【質問】おなかピーピー対策!<IBS ( 過敏性腸症候群 ) の症状・チェックリスト・食事とストレスケア法>


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患者さまからの質問
過敏性腸症候群。
最近では「OPP ( おなかピーピー ) 」と言われたり。
過敏性ということは、過剰に腸が働いてしまう?
過敏性腸症候群について知りたいです。
どんな人がなりやすい?
原因とか対策、予防策は?
完治する?
回答
質問ありがとうございます。
過敏性腸症候群 ( IBS:Irritable Bowel Syndrome ) は、腸に構造的な異常がないにもかかわらず、腹痛や下痢・便秘などの便通異常が慢性的に続く疾患です。
俗に「OPP ( おなかピーピー ) 」とも言われるように、特に下痢型では日常生活に強い支障を来し、鍼灸治療院を訪れる患者さまも多いです。
詳しくみていきましょう。
IBSセルフチェックリスト
① 症状について ( ☑ チェック )
- 月1回以上腹痛がある
- 排便で腹痛が軽減する
- 排便の回数が日によって大きく違う
- 便の形状が日によって大きく違う
- お腹がよく張る・ガスがたまる
- お腹の音が気になる
- 朝やストレス時に腹痛・下痢が多い
症状について | ☑チェック |
---|---|
月1回以上腹痛がある | ☑ |
排便で腹痛が軽減する | ☑ |
排便の回数が日によって大きく違う | ☑ |
便の形状が日によって大きく違う | ☑ |
お腹がよく張る・ガスがたまる | ☑ |
お腹の音が気になる | ☑ |
朝やストレス時に腹痛・下痢が多い | ☑ |
② ライフスタイル ( ☑ チェック )
- 睡眠が不規則 / 睡眠の質が悪い
- 朝食を抜くことが多い
- コーヒーや炭酸をよく飲む
- アルコールをよく飲む
- 運動不足気味
- ストレスを自覚している
- 忙しいときにトイレが気になる
ライフスタイル | ☑チェック |
---|---|
睡眠が不規則/睡眠の質が悪い | ☑ |
朝食を抜くことが多い | ☑ |
コーヒーや炭酸をよく飲む | ☑ |
アルコールをよく飲む | ☑ |
運動不足気味 | ☑ |
ストレスを自覚している | ☑ |
忙しいときにトイレが気になる | ☑ |
→ 3項目以上該当する場合はIBSの可能性が高め → 医療機関や専門家へ相談+食事と生活習慣の見直しをおすすめします。
症状と診断基準 ( Rome IV基準 )
◇ 主な症状
- 腹痛 ( 排便で軽減 )
- 下痢、便秘、または両方
- お腹の張り、ガス
- 残便感や排便回数の増減
主な症状 |
---|
腹痛 ( 排便で軽減 ) |
下痢、便秘、または両方 |
お腹の張り、ガス |
残便感や排便回数の増減 |
◇ Rome IV診断基準 ( 代表的な診断基準 )
「過去3か月間に、月に1回以上の腹痛があり、以下のうち2つ以上に該当」
- 排便に関連している
- 排便頻度の変化
- 便形状 ( 硬さ ) の変化
Rome IV診断基準 ( 代表的な診断基準 ) |
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①排便に関連している |
②排便頻度の変化 |
③便形状 ( 硬さ ) の変化 |
「過去3か月間に、月に1回以上の腹痛があり、以下のうち2つ以上に該当」 |
分類
- IBS-D ( 下痢型 )
- IBS-C ( 便秘型 )
- IBS-M ( 混合型 )
- IBS-U ( 分類不能型 )
分類 |
---|
IBS-D ( 下痢型 ) |
IBS-C ( 便秘型 ) |
IBS-M ( 混合型 ) |
IBS-U ( 分類不能型 ) |
なりやすい人 ( 疫学・リスク因子 )
- 20〜40代の女性に多い
- ストレス耐性が低い人
- 不規則な生活習慣 ( 睡眠・食事 )
- 消化器感染症の既往 ( Post-infectious IBS )
- 小児期のトラウマや虐待歴
- 過敏な性格 ( HSP傾向 )
なりやすい人 ( 疫学・リスク因子 ) |
---|
20〜40代の女性に多い |
ストレス耐性が低い人 |
不規則な生活習慣 ( 睡眠・食事 ) |
消化器感染症の既往 ( Post-infectious IBS ) |
小児期のトラウマや虐待歴 |
過敏な性格 ( HSP傾向 ) |
原因:多因子疾患 ( 分子生物学的解釈を含む )
観点 | 概要 |
---|---|
脳腸相関 | ストレスによって視床下部-下垂体-副腎系 ( HPA軸 ) が活性化し、腸管運動や知覚が変化 |
腸内細菌叢の乱れ | 善玉菌 ( 乳酸菌など ) が減少し、有害菌が優位になる「ディスバイオーシス」が起こる |
セロトニン異常 | 腸内のセロトニン ( 95%が腸内に存在 ) の異常により、排便コントロールが不安定に |
炎症性サイトカイン | IL-6, TNF-αなどが亢進し、腸の知覚過敏を誘発 |
腸管バリア機能の低下 | タイトジャンクションの破綻により、腸もれ ( リーキーガット ) が起こる |
西洋医学的治療法
症状 | 治療 |
---|---|
