【質問】日焼けで肌が赤くなる・痛い…小麦色にならない原因は?<体質別・生理学的解説と日焼け後の正しいケア法>


Contents
患者さまからの質問
これから日差しが強くなる季節。
日焼けすると肌が真っ赤になって痛い。
しばらくすると、皮がむけてくる。
日焼け=小麦色、にはなりません。
なんでうまく日焼けできないのですか?
日焼けできる人と何が違う?
過度の日焼けはシミ・そばかすになるのはなぜ?
日焼けのメリット・デメリットは?
日焼け後のケアの仕方は?
また元の肌の色に戻るには?
回答
質問ありがとうございます。
日焼け ( 日光皮膚炎 / 紫外線曝露 ) は単に「肌が焼ける」現象ではなく、生理学的に見ると 炎症反応+メラニン代謝+DNA損傷修復プロセス の組み合わせです。
あなたのように「赤くなって痛い→皮むける→色は小麦色にならない」という方は、紫外線耐性の個人差・遺伝要因・皮膚タイプの違い が関係します。
では、詳しくみていましょう。
なぜうまく日焼け ( 小麦色 ) できないのか?日焼けできる人と何が違う?
西洋医学・分子生物学的解釈
- 紫外線 ( 主に UVB ) を浴びると皮膚細胞で DNA損傷 ( シクロブタン型ピリミジンダイマーなど ) が起こる
- 炎症反応 → 赤み・痛み・浮腫 ( 腫れ )
- 同時に メラノサイト ( 色素細胞 ) が メラニン を合成 👉 メラニンは細胞核を保護する紫外線フィルターの役割
西洋医学・分子生物学的解釈 |
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紫外線 ( 主に UVB ) を浴びると皮膚細胞で DNA損傷 ( シクロブタン型ピリミジンダイマーなど ) が起こる |
炎症反応 → 赤み・痛み・浮腫 ( 腫れ ) |
同時に メラノサイト ( 色素細胞 ) が メラニン を合成 ↓ メラニンは細胞核を保護する紫外線フィルターの役割 |
遺伝的背景
- メラニン合成酵素 ( チロシナーゼなど ) の活性に個人差
- MC1R遺伝子 ( メラノコルチン1受容体 ) の多型で「赤くなりやすい・焼けにくい」体質がある
- 欧米では 赤毛・青い目の人 に多いが、日本人にも一定割合いる 👉 メラニン ( フェオメラニンが多い人 ) は小麦色になりにくい
遺伝的背景 |
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メラニン合成酵素 ( チロシナーゼなど ) の活性に個人差 |
MC1R遺伝子 ( メラノコルチン1受容体 ) の多型で「赤くなりやすい・焼けにくい」体質がある |
欧米では 赤毛・青い目の人 に多いが、日本人にも一定割合いる ↓ メラニン ( フェオメラニンが多い人 ) は小麦色になりにくい |
皮膚タイプ分類 ( フィッツパトリック分類 )
タイプ | 反応 | 例 |
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I | 常に赤くなり、黒くならない | 北欧系 |
II | 赤くなりやすく、少しだけ黒くなる | 白人 |
III | 徐々に焼けて小麦色になる | 日本人平均 |
IV | すぐに焼けて小麦色になる | 地中海系 |
V〜VI | 常に色素沈着しやすい | アジア・アフリカ系 |
👉 あなたはタイプI〜II寄りの可能性 → メラニンが生成されにくく、炎症反応主体になるため赤くなる
過度の日焼けでシミ・そばかすになるのはなぜ?
