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療育手帳と施設やグループホームなど知的障がい者の暮らしを考える

障害をお持ちのお子さんやご家族がいらっしゃる方へ。

今は、自宅で暮らしているけれど、

「まだ、元気だから。家族が丈夫なうちは。」

「施設やグループホームはまだ先の事。」

そんな風に思っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか?

「果たして、そうでしょうか?」

家庭生活の変化、環境の変化は突然に来る事も、時とともにやって来る事もあり、変化の理由は様々でしょうが、確実に「家族」以外の誰かにお子さんをお願しなければならない時が来るでしょう。

「その時に向けての準備は進んでいますか?」

ここでは知的障がいをお持ちのお子さんと一緒に暮らしていらっしゃるご家族に「自宅以外の暮らし。」について、少しお話させてもらいたいと思います。

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知的障がいの認定

「療育手帳」は知的障がいと認められると発行されます。

手帳には、障がいの程度が記入されており、それに伴ってどのような免除が受けられるかが記入されています。

それとは別に「障がい支援区分」があり、何か福祉的な支援を利用したい、という時に障がいやその他心身の状態に応じて必要とされる支援の度合いを示したものです。

度合いは、6段階の区分(数字が大きいほど必要の度合いが高い)で分け、
「あなたは月に何日、どういう支援が受けられます。」

という支給量が示されています。

療育手帳とは

療育手帳を取得するには、知的障がいであるという認定を受けます。

認定を受けるには専門の機関があり、18歳を境に認定を受ける機関が異なります。

  • 18歳未満→児童相談所(児童福祉法に基づく)
  • 18歳以上→知的障がい者更生相談所(知的障害者福祉法に基づく)

療育手帳は、各都道府県知事、政令指定都市の市長(以下、自治体)が実施主体であり、手帳の表示方法や手帳の名称、判断基準は自治体によって異なる事があります。

知的障がいの判定基準の目安として、国の指導では、A(重度)、B(A以外)に分けられます。Aは重度、Bは中、軽度ということになります。

以下に判断基準を示します。表記は自治体で異なる為、主だったものを載せます。

等級
IQ
援助の必要度
A(A1、1度、マルA)~最重度
20未満
生活全般に常時援助が必要である
A(A2、2度、A) ~重度
35未満
日常生活に常時援助が必要である
B(B1、3度、B) ~中度
50未満
日常生活に援助が必要である
B(B2、4度、C)  ~軽度
70未満(75未満)
日常生活は出来る

重度と中、軽度の境は、国の基準でIQ35が目安になりますが、IQが軽度の70~75以上 で、日常生活を送る上で能力に問題が無いと判断された場合は、手帳は発行されないこともあります。

これは「お住まいの自治体に従って。」と言う事になります。

障がいの程度は最初の判定時の決定が絶対ではなく、状態が年齢と共に変わる事があります。その時は、当然、再判定時に等級が変わる事もあります。

療育手帳のメリットは、障害の程度によって公共交通機関の割引や各種税金の免除、NHK受信料の免除、医療助成などの各種割引を受ける事が出来る所です。

また、20歳から支給される障がい者年金を受給する為の指標になります。

障がい支援区分とは

 実際に障がい福祉サービスを利用するには、障害の種類や程度、介護者の有無や状況、サービス利用に関する意向を元に「サービス等利用計画」を作成してもらいます。

1.介護の支援を利用する場合→「介護給付」

障がい支援区分がある方で、居宅介護、生活介護、短期入所、行動援護、施設入所支援等を利用したい方。

 

 2.訓練等の支援を利用する場合→「訓練等給付」

障がい支援区分がない方で、就労継続支援A型、B型、就労移行支援、自立訓練等を利用したい方。

 

サービスの利用を希望される方(以下、利用者)は、まず市町村の窓口に申請し、障がい支援区分の認定を受けます。

  1. 市町村の窓口に申請する。
  2. 調査員が、本人、家族、事業所から聞き取り調査を行う。
  3. 医師(主治医)の意見書を貰う。
  4. 各市町村の審査会で審査判定が行われる。
  5. 結果を踏まえ、市町村が認定する。

