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【質問】熱中症・日射病・熱射病の違いを西洋医学と鍼灸から解明!<応急処置と食事・水分補給のコツも紹介>

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患者さまからの質問

これから夏本番。

気温&湿度の上昇と共に、熱中症も増えます。

熱中症予防の商品が多く販売しています。

塩あめ、塩タブレット、などの塩を含む食品。

塩味と甘味の独特さがおいしいけど、メリット・デメリットありますか?

水分補給について、水を飲むにしても、冷たい水?

常温がいい?

ポカリスエットやアクエリアスで水分補給してもいい?

麦茶や緑茶などのお茶でもいい?

熱中症とは?

● 西洋医学的定義・診断基準

熱中症は、高温多湿な環境下で体温調節機能が破綻し、体内に熱が蓄積することで起きる障害です。

主な分類

  • I度 ( 軽度 ) :めまい、立ちくらみ、こむら返り、大量の発汗
  • II度 ( 中等度 ) :頭痛、吐き気、倦怠感、虚脱感、意識がぼんやり
  • III度 ( 重度 ) :意識障害、痙攣、体温40℃以上、肝腎機能障害
熱中症の主な分類
I度 ( 軽度 ) :めまい、立ちくらみ、こむら返り、大量の発汗
II度 ( 中等度 ) :頭痛、吐き気、倦怠感、虚脱感、意識がぼんやり
III度 ( 重度 ) :意識障害、痙攣、体温40℃以上、肝腎機能障害

なのですが、熱中症は、以前は「熱射病」と「日射病」とに分かれていたものを統合した総称です。

しかし、別々に考えた方が対処しやすいと思いますので、分けて考えてみます。

というのも、日射病、つまり暑い日差しの中での作業により熱中症になるということは分かりやすいです。

夜間、寝ている間に熱射病になっていて、朝に起きようとして起きられない、意識がもうろうとして救急車を呼ぶケースが多くなっているように感じていますので、分けて考えてみましょう。

熱射病と日射病の違い ( 定義 )

項目日射病熱射病
原因直射日光による頭部への過熱高温多湿環境下での全身の体温上昇
発症状況屋外・強い日差し下
( 例:真夏の炎天下 )
室内外を問わず
( 例:蒸し風呂状態の体育館 )
主病態脳への熱影
( 体温上昇+脳灼熱 )
体温調節機能の破綻による中枢障害多臓器不全
体温上昇するが軽度〜中等度40℃以上の重度の高体温
意識障害ありうる ( 軽度 ) 高頻度 ( 重度 )
重症度中等度までが多い重篤、死亡率高い、救急搬送必須

症状と病態の違い

● 日射病の主な症状

  • めまい、頭痛
  • 顔面紅潮、脱力感
  • 意識が「ぼんやりする」程度 ( 軽度の中枢神経障害 )
  • 発汗は保たれていることが多い
日射病の主な症状
めまい、頭痛
顔面紅潮、脱力感
意識が「ぼんやりする」程度
( 軽度の中枢神経障害 )
発汗は保たれていることが多い

● 熱射病の主な症状

  • 意識障害 ( 錯乱、昏睡 )
  • 高体温 ( 40℃以上 )
  • 発汗停止 or 異常に多い ( 中枢機能破綻 )
  • 痙攣、ショック症状
  • 急性腎不全、肝機能障害、播種性血管内凝固 ( DIC )
熱射病の主な症状
意識障害 ( 錯乱、昏睡 )
高体温 ( 40℃以上 )
発汗停止 or 異常に多い ( 中枢機能破綻 )
痙攣、ショック症状
急性腎不全、肝機能障害、播種性血管内凝固 ( DIC )

塩あめ・塩タブレットのメリット・デメリット

● 栄養学的・分子生物学的解釈

● メリット

  • 汗で失われるNa⁺ ( ナトリウム ) 補給に有効
  • ブドウ糖が入っていることでNa⁺の吸収促進 ( SGLT1共輸送体 )
  • 手軽に摂取でき、携帯性も高い
メリット
汗で失われるNa⁺ ( ナトリウム ) 補給に有効
ブドウ糖が入っていることでNa⁺の吸収促進 ( SGLT1共輸送体 )
手軽に摂取でき、携帯性も高い

● デメリット

  • 過剰摂取で高ナトリウム血症リスク:高血圧や心疾患の人には注意
  • 糖質も含まれているため、糖尿病や肥満の人には注意
  • 塩分に偏りすぎてカリウムやマグネシウム補給が不足しがち
デメリット
過剰摂取で高ナトリウム血症リスク:高血圧や心疾患の人には注意
糖質も含まれているため、糖尿病や肥満の人には注意
塩分に偏りすぎてカリウムやマグネシウム補給が不足しがち

● 体内で起きていることの補足

  • ナトリウムは細胞外液における浸透圧維持に必須
  • 過剰摂取では細胞外液量が過剰となり、血圧上昇を引き起こす
  • 逆に不足すれば**低ナトリウム血症 ( 頭痛、吐き気、意識障害 ) **が起こる
体内で起きていることの補足
ナトリウムは細胞外液における浸透圧維持に必須
過剰摂取では細胞外液量が過剰となり、血圧上昇を引き起こす
逆に不足すれば**低ナトリウム血症 ( 頭痛、吐き気、意識障害 ) **が起こる

飲み物の温度:冷たい水 or 常温水?