生理学的な流れ
1️⃣ UVB・UVA → DNA損傷 ( 直接損傷+ROS ( 活性酸素種 ) 生成 )
2️⃣ 損傷したDNA → p53 タンパク質活性化 → メラニン産生促進
3️⃣ 一部のメラニンが 不均一に沈着 → シミやそばかす ( 色素異常症 )
生理学的な流れ |
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1️⃣ UVB・UVA → DNA損傷 ( 直接損傷+ROS ( 活性酸素種 ) 生成 ) |
2️⃣ 損傷したDNA → p53 タンパク質活性化 → メラニン産生促進 |
3️⃣ 一部のメラニンが 不均一に沈着 → シミやそばかす ( 色素異常症 ) |
また
- UVAは真皮層のコラーゲンを破壊 → 皮膚の老化 ( photoaging ) 促進
- 炎症の繰り返し → 慢性炎症状態 → 色素沈着や皮膚癌リスク上昇
UVAは真皮層のコラーゲンを破壊 → 皮膚の老化 ( photoaging ) 促進 |
炎症の繰り返し → 慢性炎症状態 → 色素沈着や皮膚癌リスク上昇 |
鍼灸医学的解釈
- 紫外線は「熱邪 ( ねつじゃ ) ・火邪」とみなす → 体表部 ( 皮膚 ) に血分熱盛 ( けつぶんねつじょう ) → 赤み・痛み・乾燥 → 長期的に陰虚 ( いんきょ ) ・血虚 ( けっきょ ) → シミ、乾燥、肌老化 → メラニン沈着は**瘀血 ( おけつ ) や脾虚 ( ひきょ ) **による代謝低下とも関連づけられる
鍼灸医学的解釈 |
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紫外線は「熱邪 ( ねつじゃ ) ・火邪」とみなす ↓ 体表部 ( 皮膚 ) に血分熱盛 ( けつぶんねつじょう ) ↓ 赤み・痛み・乾燥 ↓ 長期的に陰虚 ( いんきょ ) ・血虚 ( けっきょ ) ↓ シミ、乾燥、肌老化 ↓ メラニン沈着は**瘀血 ( おけつ ) や脾虚 ( ひきょ ) **による代謝低下とも関連づけられる |
日焼けのメリット・デメリット
メリット
- ビタミンD3生成 ( 皮膚内で7-デヒドロコレステロール → コレカルシフェロール )
- 骨代謝、免疫調整に重要
- ほどほどの紫外線 → 免疫調整効果 → アトピーや乾癬治療にも利用 ( NB-UVB療法 )
日焼けのメリット |
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ビタミンD3生成 ( 皮膚内で7-デヒドロコレステロール → コレカルシフェロール ) ↓ 骨代謝、免疫調整に重要 |
ほどほどの紫外線 → 免疫調整効果 → アトピーや乾癬治療にも利用 ( NB-UVB療法 ) |
デメリット
- DNA損傷蓄積 → **皮膚癌 ( 基底細胞癌・有棘細胞癌・悪性黒色腫 ) **リスク上昇
- 慢性炎症による光老化 ( シワ、たるみ )
- シミ・そばかす形成
- 免疫抑制 ( 局所的 ) → ウイルス感染・発癌促進の一因にも
日焼けのデメリット |
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DNA損傷蓄積 → **皮膚癌 ( 基底細胞癌・有棘細胞癌・悪性黒色腫 ) **リスク上昇 |
慢性炎症による光老化 ( シワ、たるみ ) |
免疫抑制 ( 局所的 ) → ウイルス感染・発癌促進の一因にも |
日焼け後のケア方法
急性期 ( 炎症期 )
- 冷却 ( 冷たいタオル・保冷剤 )
- 保湿 ( ヒアルロン酸、セラミド配合ローション )
- 炎症が強い場合はNSAID外用薬やステロイド外用薬 ( 短期間 )
日焼け後のケア方法:急性期 ( 炎症期 ) |
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冷却 ( 冷たいタオル・保冷剤 ) |
保湿 ( ヒアルロン酸、セラミド配合ローション ) |
炎症が強い場合はNSAID外用薬やステロイド外用薬 ( 短期間 ) |
亜急性期〜回復期
- 継続的な保湿
- ビタミンC誘導体入り化粧品 → メラニンの過剰沈着を抑制
- 十分な睡眠と抗酸化作用のある食事 ( ビタミンA・C・E、ポリフェノール )
- 水分補給 ( 肌のターンオーバー促進 )
日焼け後のケア方法:亜急性期〜回復期 |
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継続的な保湿 |
ビタミンC誘導体入り化粧品 → メラニンの過剰沈着を抑制 |
十分な睡眠と抗酸化作用のある食事 ( ビタミンA・C・E、ポリフェノール ) |
水分補給 ( 肌のターンオーバー促進 ) |
鍼灸的なアプローチ
- 赤み・熱感 → 曲池、合谷、大椎などの清熱活血穴を使用
- 皮膚のターンオーバー促進 → 血海、三陰交などによる血行促進
- 陰虚対策 → 腎陰補益 ( 腎兪、照海など )
日焼け後のケア方法:鍼灸的なアプローチ |
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赤み・熱感 → 曲池、合谷、大椎などの清熱活血穴を使用 |
皮膚のターンオーバー促進 → 血海、三陰交などによる血行促進 |
陰虚対策 → 腎陰補益 ( 腎兪、照海など ) |
元の肌色に戻るには?
