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<ワクチン接種後の鍼灸的サポートについて>日々奮闘する鍼灸師が語る

 2025/04/15 特集と東洋医学 症状・病気
この記事は約 7 分で読めます。

前回の記事「百日咳が大流行中<百日咳の症状や治療法・鍼灸治療的アプローチについて解説>」を書きました。

その追記として、ワクチン接種後の鍼灸的サポートについて話してきます。

百日咳ワクチンに限らず、インフルエンザ、コロナ等々でも同じ意義があると思いますので、これからとっても大切ではないかと考えます。

ワクチン接種以後の対応について、患者さまからのお問い合わせが多かったので、記事にしました。

最後のコメントだけでもお読みいただけるとうれしいです。

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ワクチン接種後の鍼灸治療的サポートの目標

対象鍼灸の効果分子レベルの反応
接種後の局所炎症炎症性サイトカインの抑制TNF-α↓、IL-6↓、COX-2↓
倦怠感・微熱自律神経調整 → 熱産生のバランス制御IL-1β↓、迷走神経経由の抗炎症反射
抗体産生の補助脾・肺の気を補うことで免疫系活性化Tfh細胞活性↑、B細胞刺激因子↑
ワクチンによる免疫誘導の過不足補正Treg細胞の誘導による免疫平衡IL-10↑、Th1/Th2バランス調整

ワクチン接種後の副反応に対する経穴選択の例

鍼灸治療は、鍼灸医学的な診断のもと、施術することが本筋だと思いますので、ここの経穴 ( つぼ ) に施術したから、こんな効果が出た!というのは、あまり意味がないと思っています。

もっと具体的にお話しすると、経絡を整えることが鍼灸治療の神髄であると心得ますが、やはり具体的な目安も必要かもしれないと思い、研究が進んでいるものを例題として記します。

症状・目的推奨経穴分子学的意義
局所の痛み・腫れ合谷、曲池抗炎症 ( COX-2抑制、PGE2低下 ) 
微熱・倦怠感内関、足三里IL-6抑制、HRV安定化、自律神経再調整
抗体価の維持肺兪、脾兪Tfh細胞活性化、IgG産生の持続補助
アレルギー的過剰反応三陰交、太淵IL-10上昇、Treg誘導による抑制

ワクチン接種後の長期的な免疫サポートしての鍼灸治療の可能性

ワクチンの長期的な免疫の問題点

今まで、ワクチン接種後の免疫が生涯続くと考えられていたものが、免疫低下が問題になっていますので、まとめてみましょう。

問題内容
💉
ワクチンの抗原変異
抗原性を変化 ( 特にペルタクチン欠失株 ) し、抗体の中和効果が低下する傾向

免疫記憶の減衰
ワクチンの種類によりますが、細胞性免疫 ( Th1/CTL ) 誘導が不十分で、時間とともに抗体価が低下しやすい
🔁
再感染・不顕性感染
成人では無症候性感染となり、周囲の乳児へ感染源に

鍼灸治療による長期免疫調整サポートの可能性

鍼灸作用免疫細胞 / 分子変化意義
Treg誘導IL-10↑、TGF-β↑ワクチンによる炎症の“ブレーキ”、過敏反応防止
Tfh細胞活性化IL-21↑、Bcl-6↑B細胞の長期抗体産生の補助、メモリーB細胞維持
粘膜免疫強化IgA↑、GM-CSF↑百日咳の感染侵入口 ( 上気道)での局所防御力UP
腸管免疫との連携腸内リンパ球刺激、G

鍼灸治療による長期免疫調整サポートの具体的な例

対応目的経穴分子的作用使用の狙い
B細胞サポート肺兪、脾兪Tfh↑、IL-21↑、IgG↑抗体の長期維持・記憶応答向上
抗原提示補助足三里、合谷DC活性↑、GM-CSF↑抗原認識→T細胞活性化をサポート
粘膜防御力UP列欠、中府IgA↑、粘液分泌↑細菌、ウイルスの入口を守る局所免疫
自律神経調整神門、太渓HRV↑、迷走神経活性↑ストレス性免疫低下の予防
炎症制御三陰交、太淵IL-10↑、Treg↑ワクチンによる炎症記憶の制御

繰り返しますが、まだまだ研究途中の分野ですので、これからの研究に期待しています。

上記は、現時点で示唆されているものです。

注目されるワクチン種別ごとの鍼灸的サポートの可能性

ワクチン種別鍼灸による免疫分子変化推奨経穴
インフルエンザIFN-α↑, NK細胞↑, IL-6↓, IL-10↑合谷, 大椎, 足三里, 風池
新型コロナ ( mRNACD8+ T細胞↑, IL-1β↓, IL-10↑, TNF-α↓内関, 神門, 百会, 三陰交