● 西洋医学的視点

  • 常温水 ( 15~25℃ ) がベスト:吸収速度と胃腸への刺激のバランスが良い
  • 冷水 ( 5℃前後 ) は口当たりが良いが、胃腸の働きを一時的に抑えることがある
  • 激しい運動後や高温下では10~15℃が吸収最適温という研究もある
飲み物の温度:西洋医学的視点
常温水 ( 15~25℃ ) がベスト:吸収速度と胃腸への刺激のバランスが良い
冷水 ( 5℃前後 ) は口当たりが良いが、胃腸の働きを一時的に抑えることがある
激しい運動後や高温下では10~15℃が吸収最適温という研究もある

● 鍼灸医学的視点

  • 冷たい水は「脾胃 ( 消化器 ) 」を傷めるとされ、体のエネルギー生成を妨げる
  • 「陽気」が冷やされることでだるさ・倦怠感の原因になる
  • 常温水や温かい白湯の方が気血の巡りを整えるとされる
飲み物の温度:鍼灸医学的視点
冷たい水は「脾胃 ( 消化器 ) 」を傷めるとされ、体のエネルギー生成を妨げる
「陽気」が冷やされることでだるさ・倦怠感の原因になる
常温水や温かい白湯の方が気血の巡りを整えるとされる

ポカリスエットやアクエリアスはOK?

● 栄養学的・西洋医学的観点

  • 等張 or 低張電解質飲料であり、発汗時に必要なNa⁺、K⁺、Cl⁻、ブドウ糖が含まれる
  • **ブドウ糖濃度は約4〜6%**で、腸管からの吸収効率が高い ( SGLT1共輸送体を利用 )
ポカリ&アクエリ:栄養学的・西洋医学的観点
等張 or 低張電解質飲料であり、発汗時に必要なNa⁺、K⁺、Cl⁻、ブドウ糖が含まれる
**ブドウ糖濃度は約4〜6%**で、腸管からの吸収効率が高い ( SGLT1共輸送体を利用 )

● 注意点

  • 糖分が多いので日常の水分補給としては不適切
  • 熱中症の予防・対策として一時的に活用するのが望ましい
ポカリ&アクエリ:注意点
糖分が多いので日常の水分補給としては不適切
熱中症の予防・対策として一時的に活用するのが望ましい

お茶 ( 麦茶・緑茶 ) は熱中症対策に使える?

● 麦茶

  • ノンカフェイン、ミネラル ( 特にK⁺や少量のNa⁺ ) が豊富
  • 消化吸収が穏やかで、夏の水分補給におすすめ
  • 鍼灸医学的にも「清熱・解暑」として夏向き
麦茶
ノンカフェイン、ミネラル ( 特にK⁺や少量のNa⁺ ) が豊富
消化吸収が穏やかで、夏の水分補給におすすめ
鍼灸医学的にも「清熱・解暑」として夏向き

● 緑茶

  • カフェインに利尿作用があり、過剰に摂ると水分排出過多
  • 日常的に少量ならOKだが、熱中症対策としては麦茶や経口補水液が優先
緑茶
カフェインに利尿作用があり、過剰に摂ると水分排出過多
日常的に少量ならOKだが、熱中症対策としては麦茶や経口補水液が優先

鍼灸医学的な熱中症の理解と治療

● 鍼灸医学的な病因

  • **「暑邪」「湿邪」**が体表から侵入し、気血・津液の流れを妨げる
  • 「心 ( しん ) 」が熱で乱されると、意識混濁・イライラ・動悸が出る
緑茶鍼灸医学的な病因
**「暑邪」「湿邪」**が体表から侵入し、気血・津液の流れを妨げる
「心 ( しん ) 」が熱で乱されると、意識混濁・イライラ・動悸が出る

● 治療法

  • 百会・曲池・合谷・中脘・足三里・陰陵泉などの経穴を使い、気血・津液のバランスを回復
  • 漢方薬では「白虎湯」や「五苓散」などが用いられることも
治療法
百会・曲池・合谷・中脘・足三里・陰陵泉などの経穴を使い、気血・津液のバランスを回復
漢方薬では「白虎湯」や「五苓散」などが用いられることも

予防法まとめ

方法内容
水分補給常温水、麦茶、状況に応じて経口補水液やスポーツドリンク
食事きゅうり、すいか、梅干し、みそ汁 ( K⁺、Na⁺豊富 )
避暑対策通気性の良い服、帽子、こまめな休憩
鍼灸予防鍼:中脘・足三里などで脾胃・体力強化
栄養素Na⁺、K⁺、Mg²⁺、Cl⁻、ブドウ糖のバランスを考える

東洋医学・鍼灸治療の現場からひと言

今回の「熱射病・日射病の違いを西洋医学と鍼灸から解明!<応急処置と食事・水分補給のコツも紹介>」はいかがだったでしょうか?

今年も猛暑の予感がします。

もう異常気象が通常気象のような感じですね。

熱中症対策は必須ですね。

特に高齢者の場合、節約のつもりで、クーラーをもったいないと我慢したり、また、感覚が鈍く、寒がりの人も多く、どうしても部屋の温度が高くなりがちです。

また、夏でも長袖の下着をつけている方も多いようですので、衣服調整も気を付けたいところです。

最後に

お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。

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金井 進

金井 進

元気の羅針盤編集長。
ホリス治療院院長、はり師、灸師 ( 国家資格 )。

1994年よりホリス治療院開業。
鍼灸、カイロプラクティック、フィジカルセラピーを融合した独自の治療体系で日夜、患者さんと向き合っています。

30年以上にわたる鍼灸臨床のなかで培った知識と経験をもとに、あなたの困った問題を解決できるような確かな情報をお届けしたいと思っています。

あなたの喜びの声を聞くことほど、私達の仕事に「情熱」と「やりがい」を与えてくれるものはありません。
いいこと・悪いこと、どんなことでも結構です。
是非、あなたの声をお聞かせ下さい。

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