皮膚ターンオーバー期間
- 通常 28日周期 ( 若年者 )
- 紫外線ダメージ後は 40〜60日周期 に延長することも
皮膚ターンオーバー期間 |
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通常 28日周期 ( 若年者 ) |
紫外線ダメージ後は 40〜60日周期 に延長することも |
改善のポイント
- 紫外線暴露を避ける ( SPF30以上+PA+++以上の日焼け止め )
- 抗酸化栄養素の摂取 ( ビタミンC、E、βカロテン、アスタキサンチン )
- 睡眠・生活習慣改善
- 必要に応じて美容皮膚科での治療 ( IPL、レーザー、ピーリング ) 併用
改善のポイント |
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紫外線暴露を避ける ( SPF30以上+PA+++以上の日焼け止め ) |
抗酸化栄養素の摂取 ( ビタミンC、E、βカロテン、アスタキサンチン ) |
睡眠・生活習慣改善 |
必要に応じて美容皮膚科での治療 ( IPL、レーザー、ピーリング ) 併用 |
まとめ ( 例題:あなたのケース )
状況
- 赤くなって痛い・皮がむける → 小麦色にならない
推定皮膚タイプ
- タイプI〜II
- MC1R遺伝子多型・低メラニン合成活性型
ケア方針
- 極力紫外線暴露は避ける
- ビタミンDは食事やサプリで補う
- 日焼け後は冷却+保湿+抗酸化ケア
- 鍼灸併用する場合は清熱・活血法+陰補法が有効
- 焦らず2〜3ヶ月かけて元の肌色回復を目指す
状況 | 赤くなって痛い・皮がむける ↓ 小麦色にならない |
推定皮膚タイプ | タイプI〜II MC1R遺伝子多型・低メラニン合成活性型 |
ケア方針 | 極力紫外線暴露は避ける ビタミンDは食事やサプリで補う 日焼け後は冷却+保湿+抗酸化ケア 鍼灸併用する場合は清熱・活血法+陰補法が有効 焦らず2〜3ヶ月かけて元の肌色回復を目指す |
では、頂いた質問よりも深堀して、パーソナルな日焼け対策プラン+栄養&食事例を考えてみます。
パーソナル日焼け対策プラン
日焼け予防・回復に役立つ栄養素と具体的な食事例
東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言
今回の「日焼けで肌が赤くなる・痛い…小麦色にならない原因は?<体質別・生理学的解説と日焼け後の正しいケア法>」は、いかがでしたか?
健康は、長い視点で考える必要があります。
日焼対策も長い視点で考えると、美容的な視点からだけでなく、健康的な視点でもとても大切だと思います。
日焼対策で忘れてならないのが、眼の保護です。
繰り返しますが、長い視点で考えると、眼の日焼対策としてサングラスは、子供のころから取り入れたいと思う今日この頃です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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最後に
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