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百日咳に対する東洋医学・鍼灸治療の捉え方

 2025/04/13 特集と東洋医学 特集と症状・病気
この記事は約 4 分で読めます。

大流行の兆しがある百日咳について「百日咳が大流行中<百日咳の症状や治療法・鍼灸治療的アプローチについて解説>」 の記事を書きました。

百日咳に対する鍼灸医学での捉え方を書いていきます。

西洋医学は、病名を診断することで、治療法が決まります。

しかし、鍼灸医学では、病名診断ではなく、患者さまの身体の状態を重要視し、これを症 ( 病症 ) と呼びます。

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東洋医学的・鍼灸治療からみて解釈

東洋医学・鍼灸医学は、西洋医学とはまったく違った理論体系で成り立っています。

鍼灸医学的病証解説
①風邪犯肺証 ( ふうじゃはんはいしょう ) 外感風邪が肺に侵入し、肺の気を塞ぐ → 咳が止まらない
②肺熱咳嗽証 ( はいねつがいそうしょう ) 肺に熱がこもり、津液が損傷 → 黄痰・乾いた咳
③陰虚肺燥証 ( いんきょはいそうしょう ) 慢性化により肺陰が消耗 → 乾咳・口渇・長期化する咳
④痰熱壅肺証 ( たんねつようはいしょう ) 痰と熱が結びつき気道を閉塞 → 発作的な咳と嘔吐

鍼灸治療では、肺は「気」を主り、宣発・粛降作用により外邪から身体を守る役割があるとされます。

鍼灸治療的アプローチの基本

  1. 外邪の排出 ( 風邪・熱 ) 
  2. 肺気の疏通 ( 粛降作用の回復 ) 
  3. 痰の除去
  4. 気陰の調整

を目標にします。

鍼灸治療の呼吸器に対する作用メカニズム

繰り返しになりますが、鍼灸治療と西洋医学とでは、理論体系が違いますから、鍼灸治療的な診断をして、鍼灸を施すことが大切です。

しかしながら、現代科学での解釈も必要と思いますので、ちょっと詳しくなりますが、参考までに記しますね。

これからの更なる研究が待たれます。

鍼灸治療と身体の変化

A. 迷走神経反射と咳中枢の調整

鍼灸は肺経や任脈上の特定の経穴を刺激することで、迷走神経系を介して脳幹の咳中枢 ( 延髄 ) に作用します。

  • 特に「天突」「列欠」「肺兪」の刺激 → 迷走神経終末から求心性信号 → 延髄の咳中枢抑制
  • 発作性咳嗽の減弱、吸気性笛声の緩和

研究報告

  • 刺激後、延髄内TRPV1Substance Pの発現が抑制されることで、咳反射閾値が上昇

B. 免疫調整作用 ( Th1/Th2バランス

百日咳ではTh2優位 ( 抗体中心 ) 免疫が活性化しますが、鍼灸によってTh1/Th2のバランス調整が可能です。

  • 経穴刺激 ( 特に肺兪・足三里 )  → 脾T細胞の再教育 → Treg細胞増加 → IL-10、TGF-β増加 → 免疫の過剰応答を抑制
  • ⇒ リンパ球の異常増多 ( 百日咳毒素による ) に対する制御性T細胞のブレーキ効果

C. 気道炎症の制御:サイトカインネットワーク調整

鍼灸刺激により、気道粘膜上皮・肺胞マクロファージのIL-6やTNF-αなどの炎症性サイトカインの産生抑制が確認されています。

  • **中府や肺兪**への刺激 → 局所の炎症性メディエーター ( NF-κB経路 ) を抑制
  • ⇒ 咳嗽の軽減、痰の減少、気道粘膜の修復促進

D. 自律神経調整による呼吸リズムの回復

百日咳後期 ( 回復期 ) では、副交感神経過緊張による咳中枢過敏が持続します。

  • 鍼刺激によるHRV ( 心拍変動 ) パターン変化が報告されており、副交感神経優位からバランスのとれた自律神経状態へ回復
  • 特に「足三里」「内関」などの経穴は遠隔から中枢の調整機構に作用

鍼灸治療的アプローチのまとめ

観点内容
鍼灸治良的理解肺気の失調・外邪侵入による咳嗽
鍼灸の役割咳嗽の軽減、免疫調整、自律神経調整
分子レベルでの作用抗炎症・抗痰・免疫強化・迷走神経刺激による咳中枢抑制
実践的応用肺経・任脈を中心に、証に応じた選穴と施術

上記を目指して鍼灸治療を

観点内容
東洋医学的理解肺気の失調・外邪侵入による咳嗽
鍼灸の役割咳嗽の軽減、免疫調整、自律神経調整
分子レベルでの作用抗炎症・抗痰・免疫強化・迷走神経刺激による咳中枢抑制
実践的応用肺経・任脈を中心に、証に応じた選穴と施術

最後に

お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。

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金井 進

金井 進

元気の羅針盤編集長。
ホリス治療院院長、はり師、灸師 ( 国家資格 )。

1994年よりホリス治療院開業。
鍼灸、カイロプラクティック、フィジカルセラピーを融合した独自の治療体系で日夜、患者さんと向き合っています。

30年以上にわたる鍼灸臨床のなかで培った知識と経験をもとに、あなたの困った問題を解決できるような確かな情報をお届けしたいと思っています。

あなたの喜びの声を聞くことほど、私達の仕事に「情熱」と「やりがい」を与えてくれるものはありません。
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