア |
鍼灸治療 | 経絡の調整で左右の気血バランスを整える 自律神経を整えて小脳・前庭核機能の向上を促す |
真っ直ぐ歩けないと引き起こす将来的リスク
- 転倒・骨折 ( 特に高齢者は要注意 )
- 脳疾患の初期サイン ( 例:小脳変性症、脳腫瘍 )
- 代償性の筋・関節障害 ( 片側に過負荷 → 股関節痛、膝痛、肩こり )
- 社会的孤立・外出不安
真っ直ぐ歩けないと引き起こす将来的リスク |
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転倒・骨折 ( 特に高齢者は要注意 ) |
脳疾患の初期サイン ( 例:小脳変性症、脳腫瘍 ) |
代償性の筋・関節障害 ( 片側に過負荷 → 股関節痛、膝痛、肩こり ) |
社会的孤立・外出不安 |
歩行バランスセルフチェック表
「歩行バランスセルフチェック表」を西洋医学・鍼灸医学・栄養学の観点を取り入れて作成しました。
ご自分の歩行や身体バランスの状態を確認するためにご活用ください。
真っ直ぐ歩くための1日10分エクササイズ
「真っ直ぐ歩くための1日10分エクササイズ」をご紹介します。
これは、体幹バランス・下肢筋力・感覚統合・前庭機能を刺激して、左右の歩行ブレを改善し、真っ直ぐ歩く力を高めることを目的としています。
東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言
今回の「真っ直ぐ歩けないのは病気?<原因・チェック法・トレーニングを鍼灸師が解説>」は、いかがでしたか?
私たちの身体の歪みは、身体の使い方が偏っていることで起きます。
手の右利き・左利き、足では利き足・軸足、腕の組み方、足の組み方など、どうしても偏った動き・身体の使い方になってしまいます。
そして、バランスが崩れてしまっていることも多いです。
例え、真っすぐに歩けないなどの極端な状況にならなくても、バランス感覚のチェックや改善修正は、時々行うことが大切だと思います。
10分エクササイズをやってみてくださいね。
やってみた感想などありましたら、ひと言残していただけますと幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
最後に
お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。
