【質問】 朝ごはんが食べられません<西洋医学・鍼灸医学・栄養学の視点で詳しく解説>

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患者さまからの質問
朝ごはんが食べられません。
寝起きは食欲が無いし、喉を通りません。
朝ごはんを食べずに会社へ行きます。
朝ごはん抜き、私の周りに意外と多いです。
1日3食、食べた方がいいのですか?
1日2食、朝ごはん抜きだとダメですか?
回答
とても良いご質問です。
「朝ごはん抜き」は多くの方が一度は悩むテーマであり、現代人の生活スタイルと深く関わっています。
ここでは西洋医学・鍼灸医学・栄養学の観点に加えて詳しく解説しますね。
西洋医学的視点:朝食の有無と代謝リズム
結論:個人差あり。必ずしも3食でなくてもよいが「欠食」による影響は無視できない
- サーカディアンリズム ( 体内時計 )
- 朝日を浴びて「交感神経」が優位になり、血糖値・体温・代謝が上がります。
- 朝に食事を取ることで「消化器官」も起き、インスリン分泌がスムーズになります。
- 朝食を抜くと
- 血糖値が乱れやすく、昼食でドカ食い→インスリン抵抗性を悪化させる可能性。
- 慢性的に抜くと、肥満・糖尿病・動脈硬化リスク増加との報告あり ( 例:NHANES米国調査 )
ただし、食事回数と健康の相関性は個人の体質・生活習慣に大きく依存します。
鍼灸医学的視点:「朝」は脾胃の時間
結論:鍼灸医学では「朝こそ食事すべき時間帯」。ただし、状態に合わせて「補脾・理気」の施術を
- 午前7〜9時は“胃経”の時間帯 ( 十二経絡理論 )
- この時間に栄養を入れれば「気血」が充実し、全身のエネルギーが養われます。
- 朝食が食べられないのは“脾虚”や“気滞”が背景に
- 脾胃 ( 消化器 ) が弱っている、気が巡っていない、ストレスや過労がある。
- 東洋的に見ると「食べる気がしない」は“体が弱っているサイン”。
鍼灸での治療方針
症状 | 鍼灸の対応 |
---|---|
食欲不振 | 足三里・中脘・脾兪への補法 ( 脾胃の補気 ) |
胃のつかえ | 内関・公孫などの理気穴 ( 気の巡りを良く ) |
寝起きが重い | 太白・三陰交 ( 陰の補気、脾の活性化 ) |
栄養学的視点:「代謝のスイッチ」としての朝食
結論:朝食は「代謝酵素群のスイッチ」になるが、無理に食べる必要はない。工夫で代替可能
- 朝食を食べることで
- AMPK ( エネルギーセンサー )
- mTOR ( 細胞増殖系 )
- インスリン経路 ( PI3K/Akt ) が活性化され、代謝モードが「摂取→利用」へ切り替わる。
- 朝食抜きが続くと脂肪分解が優位になる反面、筋分解も起こりやすい ( 特に朝にコルチゾールが高いため ) 。
例
- 朝にブドウ糖を取ると、肝臓のGLUT2トランスポーターが活性化→肝臓でのグリコーゲン合成が促進される。
- 一方、朝に食事を取らないと、空腹刺激でオレキシン ( 覚醒・活動ホルモン ) が分泌→一時的な集中力向上が起こることも。
実践編:食べられない人のための朝食戦略
状態 | おすすめの代替法 | 解説 |
---|---|---|
食欲ゼロ | 白湯+梅干し/ショウガ湯 | 消化を刺激し、胃腸を温める |
少しなら入る | バナナ+プロテイン or ヨーグルト+蜂蜜 | 低負担・消化が良い 筋肉分解も予防 |
飲み物だけで済ませたい | 甘酒/豆乳スムージー/青汁+オイル | 発酵食品やMCTで代謝活性も狙える |
断食を継続したい | 「16時間断食法」+昼食からしっかり摂取 | インスリン感受性向上 脂肪燃焼も |
まとめ
観点 | ポイント | 解釈 |
---|---|---|
西洋医学 | 朝食で代謝と血糖を安定化 | 特に糖尿病予防に有効 |
鍼灸医学 | 朝は「胃」の時間、脾胃を補うべし | 脾虚タイプは特に重要 |
栄養学 | 朝食は「代謝スイッチ」 | mTOR/AMPKなどの経路活性化 |
実践 | 無理に食べる必要はないが、質と工夫が大事 | 白湯やスムージーで代替可 |
東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言
今回の「朝ごはんが食べられません<西洋医学・鍼灸医学・栄養学の視点で詳しく解説>」は、いかがでしたか?
実は、1日3食が身体によい!とは、限りません。
1日1食、または1日2食を進める方もいらっしゃいますし、反対に1日5食を進める方もいらっしゃいます。
実際に、鍼灸師の私も2食の時期が一番長かったですし、1食の時期もありました。
今は、3食に落ち着いていますが、その時期の心身の状態や活動量などで変化しています。
「自分の”今”の心身の状態に合った最適な食事回数を見つける」ことは、まさに“未病を治す”ための第一歩です。
心身の状態は人それぞれ、その時その時で違うので、一般論に頼らず、自分の心身を知ることがとても大切なんです。
そのためには、心と体と対話する習慣が大切だと思います。
最後に
お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。
