【質問】朝に手足を伸ばすのはなぜ?<「伸び」と「足のつり」の原因と対策を西洋医学・鍼灸・栄養学から徹底解説!>


Contents
患者さまからの質問
朝、起きたとき、布団の中で手足をグーッと伸ばす。
教わったわけでもなく、何気なくやってる行為。
人だけでなく、犬や猫もやります。
なんで伸びるのでしょうか?
伸びることによって、身体はどう変化しますか?
また、グーッと伸びると足がつります。
ふくらはぎ、足の裏、つります。
なんで伸びると足がつる?
何かの病気・怪我の前ぶれ?
なぜ朝、自然に手足を伸ばすのか?
西洋医学的視点
行動科学・神経学的視点
この「伸び ( pandiculation=パンディキュレーション ) 」は、人間や動物に備わった本能的な動作です。
- 睡眠中に低下した筋緊張や血流を回復させる反射的行動
- 筋肉・関節を再起動させ、交感神経を優位にして目覚めに備える
- 脳 ( 特に運動皮質 ) と筋肉の連携を取り戻す働きがある
行動科学・神経学的視点 |
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睡眠中に低下した筋緊張や血流を回復させる反射的行動 |
筋肉・関節を再起動させ、交感神経を優位にして目覚めに備える |
脳 ( 特に運動皮質 ) と筋肉の連携を取り戻す働きがある |
生理学的視点
- 睡眠中、筋紡錘や腱器官の感度が低下 → パンディキュレーションで筋肉内のセンサーを再感知する再調整
- 筋膜・筋繊維が固くなっているため、コラーゲンやエラスチン繊維に「微細な張力」が加わる
- ミトコンドリアの再活性化が起こり、ATP産生やカルシウム流入が促進される
生理学的視点 |
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睡眠中、筋紡錘や腱器官の感度が低下 → パンディキュレーションで筋肉内のセンサーを再感知する再調整 |
筋膜・筋繊維が固くなっているため、コラーゲンやエラスチン繊維に「微細な張力」が加わる |
ミトコンドリアの再活性化が起こり、ATP産生やカルシウム流入が促進される |
鍼灸医学的視点
- 「伸び」は気血の巡りを促す自然な動き
- 特に「陽気 ( ようき ) 」の上昇を助け、「陽の気が四肢にめぐる」ための導入動作
- 寝ている間に気が内側 ( 肝・腎 ) にこもるため、朝にストレッチして肝経・腎経を活性化
鍼灸医学的視点 |
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「伸び」は気血の巡りを促す自然な動き |
特に「陽気 ( ようき ) 」の上昇を助け、「陽の気が四肢にめぐる」ための導入動作 |
寝ている間に気が内側 ( 肝・腎 ) にこもるため、朝にストレッチして肝経・腎経を活性化 |
なぜ“伸び”で足がつるのか?
西洋医学的視点
筋けいれん ( こむら返り ) のメカニズム
- 急な筋収縮と神経興奮のアンバランス
- 筋肉が縮まるタイミングで、拮抗筋が弛緩しない
- 特にふくらはぎ ( 腓腹筋 ) や足底筋は冷えや血流低下、電解質異常で収縮しやすい
西洋医学的視点:筋けいれん ( こむら返り ) のメカニズム |
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急な筋収縮と神経興奮のアンバランス |
筋肉が縮まるタイミングで、拮抗筋が弛緩しない |
特にふくらはぎ ( 腓腹筋 ) や足底筋は冷えや血流低下、電解質異常で収縮しやすい |
リスク因子
- 寝ている間の脱水・冷え・長時間同じ姿勢
- 高齢者、妊婦、糖尿病、甲状腺疾患のある人に多い
- 一部の薬 ( 利尿剤、降圧薬、スタチン ) も関与
西洋医学的視点:リスク因子 |
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寝ている間の脱水・冷え・長時間同じ姿勢 |
高齢者、妊婦、糖尿病、甲状腺疾患のある人に多い |
一部の薬 ( 利尿剤、降圧薬、スタチン ) も関与 |
生理学的視点
- カルシウムチャネル異常 → 筋肉が収縮したまま戻らない
- ATP不足 → 筋肉の弛緩ができず、けいれんが起こる
- Na⁺ / K⁺ポンプの機能低下 → 細胞内外の電位差が乱れる
西洋医学的視点:生理学的視点 |
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カルシウムチャネル異常 → 筋肉が収縮したまま戻らない |
ATP不足 → 筋肉の弛緩ができず、けいれんが起こる |
Na⁺ / K⁺ポンプの機能低下 → 細胞内外の電位差が乱れる |
鍼灸医学的視点での“つり”の解釈
- 「経絡の詰まり」「血虚」「肝血不足」「腎精の衰え」などが原因
- 特に「肝は筋を司る」「腎は骨と精を主る」と言われ、肝腎の虚 ( 機能低下 ) がこむら返りの根本原因
鍼灸医学的視点:“つり”の解釈 |
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「経絡の詰まり」「血虚」「肝血不足」「腎精の衰え」などが原因 |
特に「肝は筋を司る」「腎は骨と精を主る」と言われ、肝腎の虚 ( 機能低下 ) がこむら返りの根本原因 |
治療対象の経絡とツボ例
症状部位 | 主な経絡 | よく使われる経穴 ( ツボ ) |
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ふくらはぎ | 膀胱経・腎経 | 委中、承山、太渓、陰陵泉 |
足の裏 | 腎経・肝経 | 湧泉、太衝、足三里 |
栄養学的視点での原因
◆こむら返りの栄養的リスク因子
ミネラル | 欠乏で起こること | 多く含む食品 |
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マグネシウム | 神経興奮の抑制不能 | ナッツ、海藻、豆腐 |
カリウム | 電解質バランスの破綻 | バナナ、ほうれん草、芋類 |
カルシウム | 筋収縮の調整不能 | 牛乳、小魚、青菜 |
ビタミンB1 | 末梢神経の機能低下 | 豚肉、玄米、大豆製品 |
病気や障害の前ぶれの可能性は?