下痢型 | 消化管運動抑制薬 ( ロペラミド ) 、セロトニン3受容体拮抗薬 ( ラモセトロン ) |
便秘型 | 浸透圧性下剤 ( PEG製剤 ) 、セロトニン4作動薬 ( ルビプロストン ) |
両型共通 | 抗不安薬 ( セルトラリン ) 、腸内細菌調整薬 ( プロバイオティクス ) 、低FODMAP食 |
補助療法 | 認知行動療法 ( CBT ) 、マインドフルネス |
鍼灸医学的解釈と治療
◇ 病因
- 肝気鬱結 ( ストレス )
- 脾虚 ( 消化力低下 )
- 寒湿内生 ( 冷飲食の取りすぎ )
◇ 主な治療穴
- 神闕 ( しんけつ ) ・中脘 ( ちゅうかん ) ・天枢 ( てんすう ) :腸の調整
- 太衝 ( たいしょう ) ・肝兪 ( かんゆ ) :自律神経バランス調整
- 足三里 ( あしさんり ) ・三陰交 ( さんいんこう ) :脾胃の強化
◇ 鍼灸の作用機序 ( 分子生物学的視点 )
- 自律神経調整 ( 迷走神経刺激→副交感優位 )
- β-エンドルフィンやGABAの分泌促進
- 腸管内血流や蠕動運動の調節
病因 | 肝気鬱結 ( ストレス ) 脾虚 ( 消化力低下 ) 寒湿内生 ( 冷飲食の取りすぎ ) |
主な治療穴 | 神闕 ( しんけつ ) ・中脘 ( ちゅうかん ) ・天枢 ( てんすう ) :腸の調整 太衝 ( たいしょう ) ・肝兪 ( かんゆ ) :自律神経バランス調整 足三里 ( あしさんり ) ・三陰交 ( さんいんこう ) :脾胃の強化 |
鍼灸の作用機序 ( 分子生物学的視点 ) | 自律神経調整 ( 迷走神経刺激→副交感優位 ) β-エンドルフィンやGABAの分泌促進 腸管内血流や蠕動運動の調節 |
栄養学的アプローチ ( 食事療法 )
◇ 低FODMAP食
発酵性オリゴ糖・二糖類・単糖類・ポリオールを減らすことでガス・下痢・腹痛が緩和される
食べない方がいい例 ( 高FODMAP )
- 玉ねぎ、にんにく、小麦、牛乳、豆類、リンゴ、キシリトール
食べて良い例 ( 低FODMAP )
- 米、じゃがいも、にんじん、バナナ、鶏肉、魚
◇ プレ・プロバイオティクスの活用
- プレバイオティクス:水溶性食物繊維 ( イヌリン、難消化性デキストリン )
- プロバイオティクス:ビフィズス菌、ラクトバチルス属菌
低FODMAP食 | 発酵性オリゴ糖・二糖類・単糖類・ポリオールを減らすことでガス・下痢・腹痛が緩和される <食べない方がいい例 ( 高FODMAP ) > → 玉ねぎ、にんにく、小麦、牛乳、豆類、リンゴ、キシリトール <食べて良い例 ( 低FODMAP ) > → 米、じゃがいも、にんじん、バナナ、鶏肉、魚 |
プレ・プロバイオティクスの活用 | プレバイオティクス:水溶性食物繊維 ( イヌリン、難消化性デキストリン ) プロバイオティクス:ビフィズス菌、ラクトバチルス属菌 |
予防策
- 十分な睡眠と規則正しい生活
- ストレス管理 ( 瞑想・呼吸法・運動 )
- 冷たい飲食の摂りすぎを控える
- よく噛んで食べる
- 腸活 ( 乳酸菌、発酵食品の摂取 )
予防策 |
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十分な睡眠と規則正しい生活 |
ストレス管理 ( 瞑想・呼吸法・運動 ) |
冷たい飲食の摂りすぎを控える |
よく噛んで食べる |
腸活 ( 乳酸菌、発酵食品の摂取 ) |
予後と完治について
- 器質的疾患ではないため、命に関わることはない
- ただし、慢性化・再発しやすく、生活の質 ( QOL ) を大きく損なう
- 完全に「治る」というより、コントロールすることが目的
- 認知行動療法・鍼灸・食事療法などの多面的アプローチにより改善が期待できる
予後と完治について |
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器質的疾患ではないため、命に関わることはない |
ただし、慢性化・再発しやすく、生活の質 ( QOL ) を大きく損なう |
完全に「治る」というより、コントロールすることが目的 |
認知行動療法・鍼灸・食事療法などの多面的アプローチにより改善が期待できる |
1週間の低FODMAP献立例 ( 朝・昼・夜・間食 )
🧘♂️ IBSにおすすめのストレス対策法
東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言
今回の「おなかピーピー対策!<IBS ( 過敏性腸症候群 ) の症状・チェックリスト・食事とストレスケア法>」は、いかがでしょうか?
IBSは、鍼灸治療ととても相性がいいように感じています。
が、やはり、食事等々の生活習慣も欠かせません。
また、患者さまひとり一人に適した生活習慣がありますので、仮説と検証を繰り返し、ご自身に適した方法を見つけるとグッと生活が楽になります。
そのためには、一緒に考えてくれるプロの医療関係者がいると心強いと思います。
感想、ご質問等々いただけますと幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
最後に
お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。