インフルエンザワクチン

  • 特にIFN-αやNK細胞がインフル初期の自然免疫で重要
  • 鍼灸で炎症性サイトカイン ( IL-6 ) を抑えつつ抗ウイルス反応をブースト
インフルエンザワクチン
特にIFN-αやNK細胞がインフル初期の自然免疫で重要
鍼灸で炎症性サイトカイン ( IL-6 ) を抑えつつ抗ウイルス反応をブースト

新型コロナワクチン ( mRNA

  • 細胞性免疫 ( CD8+ T細胞 ) 活性が主な防御機構
  • 鍼灸で炎症反応 ( IL-1β、TNF-α ) を制御しつつ、自己免疫反応を抑制するTreg誘導が重要
新型コロナワクチン ( mRNA )
細胞性免疫 ( CD8+ T細胞 ) 活性が主な防御機
鍼灸で炎症反応 ( IL-1β、TNF-α ) を制御しつつ、
自己免疫反応を抑制するTreg誘導が重要

副反応と鍼灸的診断のつながり

ワクチン副反応とは?

  • 発熱、倦怠感、局所の腫脹・疼痛、リンパ節腫脹、頭痛、アレルギー反応など
  • 本来は免疫活性化の正常な反応だが、過敏体質や免疫バランス異常があると、過剰に出現することがある
ワクチン副反応
発熱、倦怠感、局所の腫脹・疼痛、リンパ節腫脹、頭痛、アレルギー反応
本来は免疫活性化の正常な反応だが、過敏体質や免疫バランス異常があると、過剰に出現することがある

鍼灸治療的診断分類とリスク傾向

体質名 ( 証)特徴主な副反応リスク分子学的背景
気虚疲れやすい
風邪をひきやすい
抗体産生低下、倦怠感の長期化B細胞活性低下、IL-21↓
陰虚手足のほてり
口渇
乾燥傾向
微熱、長引く炎症IL-6↑、Treg↓、炎症持続
痰湿胃もたれ
肥満体質
粘液多い
局所腫脹が強い、長引くだるさマクロファージ活性↑、TNF-α↑
気滞ストレス
抑うつ
イライラしやすい
頭痛、動悸、不眠、動揺感HPA軸過活性、コルチゾール↑、IL-1β↑
瘀血顔色悪い
肩こり
皮膚が紫暗
局所の痛みが強い、注射部位が硬結血管透過性↑、IL-8↑、好中球浸潤↑

鍼灸治療の具体的アプローチの例

体質鍼灸戦略分子レベルの目的推奨経穴
気虚脾肺を補う
気を養う
B細胞活性↑、IL-21↑足三里、脾兪、肺兪
陰虚陰液を補う
熱を引く
IL-6↓、炎症反応抑制太渓、三陰交、陰陵泉
痰湿痰湿を除く
気機を流す
TNF-α↓、マクロファージ活性↓中脘、豊隆、陰陵泉
気滞気を巡らせる
情緒を安定
IL-1β↓、HPA軸↓、副交感神経↑内関、肝兪、百会
瘀血瘀血を散らす
経絡を通す
血管透過性↓、IL-8↓血海、膈兪、三陰交

東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言

今回の「<ワクチン接種後の鍼灸的サポートについて>日々奮闘する鍼灸師が語る」は、いかがだったでしょうか?

私としては、この記事はかなり悩みました。

というのも、ホリス治療院での鍼灸治療は「患者さまのお身体から声を聴く」と言う特殊な技術を基盤にしています。

言い換えますと、鍼灸師である私が考えているのではなく、患者さまのお身体が教えてくれる通りに鍼灸を施します。

ですから、今回あるアプローチ例は、本当に雑になっていると思いますが、あくまでも参考に、と言う読み方をしてくださいね。

あえて、この記事を書いているのは、患者さまからワクチン接種後の対応を聞かれることが多いからです。

また、その影響と思われる体調不良の患者さまが多いのもあります。

さすがに最近は減ってきました、これから影響が大きくなる可能性がありますので、書きました。

もしも、ワクチン関係でお悩みの方がいらっしゃいましたら、西洋医学的なアプローチだけでなく、鍼灸的なアプローチもあるのだと頭の片隅に置いていただけると幸いです。

最後に

お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。

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金井 進

金井 進

元気の羅針盤編集長。
ホリス治療院院長、はり師、灸師 ( 国家資格 )。

1994年よりホリス治療院開業。
鍼灸、カイロプラクティック、フィジカルセラピーを融合した独自の治療体系で日夜、患者さんと向き合っています。

30年以上にわたる鍼灸臨床のなかで培った知識と経験をもとに、あなたの困った問題を解決できるような確かな情報をお届けしたいと思っています。

あなたの喜びの声を聞くことほど、私達の仕事に「情熱」と「やりがい」を与えてくれるものはありません。
いいこと・悪いこと、どんなことでも結構です。
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