と、ここまでは、認定を受ける手順になります。

次に、実際にサービスを利用するには、市町村に「サービス等利用計画」を提出しなければなりません。

これは、「指定特定相談支援事業者」

つまり、相談を受け計画を作る事が出来ると認められた事業所が作成する計画書と言う事になります。

1.「指定特定相談支援事業者」に「サービス等利用計画(案)」を作成してもらう。

※「指定特定相談支援事業者」以外の者(保護者、本人)が作成した「セルフプラン」でも可能です。

2.「サービス等利用計画(案)」を提出します。

3.市町村が、「サービス等利用計画(案)」を踏まえ、支給決定を行います。

4.支給決定が下りると「指定特定相談支援事業者」が、実際のサービスを提供する事業者「サービス事業者」との連携、調整の会議が行われます。

5.「サービス等利用計画書」が作成され、利用開始となります。

実際のサービスを利用していて、家族の状況が変わったり、必要な支援が増えた時などは、再度「サービス等利用計画書」の作成をお願い出来ます。

暮らしの拠点

知的障がいのあるお子さんが成長し、様々な理由で自分の育った自宅で自分の家族と暮らせなくなった時、

「自宅で暮らす以外の生活の場はどんな所になるのでしょうか?」

「施設?」

それとも

「グループホーム?」

それとも

「ひとり暮らし?」

ここでは、

「誰かの支援を必要として生活する場合」

についてお話していきたいと思います。

施設で暮らす

知的障がいの方が生活する施設として知的障がい者支援施設があります。

この施設は、「介護給付費」に該当し、施設で暮らし、支援を行うとともに施設入所の方以外の方にも障がい福祉サービスを行う所になります。

利用者の方に対し、夜間は食事、排せつ、入浴等、日中は、生活介護、自立訓練、就労移行支援といった利用者の障がいや特性に合わせた障がい福祉サービスを提供します。

利用できる方は、先ほど説明しました障がい支援区分が、区分4以上の方になります。ただし、年齢が50歳以上ですと区分3以上の方が利用できます。

グループホームで暮らす

グループホームは「訓練等給付費」に該当し、一人で生活するのが難しい人達で、専門のスタッフ等の支援を受けながら、少人数で共同生活をする所です。

また、地域社会で家庭と似たような環境で暮らす事が出来る所です。

利用できる方は、障がい支援区分が区分1~6までの方が対象となります。

介護サービス包括型または、外部サービス利用型

介護サービス包括型

グループホームの世話人及び支援員が、利用者に必要な入浴、排せつ、食事の介護、家事、通院など(介護サービス)を利用者の状況に応じて行います。

また、必要な支援員が配置されます。その為、障がいの程度が比較的重度の方が対象となるでしょう。

外部サービス利用型

グループホームは、相談、手配のみ行う為、グループホームとは別の「居宅介護事業所」に必要に応じて、介護サービスを行ってもらいます。

このグループホームは、夜間は世話人及び支援員が常駐しない所が多い為、比較的、障害の程度が中軽度で事業所や職場に通っている方が対象となるでしょう。

まとめ

「知的障がい者が家庭から出て暮らす時のために家族がしておく2つのこと。」 は、いかがでしたでしょうか?

何となく施設入所支援の施設、グループホームでの暮らしの違いがおわかりになったでしょうか?

事業所によって重きを置いている部分や雰囲気などは全く違ってきます。

「ご本人はどんな生活が向いているのか?」

ご家族として

「どんな生活を送って行って欲しいのか?」

と具体的な将来を思い描いていただき、まずは、見学される事を強くお勧めします。

今の生活が、何時、どんな状況で変わるかは誰にもわかりません。しかし、生活の中で誰かの支援や介護が必要だからこそ、ご家族の為に、ご本人の為に、いざと言う時の為に。また、少しでも不安や心配が解消される様に、早め、早めの備えは必要だと思います。

「備えあれば、憂いなし。」で「不安」を解消しませんか?
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内藤 和江

内藤 和江

島根県大田市生まれ。
海や山、自然に囲まれて育つ。
保育士を目指し短大へ。

実習先の知的障がい児施設で言葉以外でのコミュニケーションを取る事の難しさを経験する。

しかし、そこで出会った明るく前向きな職員さんの姿に感銘を受け、興味をもつ。

短大卒業後すぐに、知的障がい者(旧、更生施設)支援施設に就職。

特別養護老人ホームでの仕事にも関わるが、結婚を機に退職。

その後も福祉に関わる仕事に携わり続け、現在、社会福祉法人 真純乃郷福祉会理事長。

利用者の方の声なき声に耳を傾け、
利用者の方の気持ちに寄り添い、
利用者の方の生きがいを見つけたい。

答えはひとつではない、その答えを見つける旅を続けています。

コメント

  1. 女児の母 より:

    特別支援学校の中学部に通う娘は、身障手帳・療育手帳を持っています。
    卒業後の進路には不安があります。
    この4月になり、ようやく「指定特定相談支援事業者」(コーディネーター)を
    お願いしました。
    事業所はいくつもありますが、どこも一杯でなかなか引き受けてもらえず
    やっと2年越しで見つけることができました。

    先日はコーディネーターにより、学校担任の先生・放デイスタッフ・保護者で
    娘についての会議を開いて頂きました。
    将来、娘が孤立せず社会の一員として生活、活動していければいいなと考えつつ、
    それらの力になってくれるのがコーディネーターなのだと思いました。

    1. 内藤 和江 内藤 和江 より:

      女児の母さん
      この度は、元気の羅針盤をお読みいただきありがとうございました。
      また、コメントをいただきありがとうございました。
      私の住んでいる市でも、実際、保護者の方から「指定特定相談支援事業者」の一覧を行政からもらい、上から順番に連絡しているがなかなか引き受けてもらえないという話も耳に入って来ています。
      保護者の方からすると、本当に困った話だと思います。現状では、計画を立ててもらいたい保護者と事業所のマッチングがスムーズに出来る機関がない、というのが一番の課題だと思います。

      さて、娘さんの将来についてご心配ですよね。でも中学二年生ですので、まだまだ色々な経験や体験を通し、吸収する力はたくさんあると思います。体験や経験を通しての成功や失敗は必ず将来に必要な糧になります。

      ぜひ、専門的な知識のあるコーディネーターさんに力になってもらいながら、娘さんが社会の一員として支え、支えられながら生活できるよう、また、そんな社会になるよう私も努力していかなくてはいけないな、と改めて考えさせられました。

  2. 困り果てたおばちゃん より:

    知的障害と診断されている25歳の甥と19歳の姪がおります。昨年夏にお母さんが無くなり、お父さんは外に女を作り出て行ってしまいました。小学校時代には特殊学級を勧められていたようですが一般学級で過ごしたため、本人たちはそれなりに大変だったであろうと思います。甥はどこに働きに行っても長続きせず、時々面接に行きますが今は採用すらしてもらえません。面接で不採用となるたびにお酒を飲んでしまい、暴れます。
    姪は就職したもののパニック障害で倒れるため休職し療養中です。一時は幻覚を見たり突然外に飛び出して行ったり…やっとよくなってきたと喜んでいましたが、人恋しさと持て余した時間から夜遊びを始め今は彼氏が欲しい、赤ちゃんが欲しいと言い出し、誰の話も聞かず(理解できないというか、話始めると目が死んでいる感じ)困っています。
    病院で支援事業所の方を紹介していただいたり、社会福祉協議会でコミュニティソーシャルワーカーさん、民生委員さんなどたくさんの支援者さんとつながることも出来ましたが、出口が見つかりません。
    体力的にも精神的にも金銭的にも限界を感じています。
    甥は療育手帳を取得するよう申請しているところです。姪については休職している職場に復帰できるようであれば療育手帳の取得はしないつもりです。
    難しさをただただ感じています。

    1. 内藤 和江 内藤 和江 より:

      この度は、元気の羅針盤をお読み頂きありがとうございました。
      また、コメント頂きありがとうございました。

      さて、この度、コメントにございました甥っ子さん、姪っ子さんの今後について大変ご心配のことと思います。

      ご両親がいらっしゃれば、甥っ子さんも姪っ子さんも甘えたり、相談できたのだと思います。
      その支えを何処にどんな風に求めたらいいのか、ご自身も苦しんでおられるのではないかと推察いたします。

      この件ですが、すぐには解決の糸口は見つけ辛いかとおもいますが、現在、支援事業所の方や専門性を持った方が、関わっていらっしゃる様ですので、甥っ子さん、姪っ子さんの状況を知っていらっしゃる方と今後の方向性をご相談されていくのがよろしいかと思います。

      おばさまという立場で本当に悩まれご苦労されていらっしゃることが伝わってきました。

      そのお気持ちが、甥っ子さんや姪っ子さんに伝わり、少しずつ前に進んでいけることを願っています。
      また、困り果てたおばちゃんさんもお身体ご自愛下さい。

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