一過性であれば心配不要ですが…
頻繁に起きる場合は以下を疑いましょう。
疾患・病態 | 特徴 | 備考 |
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糖尿病性ニューロパチー | 神経興奮の異常 | 足裏の異常感覚も |
腎不全 | カリウム・マグネシウム異常 | 夜間のこむら返り |
脊柱管狭窄症 | 下肢の神経症状 | 朝のけいれん頻発 |
下肢静脈瘤 | 血流障害 | 長時間立位・座位後 |
こんな場合は
以下のような場合は医療機関への受診が推奨されます。
- 毎日同じ時間に同じ部位がつる
- 運動していないのに頻発する
- 感覚異常 ( しびれ、灼熱感 ) を伴う
- 利尿剤や薬物を服用中である
医療機関への受診を推奨 |
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毎日同じ時間に同じ部位がつる |
運動していないのに頻発する |
感覚異常 ( しびれ、灼熱感 ) を伴う |
利尿剤や薬物を服用中である |
治療法と予防法
◆西洋医学的対応
- 水分補給 ( 特に電解質入りドリンク )
- 温罨法・マッサージ・ストレッチ
- 重大疾患がある場合は根本治療
治療法と予防法:西洋医学的対応 |
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水分補給 ( 特に電解質入りドリンク ) |
温罨法・マッサージ・ストレッチ |
重大疾患がある場合は根本治療 |
◆鍼灸治療
- 経絡調整と補腎・疏肝
- 良導絡で筋肉の過剰な電気抵抗を整える
治療法と予防法:鍼灸治療 |
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経絡調整と補腎・疏肝 |
良導絡で筋肉の過剰な電気抵抗を整える |
◆セルフケアのポイント
- 寝る前にコップ1杯の水 + マグネシウム摂取 ( エプソムソルト浴でも可 )
- 寝る前に軽く足首を動かす・つま先を天井に向けるストレッチ
- 筋膜リリース:ふくらはぎ・足底筋膜のフォームローリング
治療法と予防法:セルフケアのポイント |
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寝る前にコップ1杯の水 + マグネシウム摂取 ( エプソムソルト浴でも可 ) |
寝る前に軽く足首を動かす・つま先を天井に向けるストレッチ |
筋膜リリース:ふくらはぎ・足底筋膜のフォームローリング |
まとめ
視点 | 解釈 |
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西洋医学 | 神経筋バランスの回復行動/筋けいれん |
生理学 | ATP/カルシウム/イオンチャネルの調節 |
鍼灸医学 | 気血・経絡の調整、肝腎の活性化 |
栄養学 | ミネラル不足、脱水、ビタミン欠乏 |
予防 | 寝る前ストレッチ、水分・栄養補給、冷え対策 |
東洋医学・鍼灸医学の現場からひと言
今回の「朝に手足を伸ばすのはなぜ?<「伸び」と「足のつり」の原因と対策を西洋医学・鍼灸・栄養学から徹底解説!>」は、いかがでしたか?
足がつる、こむら返りは、本当に痛いですよね。
年を取ると仕方がない……という声をよく聞きますが、年齢と関係はありません。
何度も繰り返す場合に考えられる病気を挙げましたが、ほとんどは身体を整える、つまり、鍼灸医学的に経絡を整えることで喜ばれることが多いです。
やはり、痛みや症状は身体からのメッセージだと考え、生活習慣を見直す良いチャンスにしていただければ幸いです。
最後に
お困りのこと、質問や疑問などありましたら、ホリス治療院にお気軽にご相談下さいね。
