東洋医学・鍼灸医学独特の概念:三焦 ( さんしょう )
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Contents
鍼灸医学的な「三焦経絡」の意味
●基本定義
- 三焦 = 体内の「上・中・下」の気・水分・熱の通り道
- 「腑」に分類されるが、**中が空ではない ( 奇恒の腑 ) **ため特異的な存在
鍼灸医学的な「三焦経絡」の基本定義 |
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三焦 = 体内の「上・中・下」の気・水分・熱の通り道 |
「腑」に分類されるが、**中が空ではない ( 奇恒の腑 ) **ため特異的な存在 |
●三つの部位
区分 | 解剖学的位置 | 主な役割 ( 東洋医学 ) |
---|---|---|
上焦 | 胸腔 ( 肺・心 ) | 呼吸・気の生成と配布 ( 清気 ) |
中焦 | 上腹部 ( 脾・胃 ) | 飲食物の受納と運化 ( 消化吸収 ) |
下焦 | 下腹部 ( 肝・腎・腸・膀胱 ) | 水分代謝、生殖、排泄、エネルギー貯蔵 |
経絡との関係:三焦経 ( 手の少陽三焦経 )
●経絡の流れ
- 手の薬指から始まり → 肘 → 上腕 → 肩 → 耳 → 目の外側に至る
- 「耳」「側頭部」「喉」などと深く関係
経絡の流れ |
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手の薬指から始まり → 肘 → 上腕 → 肩 → 耳 → 目の外側に至る |
「耳」「側頭部」「喉」などと深く関係 |
●代表的な経穴
経穴名 | 位置 | 主な適応 |
---|---|---|
外関 ( がいかん ) SJ5 | 前腕外側 | 自律神経調整、頭痛、風邪初期 |
支溝 ( しこう ) SJ6 | 前腕中央 | 便秘、肋間神経痛、月経調整 |
天井 ( てんせい ) SJ10 | 肘後部 | 肘の痛み、精神不安 |
耳門・和髎 ( 耳付近 ) | 顔面 | 難聴、耳鳴り、顎関節症 |
西洋医学的対応
●三焦は“臓器”ではないが、以下のように解釈される
三焦区分 | 対応する現代医学系統 | 主な役割 |
---|---|---|
上焦 | 呼吸・循環器系、自律神経上位中枢 | 酸素運搬、情緒反応、免疫調節 |
中焦 | 消化器系・肝臓・膵臓・小腸 | 消化吸収、糖代謝、胆汁分泌 |
下焦 | 泌尿・生殖器系、腎臓・副腎・性腺 | 排尿、性ホルモン分泌、老化制御 |
生理学的な視点
東洋の三焦の働き | 生理学的機構 |
---|---|
気の運行 | ミトコンドリアのATP産生、交感神経優位による血流調整 |
水分代謝 | アクアポリン、RAAS系、抗利尿ホルモン ( ADH ) |
情緒調整 | HPA軸、視床下部-副腎系、セロトニン・ノルアドレナリン系 |
自律的ネットワーク | 自律神経 + ホルモン + サイトカイン + 腸内細菌ネットワーク |
栄養学的な支援アプローチ
三焦区分 | 支援栄養素 | 例 |
---|---|---|
上焦 ( 肺・心 ) | 抗酸化物質、オメガ3、ビタミンD | 青魚、緑黄色野菜、日光浴 |
中焦 ( 脾・胃 ) | B群、亜鉛、酵素、プレバイオティクス | 発酵食品、玄米、山芋 |
下焦 ( 腎・膀胱・性腺 ) | 亜鉛、マグネシウム、セレン、アダプトゲン | ナッツ、にんにく、マカ、アシュワガンダ |
三焦の失調:症状・治療・疾患例
症状 | 東洋医学的診断 | 現代疾患例 | 鍼灸経穴 |
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頭痛・肩こり・耳鳴り | 上焦の気滞 | 自律神経失調、メニエール病 | 外関、翳風、天髎 |
胃もたれ・疲労・湿邪 | 中焦の湿困 | 機能性ディスペプシア、IBS | 支溝、中脘、足三里 |
尿量減少・むくみ・生殖機能低下 | 下焦の寒湿・腎虚 | 腎不全、不妊、前立腺肥大 | 三陰交、関元、腎兪 |
まとめ:三焦とは何か?
視点 | 三焦の意義 |
---|---|
鍼灸医学 | 「臓腑の間のネットワーク」的調和器官 気・水の通路 |
解剖学的構造 | 明確な臓器なし 機能系として分類 ( 神経・循環・泌尿系 ) |
分子生物学 | 自律神経・ホルモン・サイトカインなど統合調整系 |
臨床応用 | 内臓間ネットワーク異常 ( 例:疲労、不眠、むくみ、PMS ) に対応 |
最後に
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